702 / 805
後日談
4
しおりを挟む
ネイルの横には旅装の、動き易そうな簡素なドレスを着たレイニーが居たが、その後ろには二人の男性が控えていた。
彼等はネイルの専属として雇われている者達で、一人は従者、一人は護衛と言った格好をしているが、ネイルが植物学者としてあちこち旅をし、家には殆ど居着かなかった為、二人共、ネイルとレイニーの旅に同行し、数々の経験を積み、その結果、他家の使用人達よりも、エヴァンス家の使用人達寄りのスキルとスペックを持っていた。
因みに従者の格好をしている男性は経理を熟す者で、名をジョシュアと言い、ジョシュアは元々、エヴァンス家と取り引きをする商人の息子で、エヴァンス領の学校に通っていた経歴を持つ。
在学中にネイルと関わった事は無かったが、王立学院が長期休暇の際、エヴァンス領の学校へと通い続けていたと聞き、どんな人物か興味を持ち、調査をすると凡そ貴族らしく無い侯爵子息で、嬉々として土弄りをして新種や改良品を作り出すネイルに、ネイルの側でネイルが育てた植物を広く世間に広めてみたいと思い、ネイルの専属として雇って欲しいと思うようになってしまったのだ。
その後ネイルの元に行き、専属として雇って欲しいと直接伝えるも、興味無いとばかりに渋い顔をされたが、丁度その頃、ネイルが唯一異性として興味を抱き、求婚をしていたにも関わらず、レイニーの両親がレイニーをお金の為に金持ちの老貴族に売り飛ばそうと企んでいたので、その証拠を集め、ネイルがレイニーを保護した後に手切れ金を渡して、二度とレイニーに近付かない事を約束させ、使える事を実証し、雇って貰う事が出来たのだ。
植物学者として各地を巡っていたネイルに土地は無かったが、そろそろ思う存分、研究に没頭出来る土地が欲しいと思っていた矢先にジーンからの話が来たのだ。
しかもそこは作物が育ち難い土地で、だからこそ、ネイルにとって遣り甲斐の有る理想的な土地なのだ。
本来ならばアシュリーが継ぐ筈だった土地だが、馬鹿な父娘の所為で国に返還する羽目になったから、せめて、歴代ゴート家の当主だった者達の長年の夢だった、『作物が育つ土地』にしてやって欲しいとジーンから頼まれた土地でも有る。
ネイルはアシュリー本人に会わせて貰ったが、アシュリーはネイルの本を知っていて、ゴート領にいた時にその本と出会っていたならば、試してみたかったとまで言っていたので、そんなアシュリーに、作物が育っている所を見せてやりたいと思えたのだ。
そんなネイルの思いと、ジーンの花嫁となる令嬢の事情を教えて貰ったジョシュアは、彼女が遊びに来る時に、居心地の良い空間を作る事が、ネイルの専属使用人の務めだと思ったので、先ずはこの邸の使用人達を、残すなら残すで、徹底的に再教育を施し、お客様にも不愉快な思いをさせないようにしなければと、ここに居る使用人達を冷ややかに見ながら思ったのだった。
彼等はネイルの専属として雇われている者達で、一人は従者、一人は護衛と言った格好をしているが、ネイルが植物学者としてあちこち旅をし、家には殆ど居着かなかった為、二人共、ネイルとレイニーの旅に同行し、数々の経験を積み、その結果、他家の使用人達よりも、エヴァンス家の使用人達寄りのスキルとスペックを持っていた。
因みに従者の格好をしている男性は経理を熟す者で、名をジョシュアと言い、ジョシュアは元々、エヴァンス家と取り引きをする商人の息子で、エヴァンス領の学校に通っていた経歴を持つ。
在学中にネイルと関わった事は無かったが、王立学院が長期休暇の際、エヴァンス領の学校へと通い続けていたと聞き、どんな人物か興味を持ち、調査をすると凡そ貴族らしく無い侯爵子息で、嬉々として土弄りをして新種や改良品を作り出すネイルに、ネイルの側でネイルが育てた植物を広く世間に広めてみたいと思い、ネイルの専属として雇って欲しいと思うようになってしまったのだ。
その後ネイルの元に行き、専属として雇って欲しいと直接伝えるも、興味無いとばかりに渋い顔をされたが、丁度その頃、ネイルが唯一異性として興味を抱き、求婚をしていたにも関わらず、レイニーの両親がレイニーをお金の為に金持ちの老貴族に売り飛ばそうと企んでいたので、その証拠を集め、ネイルがレイニーを保護した後に手切れ金を渡して、二度とレイニーに近付かない事を約束させ、使える事を実証し、雇って貰う事が出来たのだ。
植物学者として各地を巡っていたネイルに土地は無かったが、そろそろ思う存分、研究に没頭出来る土地が欲しいと思っていた矢先にジーンからの話が来たのだ。
しかもそこは作物が育ち難い土地で、だからこそ、ネイルにとって遣り甲斐の有る理想的な土地なのだ。
本来ならばアシュリーが継ぐ筈だった土地だが、馬鹿な父娘の所為で国に返還する羽目になったから、せめて、歴代ゴート家の当主だった者達の長年の夢だった、『作物が育つ土地』にしてやって欲しいとジーンから頼まれた土地でも有る。
ネイルはアシュリー本人に会わせて貰ったが、アシュリーはネイルの本を知っていて、ゴート領にいた時にその本と出会っていたならば、試してみたかったとまで言っていたので、そんなアシュリーに、作物が育っている所を見せてやりたいと思えたのだ。
そんなネイルの思いと、ジーンの花嫁となる令嬢の事情を教えて貰ったジョシュアは、彼女が遊びに来る時に、居心地の良い空間を作る事が、ネイルの専属使用人の務めだと思ったので、先ずはこの邸の使用人達を、残すなら残すで、徹底的に再教育を施し、お客様にも不愉快な思いをさせないようにしなければと、ここに居る使用人達を冷ややかに見ながら思ったのだった。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる