氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

309

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 ジーンも遠出に加わり、自然豊かな森や小川を抜けて、様々な花が咲き乱れる草原で昼食を取り、のんびりと、双子達がはしゃぎ回る姿を眺める。

 双子達は乗馬の腕がまだまだなので、乗馬の得意で無い双子は、ダンとマッドに分かれて乗せて貰っていたのだ。

 そうして美しい自然を満喫し、エヴァンス邸に戻ると、屋敷の前にエヴァンス家の物とは違う紋章の馬車が止まっていた。


「あー、煩いのが来ているようだね……」

「……煩いの?」


 エドワルドはジーンの言葉に眉を寄せる。


「あれ、ペール伯爵の紋章だけど、エヴァンス家と関わりがあるのが一人いてね。煩いから、適当に流してーー」

「やっと帰って来た!どんな貴族だよ?リラと結婚しようって言う、奇特な物好きは!一目見たくて、態々会いに来ちゃったよ!!」

 玄関が開き、大きな声が響き渡る。


「……リラ?」


 男がエドワルドに対し、奇特な物好きと言った事よりも、男がリラを呼び捨てにした事の方が不快であり、エドワルドは一気に不機嫌となり、ジーンは苦虫を嚙み潰したような顔をして、舌打ちをする。

 そしてリラはと言うと、無表情で相手を見据え、声を出す。

「キルロス兄様、エドワルド様に失礼です。すみませんエドワルド様。あれはわたくし達の従兄であるキルロス=ペール。旧姓はキルロス=セイルで、現セイル家当主の弟なのです」


 リラの言葉に、エドワルドは納得した。


「ああ、リラ嬢に余計な事を言っていたと言う、あの・・従兄ですか」

「うっわぁ~!とんでもない上物を捕まえたんだねぇ……?ん???あんた、どっかで見た事が……?気の所為かな?」

「すみませんね、エドワルド殿。キルロスは脳筋な上に、女性の顔ぐらいしか覚える事の出来ない従兄なので、放って置いても良いですよ。ああ、ただし、脳筋と言っても剣の腕は然程無いです。一般の兵士よりかは少し上と言える程度で、セイル家でも稀にしかいない、珍しいタイプの突然変異です」

「ちょっ、ジーン?!久々に会うって言うのに、酷い言われようじゃないかな?!僕、これでも従兄だよ?!しかも僕の方が年上なんだからね!!」

「年だけ上でも、尊敬出来る所の無いような相手に、敬意を払う気は有りませんよ」


 ジーンは冷たい声で、従兄じゃ無ければ始末してやるものを……と物騒な事を口にする。


「いやいや、ちょっと待ってよジーン!僕は君に、そこまで悪態吐かれるような事はしてないよね?!」

「僕の大切なリラに余計な事を言ってる癖に、何もしてないなんて、どの口が言うの?それとこちら、エドワルド=クルルフォーン公爵ですよ。貴族の分際で伯爵風情が、王弟公爵に喧嘩を売るような真似して良いと思ってるの?」


 ジーンの言葉でキルロスは、目の前にいるエドワルドが誰だか、やっと理解したようだ。
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