氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

11 (男同士の話し合い 1)

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 ジーンは途中でお茶の用意を頼んでから、エドワルドを自身の執務室へと連れていき、席を勧め、向かい合う一人掛け用のソファーに座る。

 本来執務室に人を入れるのは好きでは無いが、リラが寛げるように執務机以外にソファーセットや小さなキッチン、茶葉等を置いた。

(家族しか入れた事の無いここに、他人を入れる事になるとは……)

 見られて困るような物は無いが、ここは完全にプライベートな空間と化している。

(とは言っても、リラの夫になるなら私にとっては義弟になる。リラを諦めてくれるような男なら、どんな手段でも使ったが、この男はそうじゃない。なら、こちらに引き込んでリラを守る盾としよう)

 話を進める前に、侍従がお茶を持ってきたので入り口で受け取り扉を閉める。

 この部屋にあるお茶のセットはリラ専用にしている為、リラがいない時だけ持ってきて貰うのだ。


「あれは使わないのですか?」


 ここはジーンの執務室な上に、豊富な種類の茶葉とキッチンが見えているから、エドワルドは疑問に思っていたのだ。ジーンが使用するなら頼む必要は無いのでは?と。

 ジーンが使用する物と思い込んでいたエドワルドは、疑問を口にすると、意外な答えが返ってきた。


「あれはリラ専用で、リラの趣味の一つです。私が使用している訳ではありませんよ。それより、調べたのでしょう?エヴァンス家の事を。何か分かりましたか?」


 お茶を勧めながら、羨ましいだろうと言わんばかりの顔を見せるジーン。

 正直、リラとジーンがここまで仲が良いとは思わなかったエドワルドの内心は、悔しくて堪らない。


「……何も。エヴァンス家の使用人達は、皆優秀ですね。口も結束も堅いので、世間で知られている事以上の収穫はありませんでしたよ」


(ただ、調べる内にリラ嬢の裏で、誰かが暗躍している事だけは分かった。そして、そこまで周到に出来るのはエヴァンス侯爵かジーン殿、時期的にみてジーン殿だろうと当たりを付けたが、証拠らしい証拠は無い。そこまで隠す華であっても、自分の物にすると決めていた。だから、隠す程の宝であるリラ嬢が、何故あそこまで自己評価が低いのか、私は知る必要がある)

 その思いを胸に、ジーンを見返すエドワルド。その視線を受けて、ジーンはリラの過去を話始めた。勿論、自分達家族がどれだけリラを愛しているか、ジーンがどれ程リラを溺愛しているのかも交えて。
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