出会いと別れと復讐と

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｢ちょっと、シーラ。いい加減にしなさいよ！｣

｢そうよ！あなたが悪いのに、子供に八つ当たりなんて、何を考えてるのよ｣

｢自分の都合が悪くなったからって、それはないでしょ。彼女が怒るのは当然よ｣


　他の女性達が、口々にシーラを非難する。


｢ちっ、違うわ！だってこの子っ!!｣


　蒼白な顔のまま、尚もシーラは言葉を重ねようとするが、完全に逆効果で周りの反感を買うだけだ。


｢もういいわ。シーラはあっちに行ってなさい｣

｢ごめんね、カルラちゃん。彼女には暫く頭を冷やしてもらうわ｣

｢……ええ、そうして。あんな人だったなんて……｣


　カルラが冷めた視線でシーラを見送る。シーラは一番遠い席へと連れて行かれ、何やら喚わめき、店を出ていった。

　(まぁ、当然よね。帰りにどこかで待ち伏せてる可能性もなくはないけど、彼等の前で襲えばそれこそ余計に悪者になるだけだし、それは街を出る時でも同じ事。もし、あたしと二人切りになるよう画策して、万一成功したなら、あたしが直々に記憶を改竄してあげるわ。引き籠りたくなるような記憶をね)

　カルラの記憶改竄能力は、触れずとも、カルラの視界に入る距離なら一応出来る。魔力感知する者やそういった機械に感知されたくないだけで、人一人ぐらいなら、容易に改竄出来るだろう。いつもなら複数同時に使用しているのだから。

　複数の研究員や能力者を同時に記憶改竄出来る能力を持つカルラが、街娘の一人や二人に怯える理由は全くないのだ。


｢ああ、料理が来たみたい。気を取り直して食べよう。ティファはどれから食べる？｣


　カルラは隣のティファに微笑んで、気持ちを切り替える。

　ティファはじっとカルラを見て、カルラが傷付いてないか確認して、大丈夫だと判断し、笑みを浮かべる。

　(ああ、やっぱりティファは最高の癒しね。これで守護者達が鬼門じゃなければもっと良かったのに……。そもそも、彼等が他の女性達にどう対応してるのかが見たかったのに、何で私を持ち出すのよ。放って置いてくれたら大人しくしてたってのに……)

　カルラはティファが指差した食べたい物を取り分けてティファに手渡す。いつもはエンヤがしているが、カルラはエンヤを無視して二人で食べ始める。

　街の人間がオススメと言うだけあって、料理はとても美味しかった。

　女性達はシーラの二の舞は踏むまいと、家族の話題を避ける。

　それは、家族でも血縁でもない彼等にとってもあまり話題にしたくない話なので、追求されずにいるのは有り難い事だった。