氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

本編

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　愚王達の処刑を終えた後辺りに、地方から呼び出し状を受け取った元家臣である貴族達が、続々と到着する。

　愚王に殺された者達もいるが、愚王の気紛れや愚臣達が目障りとし、左遷された貴族達は、地方で村人達と交流を持ち、何とか村人達を死なせないように、必死で守って来た良識人が多かった。

　当然、城からの呼び出し状と聞いた村人達に、殺されるかも知れないのだから行くなと言われたが、この先国がどうなるのか、各地の惨状も聞こえる今、駄目元でも何とか交渉しなければと、心配する者達を説き伏せて帰還したのだ。

　ただし、そこで見聞きしたのは最悪の状況ではなく、新国王の補佐や教師として働けと言う話や法改正、国内整備や土壌の改良と言った国民達の為の政治の仕方や、周辺国との国交改善だった。

　そして、そこで知らされる事実は、彼等には衝撃過ぎる事実ばかり。

　過去にドレファンがディーランに戦争を仕掛け大敗した事も勿論だが、現在ドレファンは、周辺国と比べても、発展が著しく遅れており、どの国もドレファンを最下位の国としか見ていない事、識字率にしろ医学にしろ、土壌改善にしろ、どの分野に置いても他国に何一つ勝てる要素が無い事等を淡々と教えられ、ドレファンでは不治の病と言われる物でも他国では治療法も薬も有る話や、不作で困る事は有っても餓死する程の食糧不足に陥る事は無い事まで知らされる。

　それ故に、ディーランに限らず他の国に戦争を仕掛けても、ドレファンに勝てる見込みは無い事も、今まで他国が攻めてすら来なかったのは、神の威信とかでは無く、攻めて奪った所で価値が無いからだとまで教えられてしまう。

　ディーラン一行は、ドレファンの良識有る貴族達をも、現実と言う、事実地獄のドン底まで突き落とすが、これは長年外の世界を知らず、見ようともしなかった王族達が悪いのだから、仕方無い事だろう。

　そもそもディーランは、ドレファンに事実を教える義務等無いが、ディーランに不法侵入した事により、散々教えられた新王がいるのだ。序でに教えて置く方が、今後の為にもなるだろう。

　食糧を守って来たディーランの兵士達は、引き続き、各地に食糧を配布する手伝いをしてからディーランに戻る事になり、呉々も怪我の無いよう、誰一人欠ける事無く国に帰還する事を兵士達に誓わせる。

　アレクシス達は十日間王城に滞在し、その間なるべく多くの仕事を熟して、ディーラン一行が帰還する時、ジルギリスが外交と言う形で、年明けの後から娘が結婚する春までドレファンに来る事、娘の結婚式が終わった後に、また様子見に来る事も伝えて、ディーランへの帰還の旅に出た。