779 / 805
後日談
17
しおりを挟む
双子達の結婚は、二年後の十八歳を目処に、話が進められた。
貴族女性の結婚適齢期は十六歳からでは有るが、十六~十七歳は基本、家の事情に依り婚姻を急ぐ場合が殆どで、男性の場合の適齢期は学院を卒業後の十八歳から。
ミリアムの場合、前回相手に婚約を破棄されたが、こちらに疚しい事は無いし、本来は十八で結婚する予定だったので、三人が十八になってからでも遅くは無いとの判断だ。
あまり早く済ませても、どちらかに急ぐ理由でも有るのかと勘繰る輩が出ないとは言えないのが貴族社会だ。
クルルフォーン家の関係者との縁組みを、羨み妬む者達だって確実に居るだろう。
元々エドワルドに取り入りたいと思ってた者達も多かったが、リラの本性を知り、お近付きになりたい者達が更に増えてはいるが、そんな隙を与えないのがエドワルドとジーンなのだから、どれだけ頑張ろうと近付けないのが現状だ。
ローズウッド家は元々エドワルドと親交が有ったが、ローレン家はローズウッド家との親戚とは言え、社交場ではそれ程親しく見えなかった為、ミリアムの元婚約者の家も次男とは言えローズウッドの関係者が関与してくるとは思ってもいなかったのだろう。
実際は親しい間柄だが、それを知る者は少ない。
シリウスが公私混同をせずにいたからだが、公私混同をしていたら、ローレン家はローズウッド家に取り入りたい貴族達からの猛烈なアプローチを受けていた筈だ。
公爵家とは言え、問題の多い隣国と隣接する故に、年間の殆どを領地で過ごすローズウッド家が、王都に比較的近くの領地を持ち、王都に居る事の多いローレン家を常に守る事は不可能だった。
数年前までは。
隣国がこの国に喧嘩を吹っ掛けて来なければ、今でもバルトは隣国を警戒していただろうし、双子達に出会えた時期が、クルルフォーン公爵夫妻の婚姻後だった可能性も有るだろうし、その場合、今回のような縁談話が持ち上がらなかった可能性も否定出来ない。
まぁ、七十年程前の教訓を生かして居れば、この国に喧嘩を吹っ掛ける事すら無かっただろうから、隣国に感謝する気は更々無いし、この国の怒らせてはいけない複数の者達の地雷を幾つも踏み付け、誘発もさせているのだから、自業自得でしか無いのだが。
今では隣国との問題も解決した為、バルトはもう一人の息子に領地を任せて、王都中心の生活を過ごしても問題無い。
今後ローレン家と表立った交流をしても、横槍や猛烈なアプローチを阻止する事が出来るだろう。
しかもそれは、ローズウッド家に限らず、クルルフォーン家も結託してくれるのだから。
今までローレン家を、高位公爵との縁を無駄にしてる、取るに足らない侯爵家だと思い込んでた連中は、過去に下した自らの判断ミスを嘆く事になるのだった。
貴族女性の結婚適齢期は十六歳からでは有るが、十六~十七歳は基本、家の事情に依り婚姻を急ぐ場合が殆どで、男性の場合の適齢期は学院を卒業後の十八歳から。
ミリアムの場合、前回相手に婚約を破棄されたが、こちらに疚しい事は無いし、本来は十八で結婚する予定だったので、三人が十八になってからでも遅くは無いとの判断だ。
あまり早く済ませても、どちらかに急ぐ理由でも有るのかと勘繰る輩が出ないとは言えないのが貴族社会だ。
クルルフォーン家の関係者との縁組みを、羨み妬む者達だって確実に居るだろう。
元々エドワルドに取り入りたいと思ってた者達も多かったが、リラの本性を知り、お近付きになりたい者達が更に増えてはいるが、そんな隙を与えないのがエドワルドとジーンなのだから、どれだけ頑張ろうと近付けないのが現状だ。
ローズウッド家は元々エドワルドと親交が有ったが、ローレン家はローズウッド家との親戚とは言え、社交場ではそれ程親しく見えなかった為、ミリアムの元婚約者の家も次男とは言えローズウッドの関係者が関与してくるとは思ってもいなかったのだろう。
実際は親しい間柄だが、それを知る者は少ない。
シリウスが公私混同をせずにいたからだが、公私混同をしていたら、ローレン家はローズウッド家に取り入りたい貴族達からの猛烈なアプローチを受けていた筈だ。
公爵家とは言え、問題の多い隣国と隣接する故に、年間の殆どを領地で過ごすローズウッド家が、王都に比較的近くの領地を持ち、王都に居る事の多いローレン家を常に守る事は不可能だった。
数年前までは。
隣国がこの国に喧嘩を吹っ掛けて来なければ、今でもバルトは隣国を警戒していただろうし、双子達に出会えた時期が、クルルフォーン公爵夫妻の婚姻後だった可能性も有るだろうし、その場合、今回のような縁談話が持ち上がらなかった可能性も否定出来ない。
まぁ、七十年程前の教訓を生かして居れば、この国に喧嘩を吹っ掛ける事すら無かっただろうから、隣国に感謝する気は更々無いし、この国の怒らせてはいけない複数の者達の地雷を幾つも踏み付け、誘発もさせているのだから、自業自得でしか無いのだが。
今では隣国との問題も解決した為、バルトはもう一人の息子に領地を任せて、王都中心の生活を過ごしても問題無い。
今後ローレン家と表立った交流をしても、横槍や猛烈なアプローチを阻止する事が出来るだろう。
しかもそれは、ローズウッド家に限らず、クルルフォーン家も結託してくれるのだから。
今までローレン家を、高位公爵との縁を無駄にしてる、取るに足らない侯爵家だと思い込んでた連中は、過去に下した自らの判断ミスを嘆く事になるのだった。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる