482 / 805
後日談
15
しおりを挟む
それからマッドはコランと近くの食堂に行って、他愛の無い雑談に興じる。
「マッドさんは、他国の方だったのですか」
「ああ、こことは違いあまり名前も知られていない小さな国だが、他国との交流は多く、俺が住んでた町も港町だったから、あちこちの傭兵や旅人、商人が頻繁に出入りしてたぞ」
「私はこの国から出た事が無いので、少し羨ましいですね」
「あ~まぁ、場所にもよると思うぞ?俺の見て来た国の中には、もっと劣悪な国も有ったしなぁ。他国に出たら出たで、自分の国の良し悪しが解るが、場合によっちゃあ突然拘束されるって事も有るからなぁ。勿論、何をした訳でも無くと言った状況でだ」
「そう言った場合はどうすれば?」
「成り行きに任せるかだが、碌でも無い事を言ってくる連中も多いから、身体は鍛えとかなきゃあ死ぬ事も有り得る。護衛だなんだと頼むのは良いが、最後に自分の身を守るのは自分になるから、自国で満足する方が良いと思うぞ?他国民は奴隷と考える国も有るし、内紛で常に争いが絶えない国も有るぐらいだからなぁ」
そんな事を話していると、時計が目に入り、既に二時間程経過している事に気付く。
「っと、そろそろ帰る頃合いだなぁ。じゃあ、これは有り難く頂いて帰るぞ。またな」
マッドは貰ったシャツの入った袋を振りコランに挨拶をする。
「はい。もうそんな時間でしたか……。楽しかったです、マッドさん。また色々とお話を聞かせて下さいね!」
コランは名残惜しそうな顔をして、マッドとの別れを惜しんだ。
そして、マッドは職場に戻ると、貰った紙袋を開けて、中を覗き見る。
(あらぁん♪綺麗な色のシャツねぇ。若草色って言うのかしらぁ?あたしが着れるような物で、くすんだ色のシャツは割りと見掛けるけど、こんな綺麗な色のは、お目に掛かれなかったわぁ♪早速着てみちゃおうかしらぁ♪)
マッドはそんな事を思い、ソワソワしながら、シャツを手に取り着替えていると、扉がノックされる。
「だぁれぇ~?」
「ボクです、マッドさん。教えて頂いてた護身じゅ……つ……!!済みません!失礼しました!!!」
返答が有ったので、思わず開けてしまったライラは、マッドの着替え中に気付き、顔を真っ赤に染めて、出ていった。
(ライちゃん……。反応が可愛いけど、あたしの身体は男だから、男相手にそんな反応を示すと、いつか相手に食われちゃうわよ?)
ライラの反応を見たマッドが、この先のライラを大丈夫かしらと本気で心配した。
「マッドさんは、他国の方だったのですか」
「ああ、こことは違いあまり名前も知られていない小さな国だが、他国との交流は多く、俺が住んでた町も港町だったから、あちこちの傭兵や旅人、商人が頻繁に出入りしてたぞ」
「私はこの国から出た事が無いので、少し羨ましいですね」
「あ~まぁ、場所にもよると思うぞ?俺の見て来た国の中には、もっと劣悪な国も有ったしなぁ。他国に出たら出たで、自分の国の良し悪しが解るが、場合によっちゃあ突然拘束されるって事も有るからなぁ。勿論、何をした訳でも無くと言った状況でだ」
「そう言った場合はどうすれば?」
「成り行きに任せるかだが、碌でも無い事を言ってくる連中も多いから、身体は鍛えとかなきゃあ死ぬ事も有り得る。護衛だなんだと頼むのは良いが、最後に自分の身を守るのは自分になるから、自国で満足する方が良いと思うぞ?他国民は奴隷と考える国も有るし、内紛で常に争いが絶えない国も有るぐらいだからなぁ」
そんな事を話していると、時計が目に入り、既に二時間程経過している事に気付く。
「っと、そろそろ帰る頃合いだなぁ。じゃあ、これは有り難く頂いて帰るぞ。またな」
マッドは貰ったシャツの入った袋を振りコランに挨拶をする。
「はい。もうそんな時間でしたか……。楽しかったです、マッドさん。また色々とお話を聞かせて下さいね!」
コランは名残惜しそうな顔をして、マッドとの別れを惜しんだ。
そして、マッドは職場に戻ると、貰った紙袋を開けて、中を覗き見る。
(あらぁん♪綺麗な色のシャツねぇ。若草色って言うのかしらぁ?あたしが着れるような物で、くすんだ色のシャツは割りと見掛けるけど、こんな綺麗な色のは、お目に掛かれなかったわぁ♪早速着てみちゃおうかしらぁ♪)
マッドはそんな事を思い、ソワソワしながら、シャツを手に取り着替えていると、扉がノックされる。
「だぁれぇ~?」
「ボクです、マッドさん。教えて頂いてた護身じゅ……つ……!!済みません!失礼しました!!!」
返答が有ったので、思わず開けてしまったライラは、マッドの着替え中に気付き、顔を真っ赤に染めて、出ていった。
(ライちゃん……。反応が可愛いけど、あたしの身体は男だから、男相手にそんな反応を示すと、いつか相手に食われちゃうわよ?)
ライラの反応を見たマッドが、この先のライラを大丈夫かしらと本気で心配した。
34
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる