氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 シルビアが、馬車から顔を出した時、周囲が一気に騒ぎ出した。

 今までとは全く違う、シルビアの雰囲気と姿に驚いて。

 勿論シルビアの凛とした立ち姿は変わらないし、別人に近いと言っても、シルビアに変わりは無い。

 だが、今までに無い女の色香と、スタイルの良さが強調された中で、心底嬉しそうな、満面の少しあどけない笑顔を見せるシルビアは、今までの印象とは全く違う、魅力溢れる女性でしか無い。

 実際、ダンを兄貴と慕っていた護衛の男達も、ダンに言われて渋々シルビアを影ながら守っていただけで、ダンに言われて無ければどうでもいい存在だと思っていたのに、シルビアのこの姿を前にした時、内心、趣味悪いなんて思ってすみませんでした~っっ!!!と大いに反省してたのだ。

 身近な者達ですらこれなのだから、今までシルビアを見下し、毛嫌いしていた男達にとって、晴天の霹靂のような物だろう。

 しかも当のシルビアは、ダンの前でのみ見せる、幸せオーラ全開の状態で、近寄り難いだの取っ付き難いだのの雰囲気は欠片も無い状態だ。


「ダン、好きです!格好良いです!惚れ直しました!誰にも見せたく無い程に、とってもとっても大好きです!!」

「そりゃあ良かった。シルビーも一段と綺麗だな。似合ってるぞ」

「本当ですか?!嬉しいです!!さすがクレアとレベッカです!私、もう、嬉し過ぎて、天にも昇れそうな程の夢心地なのです!」

「おいおい、勝手に一人で昇んなや。俺を置いて死ぬなんざ許さねぇし、俺が今夜以降、もっと良い思いをさせてやる。寝かさねぇから覚悟しろ」


 ダンの言葉にシルビアは顔を赤く染め、モジモジしながら潤んだ瞳でダンを上目遣いに見上げる。


「やっ……約束、ですよ?」

「当たり前だろ。この俺が、シルビーと結婚出来ないなら、生涯一人身通すとまで決めてた女だぞ?初めて会った時から、ずっと極上の女だと気付いてたが、俺との約束で十年間待たせてたし、横取りされても仕方ねぇし、本来なら、こんな極上一級品、気付かねぇ方がおかしいんだが、盲目なのか、口説かれる事も持っていかれる事も無く、俺としては、本当に助かった」

「口説かれる訳有りませんよ。私を女性扱いするのはダンだけですから……」


 シルビアが、街の男達を無関心な目に映す。まるで、物か何かのように。


「それが間違いで、見る目が無さ過ぎだってんだ。まぁ、そのお陰で俺ぁシルビーを独り占め出来たんだし、感謝したいぐらいだがなぁ。こんな極上品を気付かず見逃してくれて有難うよってなぁ」


 ダンはそう言って、シルビアを抱き締めながら、少し離れた場所にいる、街の男達に目を向け、ニヤリと嘲笑わらった。

 そして街の男達は、女神のようなシルビアに見惚れながらも、自分達が散々蔑んで来た事を後悔しているようだったが、既に遅い。

 シルビアは、最早ダンだけの物で、当のシルビアからは、何の情も無い、無関心な視線だけを向けられる羽目になっていたのだから。 
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