704 / 806
後日談
5
しおりを挟む
ネイルの護衛の方は、昔から侯爵家に居た者で、名をイグルスと言う。
イグルスは元々、侯爵家の遠縁に当たる貴族の息子で、後継ぎでは無い為、ネイルの父が学院卒業後はウチで働かないかと声を掛けてくれたのだ。
その為、ネイルの事は幼い頃から知っていたし、オカン気し……面倒見の良いイグルスは、ネイルを弟のように可愛がり、ネイルの面倒をよく見ていた。
勿論、レイニーを新種の植物と同様な扱いをしていた事や、エヴァンス領の学校に植物学者が居るとどこからか聞き付け、貴族位を捨てるからエヴァンス領の学校に通わせて欲しい!と、エヴァンス家の当主に直談判しに行った事も知っている。
どちらも頭を抱えた事だし、ネイルにお小言を言っていた覚えも有るからだ。
そんなネイルが、レイニーを駆け落ちの如く家に連れ帰って来た時は、心の中で、それは新種の植物じゃないっ!!と叫んだりもしたが、レイニーの親が彼女を金持ちの老貴族に売り飛ばそうとしてたらしいから引き取って来たと言うネイルと、彼女の親が金持ちの老貴族に売り飛ばそうとした金額を手切れ金として渡し、軽く脅して念書も貰って来たので大丈夫ですと言うジョシュアに対し、縁切りまでしなくてもとぼやいたのだが、続くジョシュアの言葉に前言撤回した。
曰く、侯爵子息で顔が良いとは言え、嫡男では無いから、爵位も金も無いに等しいし、あの性格なら伝は親族だけで役に立たないだの、逆に負債を抱えそうだ等と好き勝手言っていたそうだ。
そのネイルが植物学者として誰もが名を知るようになり、財を築き、国王陛下から直々に爵位を賜る事になるとは思ってもいなかっただろう。
ネイルがレイニーに求婚していた時は、既に学者として稼ぎ始めていたのに、それすらも知らずに邪険に扱ったのだから、自業自得と言えよう。
イグルスの面倒見は物凄く良い方だが、それは懐に入った者、身内や家族、仲間と認識された者に限る。
この邸に居る使用人達の事は、エヴァンス子息で有るジーンからの手紙をネイルが直接イグルスとジョシュアに見せた為、詳細を知っている。
本来他者の評価を鵜呑みにするイグルスでは無いが、エヴァンス家の情報収集能力や、凄さの片鱗を、度々見せ付けられているので信用度も高く、疑うだけ無駄だと思っている。
そして、同僚と言った類いの仲間と見做す基準の高いイグルスが、その手紙で本来継ぐべき後継者だったアシュリーにやらかした使用人達を同僚と認める理由も無く、手紙の最後に『そちらの領民だから、処分は好きにして構わない。だが、奥方が被害に合う可能性や、ネイルの客に迷惑を掛ける可能性も考慮した方が良い事を助言する』との文面を確りと胸の奥に刻んだ。
「ジョシュア、貴族の使用人として相応しく有るよう、徹底的に再教育しろ。無能は切り捨ても良いが、二度と我々や他の貴族と接する事が無いようにしろよ?」
「勿論ですよ。任せて下さい」
ネイルが元ゴート家の使用人達に自己紹介している後ろで、最終確認と云わんばかりにこんな会話がなされていた事を、その場に居た元ゴート家の使用人達は全く気付きもしなかったのだった。
イグルスは元々、侯爵家の遠縁に当たる貴族の息子で、後継ぎでは無い為、ネイルの父が学院卒業後はウチで働かないかと声を掛けてくれたのだ。
その為、ネイルの事は幼い頃から知っていたし、オカン気し……面倒見の良いイグルスは、ネイルを弟のように可愛がり、ネイルの面倒をよく見ていた。
勿論、レイニーを新種の植物と同様な扱いをしていた事や、エヴァンス領の学校に植物学者が居るとどこからか聞き付け、貴族位を捨てるからエヴァンス領の学校に通わせて欲しい!と、エヴァンス家の当主に直談判しに行った事も知っている。
どちらも頭を抱えた事だし、ネイルにお小言を言っていた覚えも有るからだ。
そんなネイルが、レイニーを駆け落ちの如く家に連れ帰って来た時は、心の中で、それは新種の植物じゃないっ!!と叫んだりもしたが、レイニーの親が彼女を金持ちの老貴族に売り飛ばそうとしてたらしいから引き取って来たと言うネイルと、彼女の親が金持ちの老貴族に売り飛ばそうとした金額を手切れ金として渡し、軽く脅して念書も貰って来たので大丈夫ですと言うジョシュアに対し、縁切りまでしなくてもとぼやいたのだが、続くジョシュアの言葉に前言撤回した。
曰く、侯爵子息で顔が良いとは言え、嫡男では無いから、爵位も金も無いに等しいし、あの性格なら伝は親族だけで役に立たないだの、逆に負債を抱えそうだ等と好き勝手言っていたそうだ。
そのネイルが植物学者として誰もが名を知るようになり、財を築き、国王陛下から直々に爵位を賜る事になるとは思ってもいなかっただろう。
ネイルがレイニーに求婚していた時は、既に学者として稼ぎ始めていたのに、それすらも知らずに邪険に扱ったのだから、自業自得と言えよう。
イグルスの面倒見は物凄く良い方だが、それは懐に入った者、身内や家族、仲間と認識された者に限る。
この邸に居る使用人達の事は、エヴァンス子息で有るジーンからの手紙をネイルが直接イグルスとジョシュアに見せた為、詳細を知っている。
本来他者の評価を鵜呑みにするイグルスでは無いが、エヴァンス家の情報収集能力や、凄さの片鱗を、度々見せ付けられているので信用度も高く、疑うだけ無駄だと思っている。
そして、同僚と言った類いの仲間と見做す基準の高いイグルスが、その手紙で本来継ぐべき後継者だったアシュリーにやらかした使用人達を同僚と認める理由も無く、手紙の最後に『そちらの領民だから、処分は好きにして構わない。だが、奥方が被害に合う可能性や、ネイルの客に迷惑を掛ける可能性も考慮した方が良い事を助言する』との文面を確りと胸の奥に刻んだ。
「ジョシュア、貴族の使用人として相応しく有るよう、徹底的に再教育しろ。無能は切り捨ても良いが、二度と我々や他の貴族と接する事が無いようにしろよ?」
「勿論ですよ。任せて下さい」
ネイルが元ゴート家の使用人達に自己紹介している後ろで、最終確認と云わんばかりにこんな会話がなされていた事を、その場に居た元ゴート家の使用人達は全く気付きもしなかったのだった。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる