氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

後日談

6

　サイナスの子供キャリーは、エヴァンス領の本宅にて、現在祖父母に、この服が良い、これも似合う、あれはどうかと、着せ替えごっこの真っ最中だ。

　いつ購入したんだ？とは思うものの、両親達の好きにさせる。


「キャリーはモーラと似て、目が可愛いからね。僕の自慢の娘だよ。勿論モーラも自慢の愛しい妻だからね」

「わたしにとっても、キャリーは愛しの旦那様に似た、可愛い自慢の娘です」

「僕としては、息子も欲しいなと思ってるんだけど、モーラはどう思う？」

「勿論、息子も欲しいです♪顔立ちは、サイナスにそっくりが良いですわ」

「じゃあ、色合いはモーラかな。キャリーは両親達に任せて、久し振りに、街へデートに行こうか。街の者達にも、仲が良い所を存分に見せ付けて置きたいからね。それに、久し振りに、思い出のあの宿にも行きたい」


　そう言ってサイナスは、モーラ連れて、二人で街中へと出掛けて行った。

　クレアの方は、両親がエヴァンス家を訪ねに来てくれ、孫のココアを可愛がっているので、クレア達は両親にココアを任せて、本宅に有る作業部屋で、大好きな製作を始める。

　二人は、天職と言っても良い程、物作りが大好きで、今は子供服やマタニティードレス等も製作し、リラだけで無く、レベッカやモーラ、シルビアにライラ、自身の物も作り、重宝がられてもいる。

　コランはセンスが良いし、覚えも早いから、一度習得すれば、時間がドンドン短縮出来て行くから頼もしい。

　時折時間を忘れて没頭してしまう事が有るので、そんな時は、クレアが構えとばかりに悪戯を仕掛けるのだが。

　コランは子育ても積極的に参加してくれる、良い父親だ。

　勿論他の父親達も子供達を可愛がり、積極的に子育て参加し、母親だけが頑張ると言う事にはならないので、大いに助かっている。

　ここでは領主からしてそうだから、使用人達も、必然的にそうなったと言う事では有るが、やはり子育てに参加してくれると、その大変さも理解してくれるから有り難い。

　他の貴族連中なんて、男女関係無く、時折可愛がるだけで、全て乳母任せ、人に依っては構う事も何もしないと言う親まで居る始末だ。

　その点、エドワルドもリラも、全てを乳母任せにするタイプでは無いので、子供達は皆、愛情たっぷりに育っている。

　今ではちょっとした言葉も喋り出すリカルドが、エドワルドに可愛がられる姿は、親子揃って眼福と言えよう。

　勿論、そこにはリラも居て、ミゲールと一緒に並べば、一枚の美しい絵が飾られて居るかのようだが、彼等は生身の人間で、それを見守る者達に、幸せを分け与えてくれるのだ。

　時折、この幸せに横槍を入れようとするお馬鹿達が現れるが、クルルフォーン夫妻に辿り着く前に、使用人達が素早く裏で、排除していたのだった。