彼の言いなりになってしまう私

第５話：昔の事

　中学一年生の頃、初めて彼に出会った。
　隣の席。

　すぐに気が合って、友人みたいな関係。
　でも、手も握ってなかったなあ、中学生の頃は。
　純情だったのね。

　青春してたわ。
　公園を二人で歩くだけでドキドキした。
　後は遊園地くらいかなあ。

　でも、私は実は純情じゃないんだなあ。
　淫らなことを考えて、よくオナニーをしていたの。

　それもかなり暴力的なことをされるのを妄想して、隠れて自慰行為。
　数人の男の人たちに乱暴されるの。
　徹底的に乱暴されて、服従するの、征服されて言いなりになるの。

　私ってそういうのが好きなのよねえ、マゾヒストね。

　実際にされるのは絶対、嫌なんだけどね。
　でも、妄想だと気持ちがいいんだなあ。

　中学生の頃、両親が離婚してしまって、私は母と一緒に安アパートで暮らすことになった。
　父が置いていった古いパソコンがそのまま放置されていた。

　母がいない時に中身を見たら、まあ、いやらしい画像やら動画がいっぱい。
　ネットもポルノ小説のサイトとかお気に入りにしてあった。

　おまけに、父が隠してあった文庫本の官能小説もいっぱい見つけてしまった。
　それを読んで、すごく興奮してしまった。

　まあ、内容は似たようなもんばっかりだけどね。
　中学生の女の子が読む本じゃないわね。
　でも、いやらしい私はこっそり机に隠して保管した。

　中には変な内容の小説もあったけどね。
　なぜかヒロインが黒いＴシャツ姿にされるの。
　下半身丸裸で。

　それで乱暴されまくるのよ。
　変態たちに。
　ずっとＴシャツを着たまま、ありとあらゆる方法で乱暴される。
　強制的にオナニーをさせられて辱めを受けるヒロイン。

　野外でおしっこもさせられて、浣腸までされるの。

　前の穴、後ろの穴、口、同時に入れられて出されたりと。
　それで、読んでると、快感に震えるヒロインに同化してしまう私。

　中に出されるってどういう感じになるかわからないけどね。
　いまだに無いし。
　避妊してるから。

　まあ、普通の女性ならいやらしいって思って二度と読まないのかしら。
　でも、私は何度も読んでしまった。
　やっぱり変態かしらね。

　パソコンの中身もやたら見てたわ。
　女性が乱暴される変態的な画像や動画。

　私はそんな画像やらを見て、オナニー三昧。
　私は淫乱なのよ、彼には隠しているけど。

　そして、彼と早く経験したいと思うようになった。
　でも、中学時代は清い交際。

　恥ずかしいからね、女の方から迫るなんてね。
　その代わり、自分でしてたんだけど。

　さて、高校時代。
　彼は一流高校。

　私は偏差値の低い高校。
　高校は別々になっちゃった。

　悲しかったわ。
　私は頭が悪いのよ。

　でも、交際は続いた。
　そして、そろそろいいんではないかと思った。

　なんとなく彼もそろそろ経験したいって思ってるような感じがした。
　どちらからともなく、してみようって感じになっていった。

　あれは、高校二年生の夏休み。
　私の家に彼と二人っきり。

　布団の上で抱き合ったんだけど。
　うまくいかないのよねえ。

　痛くて入らない。
　うーん、ポルノ小説ではあっと言う間にヒロインは絶頂へいってしまうんだけど。

　彼も避妊具を付けるのに手間取ったり。
　私も緊張しちゃって、とにかく痛いだけ。

　そして、これまた、どちらからともなくセックスってつまらないって感想を持ってしまった。
　まあ、卒業できたので、いいかあって感じね。

　オナニーの方が気持ちいいなあって、思ってた。
　まあ、セックスはしてたけどね。

　その後、彼は大学。
　私は高卒で就職。

　仕事って大変よねえ。
　彼とも月に何回か会うだけになってしまった。

　それに私も気になったことがあるの。
　彼の家に行ったことがある。

　大豪邸。
　気後れしちゃったわ。

　彼のお母さんはやさしく対応してくれたけどね。
　その後も何度か行ったけど、いつも歓迎してくれた。

　でも、貧乏人の私とは釣り合いが取れないんじゃないかなあって思った。
　それとなく、そのことを彼に言ってみたことがあるけど。

　でも、彼からは、全然気にするなって言われて、そのままお付き合いは続いた。
　あっちのほうもしてたけど。
　基本は普通の正常位だけどね。
　
　けど、この頃からけっこう派手な体位になってきたの。
　私は四つん這いが好き。
　乱暴されてるみたいで気持ちいいのって、やっぱり、私は淫らな女なのかしらね。

　それで、彼は一流大学を卒業後、一流企業に勤務。
　小さい会社に勤めている私とはだいぶ差が開いてしまったけど、でも、そのまま付き合いは続いた。

　そして、私の会社は倒産。
　でも、彼は一緒に暮らそうとって言ってくれた。

　けっこうな高級マンション。
　私の母親も、パート生活になってしまった私からは、あまり生活費は期待できないと思ったのか、私が彼と同棲するのには特に文句はなかった。
　彼の親も特に不満はないみたいだった。

　でも、いいのかしら、こんな貧乏娘。
　そして、彼に捨てられたくないなあって思うところもあるのよねえ。
　やはり姑息な私。

　なるべく彼におもねるしかないわね。
　やれやれ。

　同棲生活であっちの方もいろんなことをするようになった。
　でも、まあ、普通ねえ。

　私はもっと責めてくれてもいいと思ってた。
　まあ、彼は優しくしてくれるから、それでいいかなと思っていたのだけど。

　でも、最近、なんだか、夜の行為が過激になってきたような感じもしてくるの。
　
　彼は就職して、五年目かあ。
　そろそろ、重要な仕事を任される時期よね。
　ストレス溜っているのかしら。

　それを私を虐めることで解消してるのかしらね。
　おもちゃ扱いかしらね。
　そして、そんな扱いされるのを秘かに悦んでいる自分もいるのよ。

　この先、どうなるのかしら。
　私としては結婚してくれないかなあと思っているんだけど。
　でも、もっと私を辱めてくるのかしら。

　でも、やっぱりそれをいやがる振りして、私は喜んでいるのよ。
　いやらしい女なの。

　例の父が残して言ったポルノ小説の文庫本を秘かに自分の机の奥底に隠している。
　特に強烈な内容の本を十冊も。
　本のカバーを変えて。

　前にやばい時があったなあ。
　ある日、やっぱりこんないやらしい本を捨てようかしらと思って、全部私専用の机の奥底から取り出したんだけど。
　つい中身を読んでしまった。

　夢中になってしまった。
　淫らな女ね。

　あそこがすごく濡れてくるので、ズボンも下着も脱いで下半身裸でタオルをお尻の下にひいて、椅子に座って読んでたら我慢できなくなった。

　すごく、興奮してしまう私。
　オナニーをしちゃった。
　何度も。

　そのまま疲れて、リビングルームのソファで居眠りしてしまった。
　五分眠るつもりが、数時間経ってしまったのよ。

　そして、突然、インターフォンが。

「おーい、恭子、鍵を忘れてさあ。開けてくれないか。今、一階の入口なんだ」

　彼が帰って来た。

「え、何でこんな早い時間に」
「ノー残業デーってのが始まったんだよ」
「そうなの。えーと、今開けるわ」

　そして、私はドタバタとズボンを履いて、本を机に隠す。
　
　もし、彼が鍵を忘れないで、そのまま入ってきたら、ポルノ小説を机の上にずらっと並べたままで、リビングルームのソファで下半身裸のまま、スカーっと寝ていた私を見つけたはず。
　恥ずかしいわよ、そんなとこ見られたら。

　ああ、危なかったって思うわね。