氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 リラの妊娠が分かったのは、それから三ヶ月が経過した頃。

 妊娠の初期症状と思われる悪阻つわりは無かった物の、月の物がかなり遅れている事と、リラがボンヤリとする事が多かった為、エヴァンス家の女医に来て貰い、診察を受けた事で、リラの妊娠が発覚する。


「おめでとう御座います、リラ様。リラ様のお腹にお子が宿っておいでです」

「やっぱり。おめでとう御座います、リラ様!!」


 付き添っていたレベッカが、先に反応する。

 レベッカは、薬を使わずにあれだけ愛されていたのだから、出来て当然だと思っていたが、口には出していなかった。


「えっ?……でも、悪阻とかは有りませんよ?」

「悪阻が無い人も居ますからね。それもその時々によりますから。まだ目立ちませんが、ちゃんとそこに、いらっしゃいますよ」

「エド様とのお子が、ここに……」


 リラは自分の腹部を撫でながらも、ジワジワと言葉の意味を理解したのだろう。満面の笑みを浮かべる。

 子供が出来ていて欲しいとは思っていたが、悪阻は無く、風邪のようなダルさを感じるので、ただ単に、体調が悪いだけかも知れないし、ぬか喜びなんてしたく無かったので、エドワルドが仕事に出掛けてから、サイナスに頼んで女医を手配して貰ったのだ。

 サイナスが顔を出し、女医から妊娠だと聞き、リラに祝いの言葉を述べる。


「良かったですね、若奥様。おめでとう御座います」

「だっ……旦那様に直ぐ、お知らせしなければ!!あっ、でも、わたくしの口から伝えたいですっ!今から王宮に!!でも、お仕事の邪魔に?!どっ、どうしましょう?!?」

「若奥様の体調を気にしておられたので、何か有れば直ぐに帰ると仰っておいででした。至急、ご帰宅して頂きましょう」

「でも、でも、理由も言わずにいたら、迷惑になってしまいます……」

「女医に見て貰い、その報告を直にしたいと手紙を書けば、直ぐにお戻りになりますよ。これ程喜ばしい事を、迷惑だなんて言うエドワルド様では有りませんし。若奥様、直ぐにでもお手紙を」


 リラが用意する前に、レベッカがさっさと手紙の用意をしてしまう。


「だっ……大丈夫でしょうか?」

「寧ろ、知っていてそのままにしていると、私が後で叱られてしまいます。使用人達にはまだ言いませんので、エドワルド様が帰られてから、先ずはエドワルド様に。その後で、他の使用人達の前で報告を二人でお願い致します」


 そう言ってサイナスは、リラが手紙を書き終えるまで待ち、早馬を王宮へと送った。
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