45 / 57
フェールの花-価値のない王子は完璧な王に愛される-
第6章・価値 44 帰還
しおりを挟む
アラガスタまでの帰り道、クライスとの会話はなかった。後から城入りする予定だった兵を避けるために、岩山から北部に回った。
途中、町などにも一切よらずにアラガスタまで休みなく移動することになった。国境を越えるまで頑張ってくれた馬は、近くの町で休ませることにして別の馬を手配した。
クライスはずっとセラスと並走して、いままでの話を聞いているようだった。ショックを受けたばかりのクライスが、親しい者と一緒にいることで癒されるならばいいと思った。
だからこちらから声をかけることも、近寄ることもせず見守ることにした。
「お兄様、どういうことですか!」
城に帰って早々に、どこからか現れたスリアに怒られる。戻ったらすぐに知らせるように言っていたらしい。
「ネイトに聞いているだろう」
「聞きましたけど、こういうことは直接説明して頂かないと困ります!」
普段は可愛い妹だが、こうなるとネイトやキースと変わらない。
「わかった、わかった。これからは気をつけよう」
「絶対ですよ!」
怒った顔をするスリアの後ろに控えていたネイトに頭を下げられる。
「問題なかったか」
「はい、スリア様が問題なく対応されていました」
約一ヵ月、問題なく政務をこなせたのなら幸先のいいスタートだと言える。ポーリスがいなくなったことで、リンクスを諜者ではなくスリアの従者にさせようかと考える。
すでにフェールには別の諜者が入り込んでいる。さらに言えば、スリアにも参謀兼相談相手が必要だろう。
リンクスに打診しようと思ったが、今すぐする必要のあることではない。さすがに少し疲れを感じている。
「スリア、すまないがあと一日代わりを頼む」
「わかりました。客室を用意して、リンクスとキース、兵には休むように伝えておきます」
「さすがスリアだ」
頭を撫でようとして、手を止める。兵や家臣がいる前でしていい行為ではもうなくなったと感じる。
すでにスリアは女王としての一歩を踏み出し始めている。
「部屋に戻る」
塔への最短ルートは、ひどく入り組んだ庭と壁を何度も通り抜ける道だ。最初にクライスが来た時に、ネイトに案内するように言ったのを思い出す。
自由になったクライスを手放すべきなのだろう。クリースがフェールに自ら帰ることができない状況にしたことによって、王位継承権を与えられたマクスが王になることになる。
けれど八歳の王は幼過ぎる。きっとクライスはフェールに戻りたいと思っているだろう。
今なら王になることだって可能なはずだ。クリースとはまた違ったいい王になる。
「……って、待ってくださっ!」
はっとして振り返った時には、クライスが転んでいた。想像もしていなかった状態に、本気で驚く。
まさか追って来るとは思っていなかった。さらに自分のペースがわかっているはずのクライスが、ペースを乱して転ぶことなんて有り得ない。
「ぅ……」
痛そうに小さく息を吐きだしたクライスが、珍しくイライラしたように左の腿を握った手で叩く。思い通りにならない足に、怒りを感じているのがわかる。
「自分を傷つけるな」
そばによって、自らを叩く左手を握ってやる。そして転がった杖を渡して一歩離れる。
下からじっと見てくるクライスの意図がわからなくて、困惑する。なぜかクライスが何を思っているのか、全く見えなくなっている。
手を貸していいのか貸してはいけないのかわからない。普段のクライスなら、手を差し出すと嫌がる。
だから手を差し出すことは控えるようになった。何とも言えない表情に変わっていくクライスに、戸惑う。
「もう、僕はいりませんか?」
何を言われたのかわからなかった。
「……もう、僕には何の価値もないですか?」
下を向いてしまったせいで、どんな顔をして言っているのか見えなくなる。こんなに慌てた気持ちになるのは、王になってからは初めてかもしれない。
「何を言っている」
「価値がないから……話かけてもくれないし、置いて行ったんじゃないんですか?」
前よりも後ろ向きな考え方をするクライスに胸が痛くなる。見た目にはわからなくても、内面はかなり傷ついているのがわかってしまう。
「違う。あの従者と話したいのかと思っただけだ」
差し伸べていいかわからなかったが、顔の前に手を差し出す。するとクライスが素直に手を乗せてくる。
そっと力を込めて立たせてやる。一瞬、ほっとした顔が見えるが、すぐに表情が暗くなってしまう。
「あの、セラスは家族みたいなもので……コール様とは違います」
はっきり違うと言われて、何とも言えない気持ちになる。
「ならば家族といていい。もうクライスは自由だ」
最後くらいは喜ぶ顔が見たいと思ったのに、余計につらい顔をさせてしまった。どうすればいいいかわからずに途方に暮れることがあるとは、思ってもみなかった。
「それが答えですか」
「何のことを言っている?」
「僕は……好きだと言いました」
ふっとあの夜のことを思い出す。目的があって言われた言葉だと思っていた。
本気で好きだと告げているとは、少しも思っていなかった。けれど何とも納得のいかない気持ちになる。
「その答えならば、手に入れたいと先に言ったはずだ」
「……今でもですか?」
「今でもだ」
「では、僕を帰しませんか?」
「帰さない」
顔を近づけると、クライスが小さく息を飲むのがわかる。唇が触れるか触れないかの距離で囁く。
「まだ質問するか?」
「い……んぅ」
聞かなくてもわかる答えを待つ必要はない。唇を付けて舌を入れると、クライスが素直に口を開く。
滑らかな舌を促すと、おずおずと舌を絡めてくる。ゆっくりと焦らすように、舌を擦りつけるとクライスの体が震えて力が抜ける。
片手で支えてやりながら、空いた手で前を寛がせて指を滑り込ませると抗議するような声を漏らす。
「ぅん、ん! ……っここは、外です」
両手で必死に服の下に入った手を抑えてくる姿が愛おしい。
「そうか」
「それに、体を洗いたいです」
顔を真っ赤にしてダメな理由を口にする姿は、堪らないものがある。
「他には? もっと我儘を言え。全部叶えてやる」
「わがっ……! ままじゃ、ないです。今のは違います」
正当な意見だとむっとした顔をされると余計に体が熱くなる。
「そうか、ならば余計に叶えなければいけないな」
さっと抱き上げると、戸惑った表情を見せた後、首に腕を回してくれる。
「……コール様はずるいです」
「そうか」
思わず笑ってしまうと、恥ずかしそうにクライスが顔を肩に押し付けてくる。自分に価値がないと思っているなら、価値があるとわかるまで愛してやればいい。
全ての傷を癒すことができなくとも、少しでも多くの傷を癒してやりたい。
「愛している」
顔を隠すクライスの頭に口付けする。一瞬、体に力が入って抜けるのがわかる。
「僕もです」
言葉と同時に顔を上げたクライスから、触れるだけの口付けが返ってきた。
途中、町などにも一切よらずにアラガスタまで休みなく移動することになった。国境を越えるまで頑張ってくれた馬は、近くの町で休ませることにして別の馬を手配した。
クライスはずっとセラスと並走して、いままでの話を聞いているようだった。ショックを受けたばかりのクライスが、親しい者と一緒にいることで癒されるならばいいと思った。
だからこちらから声をかけることも、近寄ることもせず見守ることにした。
「お兄様、どういうことですか!」
城に帰って早々に、どこからか現れたスリアに怒られる。戻ったらすぐに知らせるように言っていたらしい。
「ネイトに聞いているだろう」
「聞きましたけど、こういうことは直接説明して頂かないと困ります!」
普段は可愛い妹だが、こうなるとネイトやキースと変わらない。
「わかった、わかった。これからは気をつけよう」
「絶対ですよ!」
怒った顔をするスリアの後ろに控えていたネイトに頭を下げられる。
「問題なかったか」
「はい、スリア様が問題なく対応されていました」
約一ヵ月、問題なく政務をこなせたのなら幸先のいいスタートだと言える。ポーリスがいなくなったことで、リンクスを諜者ではなくスリアの従者にさせようかと考える。
すでにフェールには別の諜者が入り込んでいる。さらに言えば、スリアにも参謀兼相談相手が必要だろう。
リンクスに打診しようと思ったが、今すぐする必要のあることではない。さすがに少し疲れを感じている。
「スリア、すまないがあと一日代わりを頼む」
「わかりました。客室を用意して、リンクスとキース、兵には休むように伝えておきます」
「さすがスリアだ」
頭を撫でようとして、手を止める。兵や家臣がいる前でしていい行為ではもうなくなったと感じる。
すでにスリアは女王としての一歩を踏み出し始めている。
「部屋に戻る」
塔への最短ルートは、ひどく入り組んだ庭と壁を何度も通り抜ける道だ。最初にクライスが来た時に、ネイトに案内するように言ったのを思い出す。
自由になったクライスを手放すべきなのだろう。クリースがフェールに自ら帰ることができない状況にしたことによって、王位継承権を与えられたマクスが王になることになる。
けれど八歳の王は幼過ぎる。きっとクライスはフェールに戻りたいと思っているだろう。
今なら王になることだって可能なはずだ。クリースとはまた違ったいい王になる。
「……って、待ってくださっ!」
はっとして振り返った時には、クライスが転んでいた。想像もしていなかった状態に、本気で驚く。
まさか追って来るとは思っていなかった。さらに自分のペースがわかっているはずのクライスが、ペースを乱して転ぶことなんて有り得ない。
「ぅ……」
痛そうに小さく息を吐きだしたクライスが、珍しくイライラしたように左の腿を握った手で叩く。思い通りにならない足に、怒りを感じているのがわかる。
「自分を傷つけるな」
そばによって、自らを叩く左手を握ってやる。そして転がった杖を渡して一歩離れる。
下からじっと見てくるクライスの意図がわからなくて、困惑する。なぜかクライスが何を思っているのか、全く見えなくなっている。
手を貸していいのか貸してはいけないのかわからない。普段のクライスなら、手を差し出すと嫌がる。
だから手を差し出すことは控えるようになった。何とも言えない表情に変わっていくクライスに、戸惑う。
「もう、僕はいりませんか?」
何を言われたのかわからなかった。
「……もう、僕には何の価値もないですか?」
下を向いてしまったせいで、どんな顔をして言っているのか見えなくなる。こんなに慌てた気持ちになるのは、王になってからは初めてかもしれない。
「何を言っている」
「価値がないから……話かけてもくれないし、置いて行ったんじゃないんですか?」
前よりも後ろ向きな考え方をするクライスに胸が痛くなる。見た目にはわからなくても、内面はかなり傷ついているのがわかってしまう。
「違う。あの従者と話したいのかと思っただけだ」
差し伸べていいかわからなかったが、顔の前に手を差し出す。するとクライスが素直に手を乗せてくる。
そっと力を込めて立たせてやる。一瞬、ほっとした顔が見えるが、すぐに表情が暗くなってしまう。
「あの、セラスは家族みたいなもので……コール様とは違います」
はっきり違うと言われて、何とも言えない気持ちになる。
「ならば家族といていい。もうクライスは自由だ」
最後くらいは喜ぶ顔が見たいと思ったのに、余計につらい顔をさせてしまった。どうすればいいいかわからずに途方に暮れることがあるとは、思ってもみなかった。
「それが答えですか」
「何のことを言っている?」
「僕は……好きだと言いました」
ふっとあの夜のことを思い出す。目的があって言われた言葉だと思っていた。
本気で好きだと告げているとは、少しも思っていなかった。けれど何とも納得のいかない気持ちになる。
「その答えならば、手に入れたいと先に言ったはずだ」
「……今でもですか?」
「今でもだ」
「では、僕を帰しませんか?」
「帰さない」
顔を近づけると、クライスが小さく息を飲むのがわかる。唇が触れるか触れないかの距離で囁く。
「まだ質問するか?」
「い……んぅ」
聞かなくてもわかる答えを待つ必要はない。唇を付けて舌を入れると、クライスが素直に口を開く。
滑らかな舌を促すと、おずおずと舌を絡めてくる。ゆっくりと焦らすように、舌を擦りつけるとクライスの体が震えて力が抜ける。
片手で支えてやりながら、空いた手で前を寛がせて指を滑り込ませると抗議するような声を漏らす。
「ぅん、ん! ……っここは、外です」
両手で必死に服の下に入った手を抑えてくる姿が愛おしい。
「そうか」
「それに、体を洗いたいです」
顔を真っ赤にしてダメな理由を口にする姿は、堪らないものがある。
「他には? もっと我儘を言え。全部叶えてやる」
「わがっ……! ままじゃ、ないです。今のは違います」
正当な意見だとむっとした顔をされると余計に体が熱くなる。
「そうか、ならば余計に叶えなければいけないな」
さっと抱き上げると、戸惑った表情を見せた後、首に腕を回してくれる。
「……コール様はずるいです」
「そうか」
思わず笑ってしまうと、恥ずかしそうにクライスが顔を肩に押し付けてくる。自分に価値がないと思っているなら、価値があるとわかるまで愛してやればいい。
全ての傷を癒すことができなくとも、少しでも多くの傷を癒してやりたい。
「愛している」
顔を隠すクライスの頭に口付けする。一瞬、体に力が入って抜けるのがわかる。
「僕もです」
言葉と同時に顔を上げたクライスから、触れるだけの口付けが返ってきた。
15
あなたにおすすめの小説
冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない
北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。
ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。
四歳である今はまだ従者ではない。
死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった??
十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。
こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう!
そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!?
クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
透夜×ロロァのお話です。
本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけを更新するかもです。
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑)
大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑)
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる