氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「あの兵士は一体何をやらかしたんだ?」


 周りを囲む一方で、エドワルドにビク付きながらも、エドワルドの様子を窺い続ける兵士達に、何かエドワルドの気に障る事をしたのだろうと思いながらも、取り敢えず聞いてみる事にしたアレクシス。

 兵士達の様子から、多分、あのジーンと共に残った兵士が一番の原因で、ジーンに引き渡したと言う事は、エヴァンス家の令嬢に関わる事かも知れないが、知らずにいるよりは良いだろうと思ったのだ。

 エドワルドは、周りで聞き耳を立てている兵士達に聞こえるように声を出す。


「私の婚約者が不貞を働いていると言っていたので、それならばエヴァンス家に確かめに行けと言ったのですよ。複数の男を囲っているから、クルルフォーン家の後継ぎを産んだ後は、遊べるかもと言っていた阿呆です。王族の花嫁を汚そう等とは、国賊として処罰をされたいのかと耳を疑いましたよ。後継ぎが産まれたからと、手を出して良い訳が無い。もし、その後継ぎに何かあった場合、他の男の子供が乗っ取る羽目になるのに、許される筈が無いでしょう」


 エドワルドの意図に気付いた陛下も、エドワルドを真似て援護する。


「まぁ、当然だな。それで、あの兵士はどう処分する気だ?」

「取り敢えず、エヴァンス家に忍び込もうとした男の末路と同じく、特殊な事情……中身が女性で身体は筋肉隆々の男達の慰み物にさせました。彼女達は外見こそ男ですが、嗜好は女性なので、男に恋愛感情を抱くそうですが、男に相手にされる事が殆ど無いそうなので、女性を食い物にしようとする男を相手にするようになったそうですよ。何なら、王宮にも呼びますか?姉上に言い寄る迷惑な男を相手にしてくれますよ」


 エドワルドの言葉に、その場にいた全員がゾッと背筋に悪寒を走らせたが、エドワルドの最後の方の言葉でアレクシスは少し考え直す。


「それは……確かに良いな。アナに言い寄る迷惑な害虫。たまにしつこく誘う馬鹿がいると聞いた事があるしな。よし、検討しよう!」


 アレクシスは直ぐに順応するが、聴こえた兵士達はドン引きのままである。

 さすが、エドワルドの兄と言った所か。


「所で、ジーン殿から受け取っていた、その大きな袋は何だ?」

「ああ、これですか。私もエヴァンス家に訪問してから知った事なのですが、私の婚約者であるリラ嬢の趣味に、お菓子作りがあるそうで、リラ嬢が作った日持ちのする焼き菓子だそうですよ。全員に行き渡るよう、数日を掛けて焼いてくれたそうですが、先程話した通り私の婚約者の悪口を言っていた者が他にもいたようなので、評判の悪いリラ嬢からの差し入れはいらないでしょうし、陛下と二人で食べ切ろうかと思いまして」

「ああ、成程な。では、私も相伴に預かろう」


 これも兵達への仕置きだと気付き、アレクシスは同意した。
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