氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
443 / 805
後日談

3

しおりを挟む
 王宮で早馬から、リラの手紙を受け取ったエドワルドは、その場で開封し、目を通して早馬を飛ばして来た者に礼を言った上で、直ぐに帰宅すると告げ、執務室に引き返し、他の政務官達に今日は帰宅する事を告げ、早々に馬で帰宅する。

 結婚前は馬車で通っていたが、結婚後は、少しでも長く、リラのいる家にいたいので、馬車では無く馬で通うようになったのだ。

 こう言った緊急の場合、馬で通っていると、然程時間も掛からずに、家に着くから有り難い。

 リラは風邪のようだと言っていたが、女医に見て貰った報告を直にと言うのなら、風邪では無かったと言う事だろうが、直にと言うのが気に掛かる。


「サイナス、リラは?」


 出迎えたサイナスに簡潔に聞くと、サイナスも簡潔に答えてくれる。


「お部屋でお待ちです」

「有難う」


 頭を下げるサイナスを、横目で見ながら、その横を通り過ぎる際に礼を言う。

 そして、大急ぎで部屋に向かい、扉を開けると、振り向くリラに駆け寄るエドワルド。


「ただいま、リラ。それで、報告って何?」

「おっ、お帰りなさいませ、エド様!あのっ、あのっ……態々お呼び立てしてご免なさいっ!ですが、どうしても、わたくしから言いたくてっ!!」

「私の方は大丈夫だから。それで?どんな話なのかな?」


 慌て出し、若干泣きそうな顔になってるリラを抱き締めて、エドワルドは間近でリラと視線を合わせる。


「わっ……わたくしのお腹に、エド様とのお子がっ、お子が宿っているそうですっ!!」

「……子供?」

「はいっ!お仕事の邪魔をしてしまい、申し訳有りません。ですが、どっ、どうしても、どうしてもわたくしの口から伝えたかったのですっ!!」


 力説するリラに、満面の笑みを浮かべるエドワルド。


「……うん。有難うリラ。とても嬉しいよ。子供が出来た事も、リラから伝えて貰えた事も、凄く嬉しい。子供を宿してくれて、逸早く伝えてくれて、有難う。心から愛しているよ」


 エドワルドの優しい言葉と笑顔で、感極まったリラが、エドワルドの背に手を回して、ギュウッとエドワルドを抱き締め返す。


「わっ……わたくしも、愛していますぅ~!」


 リラの可愛さに、寝室に連れ込みたい衝動を抑えて、一応確認とばかりに女医に聞く。


「女医とは言え、女性に聞くのは失礼かも知れないけれど、妊婦であろうと、リラの魅力には抗えないだろうから、リラとの性的行為はどこまでして良いのか、聞いて置いても良いかな?」

「エド様?!」

「私にとって、とても重要な事だよ。半年以上リラと出来ないなんて、辛過ぎる。挿入が不可なら、口淫だけでもリラとしたい。リラだって、そんなに長く空けていれば、身体が疼いて辛くなる筈だよ?」


 エドワルドは悪びれ無くリラに言うが、リラは顔をこれ以上無いと言う程真っ赤に染め上げ、口を閉ざした。
 

「あー……そうですね、流れやすい危険な時期は過ぎているようですし、リラ様の体調が良ければ大丈夫ですよ。激しくするのは身体に負担が掛かり易いので、出来るだけ控えて頂きたいですが、挿入も可能です。……本当に公爵様は、リラ様が大好きなのですねぇ」


 呆れ混じりの女医の言葉に、エドワルドは、当然だと謂わんばかりに、リラを抱き締め直したのだった。
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...