氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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「騎士の諸君、ご苦労。私はこの地の領主に着任するネイル=グリマード。国王陛下から直々に伯爵位を賜っている。こちらは妻のレイニーだ。この地はゴート領からグリマード領へと名が変わる。王国騎士達に聞き及んでいると思うが、前領主で有るダミアン=ゴートが、次女のサラ=ゴートと共に罪を犯したからだ。ゴート邸やゴート家の所有する物等は、そのまま全て引き継ぐが、罪人で有るダミアン=ゴートとサラ=ゴートの私物は処分する。ここに居る使用人達は能力次第で雇う事を検討するが、雇い主が私だと言う事を忘れるな」


 ネイルは最初に王国騎士に声を掛け、軟禁されてる使用人達に話し掛ける。

 その声は事務的で冷たいが、植物とレイニー以外興味の無いネイルにとっては通常運転だ。

 それに、ここに居る使用人達の殆どは、ダミアンやサラにとっての、都合の良い者達で有って、ネイルからすればそうでは無い。

 あの二人が重用する使用人達よりも、あの二人が追い出した使用人達の方が、余程役に立つだろう。

 エヴァンス家の使用人達が、あの二人に不当解雇された使用人達の居場所を見付け接触し、復職に対し、色好い返事を貰っているとジーンから話を聞いているので、エヴァンス家の使用人達が相手に渡した紹介状を持って訪ねて来るので、それを受け取れば良いようになっている。

 因みにエヴァンス家の使用人達は、ここに居る使用人達の能力をある程度把握し、それもジーン経由でネイルに報告してくれている。

 そんなエヴァンス家の使用人達の事だ。

 ネイルがこの邸に着く日程も、大体把握しているだろうから、今日明日にでも、彼等が訪ねて来る可能性が高い。

 ここに居る使用人達は驚く事だろう。

 以前追い出された使用人達が舞い戻り、立場的にも彼等の方が上になるのだから。

 因みに、今居る使用人達が解雇された所で、不当解雇には当て嵌まらない。

    領名が変わると言う事は、血縁関係では無いと言う事で、それは領主の血筋が途絶えたか、領主が罪人になったか、国に領地を返還する理由が有ったかで、新しい領主に選ばれる者は、国王陛下に認可された貴族で有るから、専属の使用人達が新しい領主に最初から居てもおかしくは無いからだ。

 その為領名が変わった時期に解雇された場合は、紹介状の代わりに前領主の元で働いて居た事の証明書を出して貰えば良い。

 ただし、前領主の犯罪に、荷担していないと言う証明書は無い。

 なので、切り捨てた相手より立場が低くなろうが、その使用人達に冷たくされようが、前領主の時より給金を下げられようが、残れるように必死に頑張った方が良いだろう。

 本来、この地を継ぐ筈だったアシュリーに対して、長年酷い扱いをして来たのだから、それぐらい甘んじるべきだとネイルも思ったのだった。
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