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後日談

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 出発当日、ジーンはエドワルドの馬車に乗り込み、領地に向かう事になった。

 本当は、二人の邪魔になるだろうからと、エヴァンス家の馬車で行くつもりだったのだが、エドワルドが、今まで仲の悪い兄妹を演じて来たのだから、今度は気兼ねなく仲の良さをアピールした方が、今までリラを散々貶めて来た奴等には良い薬になるでしょうし、義兄上にも幸せで居て貰わなければ、リラが悲しむでしょうからと説き伏せ、同じ馬車に同乗させたのだった。

 まぁ、リラとしては、馬車で色々と致されているので、気恥ずかしいのだが、ジーンが一緒の馬車に同行する事自体はとても嬉しいので、なるべく考えないように努力しているのだが、頬をほんのりと赤く染めている時点で両者には筒抜け状態で、ちょっとした同情と、内心物凄く悶えまくった想いを向けられている等思いもせずに、王都を出発。

 大所帯と言う事で、貴族の三人とサイナスにランドール、ダンとマッドに、レベッカと双子だけは道中の街の宿屋に泊まり、その他は街外れでの野営となった。

 因みに部屋割りは、リラとエドワルドは夫婦部屋で、お付きの部屋にはサイナスとランドール、もう片方のお付きの部屋にダン。ジーンの方は貴族の一人部屋で、お付きの部屋はレベッカと双子、もう片方はマッドが居座る。

 貴族の部屋は、左右に使用人達用の部屋が有る配置で、一人部屋の場合も、護衛と身の回りの世話人に分けられるようにされてあり、主人の部屋は、夫婦用と一人用では広さは違うが、主賓室と寝室の二つに分かれていて、バス、トイレが完備されているのだ。

 他の使用人達は野営では有るが、食料は街から調達して来れるし、クルルフォーン家とエヴァンス家の料理人も同行し、腕を競い合いながら楽しく調理していたので、傭兵達も美味しい食事にありつけた。

 ただ、深夜に賊達が現れたのだが、傭兵達とエヴァンス家の腕の立つ者達に、ボコボコにされて、翌朝街の役所に付き出された上、賊達は、恐慌状態に陥っていたそうだ。

 そして、宿屋に泊まっていた貴族組がそれの報告を受けた時、双子達はズルい~!と、文句を言っていたが、ダンに、じゃあ双子は次から野営組みに混ざるか?と言われると、それはそれで嫌だったらしく、首をブンブンと横に振り、道中に、出ろ~出ろ~!と口にして、余計なフラグを立てていた所為か、本当に出た時は嬉々として、真っ先に突っ込んで行ったので、一緒に同行していた傭兵達が唖然としていたりもした道中だった。
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