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後日談

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 リラは浴室で侍女達に磨かれ、部屋に入ると、そこにはトルソーに掛けられた、リラがクルルフォーン領で使用したウエディングドレスが有った。


「えっ?えっ?!何故これがここに?!」


 驚くリラに、レベッカが笑顔で答え、他の侍女達もリラの支度を始める。


「公爵様が、奥方様に内緒で、奥方様の生まれ育った領地でも、式を挙げたいと仰られ、前回の訪問前から画策していたそうですよ」

「?!そそそっ……そんなに前からですか?!」

「ええ。結婚式に参加出来ない領地の方々にも参加して頂いて、花嫁が幸せだと言う事をちゃんと皆に見せておきたいと仰られていらっしゃいましたよ」

「なので、あたし達も参加出来るんですよ~♪」

「愛されていますわねぇ、奥方様は♪さすがわたし達のリラお嬢様です!」


 侍女達はそんな事をリラに話しながら、ウエディングドレスを着付けていく。

(わたくし……幸せ過ぎですわ、エド様ぁ~!!)


「あら。泣いてはいけませんわよ、奥方様。今日は晴れの日なのですから」

「そうですよ?こういう時は、笑顔です!」

「皆にちゃんと見せてあげましょうねぇ♪幸せな姿を♥」


 勿論侍女達は、エドワルドの思惑である、リラに恋心をいだく者達を諦めさせる事、もしくは粉砕させる目的も入っている事を、承知の上で言っている。

 そもそも、ダンやジーンが睨みを効かせているからと、尻込みをする程度の想いなら、粉砕すれば良いと思うのだ。

 確かにリラは、高嶺の華だし、何より鈍い。

 しかし、エドワルドのように、周囲をドン引きさせる程の想いや、信じて貰えるまで、何度だって挑戦する勇気も努力もしないで、リラを見てるだけで満足している奴等が悪いとレベッカは思う。

(何人もが玉砕覚悟でリラ様を口説いていたら、平凡以下とまでは思わなかったかも知れないし、生涯独身お一人様生活等とは言わなかった筈よ。公爵様が口説きに来なければ、今でもきっと、社交界で行き遅れだと影で嘲笑う者達が大勢いたままだもの!)

 レベッカがそんな事を思っていただなんて知らずに、リラは泣きそうになるのを必死で堪えて、コクコク頷く。

(でも、リラ様の相手があの公爵様なら、社交界でもどこでも、リラ様を存分に着飾る事が出来るから、あたしとしては大満足なのです♪)


「では、仕上げのメイクに取り掛からせて頂きます♪」


 そう言ってレベッカは、メイク道具を掴み、リラを最高傑作にすべく腕を振るい、リラの良さを最大限引き立てるメイクを施した。
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