氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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累計5000000ポイント突破記念♪ ~執事のプライド~

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 サイナスは、ランドールと一対一で向かい合う。ランドールが、あまりにも顔や態度に出し過ぎるからだ。


「ねぇ、君さ、執事嘗めてる?執事ってのは、その家の顔だよ?何でそんなに顔や態度に出す訳?君が他人をどう思おうと勝手だけど、公爵家の執事が、それをあからさまに顔や態度に出すって事は、それだけ相手に漬け込まれる隙を与える事になるんだけど、そこん所、どう思ってるのさ」

「そんな事にはなりませんよ。主人は王弟公爵なんですから」

「えっ?まさかの主人に全部丸投げ?嘗めてるだろお前……。じゃあ、客として来た貴族が男色で、それを知ったお前はどうする気?相手に嫌な顔や態度を見せ付けて、逃げる気なの?執事の仕事も放棄して?」

「そっ、そんな相手をエドワルド様が迎える訳が無い!」

「……偏見を持つななんて言う気は無いし、男に言い寄られるのは僕も嫌いだけど、主人の客を選べる、なんて思うなよ?相手が他国の要人でも、同じ態度をする気でいるのか?主人不在の場合はどうする気だ。相手が嗜虐嗜好の持ち主なら、確実に不利にさせられるし、怪我なんてさせたらクルルフォーン家の恥だぞ。それに、相手が何だろうと気を抜くな。貴族じゃないから大丈夫?そんな物で周囲の評判落としてどうする。公爵だから使用人達すら不遜だなんて思われて、クルルフォーン家の名に泥を塗る気か?他国の偉い貴族がお忍びで平民に成り済ましてた場合、上位の家の対応で、国の質を見る事も有るんだ。当然執事の質が悪ければ、その家の評価に繋がる。僕やジェフ、エヴァンス家から見た、ここの評価を教えてやろうか?エドワルド様には高評価を付けられるが、使用人達は未熟過ぎ。執事は上で無く他と同等。全て主人任せ。それって、幾ら主人が良くても、使用人の格と品位で家格は下がり、公爵なのに、侯爵以下だと陰口叩かれてるのと一緒だぞ」

「?!!」


 サイナスの言葉にランドールは驚き、反論しようとするも、そんなランドールに冷たい視線でサイナスが先に口を開く。


「何を驚いてる、当然だろ。そもそも執事って言うのは、使用人の上位に立つ者であり、国に言い直すと宰相や大臣のような存在で、使用人達は兵士だぞ。そんな宰相や大臣が、命令を待つ兵士と同じ立場にいてどうする?王が有能だからって、全てを王に任せ続けていたら、王が倒れたり病で寝込まれたりした場合、国を護り続けられなくなるだろうが。不安な顔を晒して、他国がこれ幸いと攻めて来たら、お前は一体どうする気だ?そんな時ですら王頼りか?最悪な家臣だな。僕ならそんな宰相や大臣は要らない。足を引っ張られるだけだ。もっと賢い宰相や大臣を探すね」


 エヴァンス家では、貴族は領地にしろ家にしろ、国や城内の縮小版だと教えられ、他家は他国と見なせと教えられる。

 だからこそ、特に執事は、どんな相手だろうと、顔や態度には絶対に出すな、仕事中は相手に気取られるようなヘマを冒すなと教えられる。

 嫌いだろうが、嫌悪する相手だろうが、関係無い。それを出すと言う事は、相手に出し抜く隙を与える事と同じだからだ。

 家を預かるとは、王城を預かる事。国を任されている事と同じだからこそ、他国と幾ら同盟を組んでいようが、いつそれを反故にされるか解らない。貴族は直ぐに掌を返す事が多いからだ。

 執事とは、単なる使用人では無く、主人を支える存在。当然主人を諌める事も有れば、主人に自分の意見を述べる事も有る。それが出来てこそ一流の執事だとエヴァンス家では言われているのだ。

 だからこそサイナスは、指示に従うだけで意見も述べず、顔や態度に思いを出しまくるランドールが執事だと名乗っていた事が、一流の執事として許せなかった。

(こいつに“執事の心得”と言う物を、一から学ばせる必要が有るよね?ドレスを着せて化粧をさせ、女性の苦痛時間を体験させるべきかな?侍女達の協力による茶会の再現や、嫌な男に言い寄られる体験もさせないとだよね?僕だって通って来た道なんだから、嫌だなんて言わせないよ……)

 サイナスはドス黒い笑みを浮かべて、自分の通った道の体験版をさせる事にした。



*****
 ※いつも有難う御座います!!
 今回は月影さんによるリクの、ランドールが主役の再教育ですが、サイナスにお株を奪われてしまいました?(笑)
 サイナスからすれば、ランドールが主役だなんて烏滸がましい!って事かな?
 こんな事になってしまいましたが如何でしょうか?
 月影さん、リク有難う御座いました~♪
 皆様が少しでも楽しんで頂けたら幸いです!
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