氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
780 / 805
後日談

18

しおりを挟む
 婚約後は、ルークスの仕事が休みの日に、ローレン家へとミリアムを迎えに行ってクルルフォーン邸に行き、四人で過ごす時も有れば婚約者同士で過ごす事も有り、帰りもルークスがミリアムをローレン家に送り、王宮の自室かローズウッドの邸にへと顔を出すのが日常となる。

 そしてクルルフォーン夫妻が遠出する時は、出発日にエヴァンス家とローレン家、ローズウッド公爵夫妻が王都に居る時はローズウッド家にも顔を出し、出発の挨拶を済ませて行き、帰りも王都に帰還の挨拶をするのが通常となり、ローズウッド領に行く時は、ルークスは休暇を申請し、ミリアムも同行し、クルルフォーン夫妻と共に、楽しく賑やかな旅を満喫する。

 双子はクルルフォーン家、ミリアムはルークスに守られながら、各々楽しい婚約期間を過ごしていく。

 そんな四人が婚約して二年後、晴れ晴れとした青空の下で、二組の合同結婚式がクルルフォーン邸内にて行われた。

 花嫁花婿の衣装は、当然エヴァンス家の謎の仕立て人で有るクレアが製作したいと手を上げ、取り掛かった力作だ。

 招待客は両家の親しい関係者のみで、その中には国王夫妻も、非公式ながら参列する。


「ルナとルネはわたくしの恩人ですし、その上ルナの相手はアレク様の護衛騎士でも有るルークス様ですもの。勿論参加させて頂きますわ♪」


 アナスタシアは当然とばかりに主張し、ルークスと仲の良いアレクシスの護衛騎士達も、仕事に乗じて参列する。

 最初、マッド達が式を挙げた王都の教会でも式を挙げようかと言う話も出たが、それをすると、呼んでもいない貴族が噂を聞き付け、クルルフォーン家との繋がりを求めて参列しようと教会に押し掛けて来る可能性も否定出来ない。

 何せ、使用人や平民、貴族の嫡男嫡女以外の結婚式は、祝福するなら招待客で無くとも参列可能だ。

 マッド達の場合、クルルフォーン夫妻を除けば、参列者は平民だった為、そこに紛れると言う事は平民を相手にすると言う事になり、階級社会を重んじる貴族にとっては論外だったが、今回の場合、片や伯爵位を賜った公爵子息、片や侯爵令嬢なので、参列者は貴族ばかりになるのが目に見えている。

 そしてその相手は平民と言えど、クルルフォーン公爵家の使用人で、国王夫妻のお気に入りとなれば、取り入れるものならこれ幸いと、主役の花嫁花婿に接触し、自身に都合の良い言葉を引き出そうとするだろう。

 ただ、ルナとルネは、貴族相手にお披露目しなければならない理由は無いし、街に親しい知り合いも居ない。

 ミリアムは元々それ程交流は無く、婚約を破棄された直後は笑い者にされていたぐらいだし、ルークスの親しい友人は近衛内に居るので、国王夫妻の護衛に配置すれば良いだけだ。

 なので、クルルフォーン邸でのみ、式を挙げようと言う話に落ち着いたのだ。


「「ルナとルネ、家族増えた!嬉しい、幸せ~♪」」


 双子達は満面の笑顔で、自分達の式に招かれた人達と共に、この幸福を分け合ったのだった。
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...