162 / 805
本編
110
しおりを挟む
「エドワルド様、大好きですぅ~!!」
リラはエドワルドの腕の中で、ポロポロと涙を溢す。
リラにとってのエドワルドは、子供の頃のリラを苛んだ、あの鮮明で嫌な思い出や、これまで散々言われて来た貴族達の暴言の数々を軽く打ち消し、リラに安心と幸福感を齎す唯一の異性だ。エドワルドにとって、リラが唯一の性的対象者と言うのなら、リラにとってもそうだろう。
リラにとって男は、愛情を注いでくれる身内と、嫌な思いをさせる他人しか居なかったのだ。それが、身内と同じ愛情を示し、リラの全てを求め、欲しがる身内では無い他人、エドワルドが現れた。
リラに触れる手も言葉も唇も眼差しも、何もかも、リラを想い、愛しさと優しさと想いの強さを届けてくれる。その一つ一つが上辺だけでは無く、本心なのだと感じ、信じる事が出来る程の熱情がその中に潜んでいる。
リラは嬉しくて堪らない。一生をあの嫌な思い出を、抱え怯えて苛んだ嫌な記憶の数々を、エドワルドは、それよりも強い想いと記憶で埋め尽くしてくれた。否、これからも、埋め尽くすと言ってくれた。
(喩え、身を引き裂かれる程の激痛が襲って来たとしても、わたくしは、エドワルド様と繋がれるのなら、我慢出来ます~!今は駄目でも、絶対、絶対エドワルド様とするのですぅ~!!)
リラは泣きながらエドワルドに擦り付く。
「リラ?泣いている?」
「……うっ、嬉し泣きなので気にしないで下さい!エドワルド様、大好きですっ!!」
「えっ、これって私が泣かした事になるのか?!気にするなと言われても気になるよ。私はリラを愛しているのだから」
「……ふぇっ、えっ、エドワルド様ぁぁぁぁっっ!」
泣き止まないリラの背を撫で続けるエドワルド。
「まぁ、いくらでも泣いて良いよ。一人で泣かれるよりは良い。好きなだけ泣きなさい。その代わり、泣き止んだ後は微笑んでね?」
「ううぅ……。絶対醜くなってますぅ~。そっ、そんな顔見られたく無いです~。きっ、きっとっ、幻滅されますぅ~!」
「リラなら顔を腫らしていても、可愛いと思うよ。言った筈だ。私はリラの表情は魅力的でしかないし、いつでも見たい表情だと。偽りの無表情よりも、リラのその表情が欲しいと。だから、リラの全てを寄越しなさい」
「……きっ、嫌いにならないって、約束して、下さい、ます、か?」
「なる訳が無いよ。そもそも、私のリラに対する愛は、年を重ねて老人になったとしても変わらないと思う」
「……ふっ、ふふふ……。うっ……嬉しい、ですっ」
リラは泣きながらも、嬉しくて堪らなかった。
リラはエドワルドの腕の中で、ポロポロと涙を溢す。
リラにとってのエドワルドは、子供の頃のリラを苛んだ、あの鮮明で嫌な思い出や、これまで散々言われて来た貴族達の暴言の数々を軽く打ち消し、リラに安心と幸福感を齎す唯一の異性だ。エドワルドにとって、リラが唯一の性的対象者と言うのなら、リラにとってもそうだろう。
リラにとって男は、愛情を注いでくれる身内と、嫌な思いをさせる他人しか居なかったのだ。それが、身内と同じ愛情を示し、リラの全てを求め、欲しがる身内では無い他人、エドワルドが現れた。
リラに触れる手も言葉も唇も眼差しも、何もかも、リラを想い、愛しさと優しさと想いの強さを届けてくれる。その一つ一つが上辺だけでは無く、本心なのだと感じ、信じる事が出来る程の熱情がその中に潜んでいる。
リラは嬉しくて堪らない。一生をあの嫌な思い出を、抱え怯えて苛んだ嫌な記憶の数々を、エドワルドは、それよりも強い想いと記憶で埋め尽くしてくれた。否、これからも、埋め尽くすと言ってくれた。
(喩え、身を引き裂かれる程の激痛が襲って来たとしても、わたくしは、エドワルド様と繋がれるのなら、我慢出来ます~!今は駄目でも、絶対、絶対エドワルド様とするのですぅ~!!)
リラは泣きながらエドワルドに擦り付く。
「リラ?泣いている?」
「……うっ、嬉し泣きなので気にしないで下さい!エドワルド様、大好きですっ!!」
「えっ、これって私が泣かした事になるのか?!気にするなと言われても気になるよ。私はリラを愛しているのだから」
「……ふぇっ、えっ、エドワルド様ぁぁぁぁっっ!」
泣き止まないリラの背を撫で続けるエドワルド。
「まぁ、いくらでも泣いて良いよ。一人で泣かれるよりは良い。好きなだけ泣きなさい。その代わり、泣き止んだ後は微笑んでね?」
「ううぅ……。絶対醜くなってますぅ~。そっ、そんな顔見られたく無いです~。きっ、きっとっ、幻滅されますぅ~!」
「リラなら顔を腫らしていても、可愛いと思うよ。言った筈だ。私はリラの表情は魅力的でしかないし、いつでも見たい表情だと。偽りの無表情よりも、リラのその表情が欲しいと。だから、リラの全てを寄越しなさい」
「……きっ、嫌いにならないって、約束して、下さい、ます、か?」
「なる訳が無いよ。そもそも、私のリラに対する愛は、年を重ねて老人になったとしても変わらないと思う」
「……ふっ、ふふふ……。うっ……嬉しい、ですっ」
リラは泣きながらも、嬉しくて堪らなかった。
83
あなたにおすすめの小説
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる