出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 カルラは早々食べ終わり、その後その店でピークが過ぎるまで働く。

 訝しむ客には女のした事を話して、この店の迅速な謝罪や対応も喋る。カルラを殴ろうとした事は黙っているが、公式に発表される時には知らされるだろう。ただし、その時にはカルラ達は街を去っているし、ティファの耳に入る事はない。

 ピークが終わり、店長にお礼と連れの分も含めた飲み物、そして手伝いの賃金を貰う。

 お金は最初、断ろうとしたが、迷惑料も含んでるし、旅をするなら邪魔になる事はないから受け取ってくれと言われた為だ。

 ノックをして休憩室へと入る。


「お待たせ。ピークが過ぎたから、もう上がって良いって。後、これも貰った」


 飲み物を各々の前に並べ、賃金も置く。


「何だ?それは」

「賃金と迷惑料だって」

「ならそれはお嬢の物だよ。今回はお嬢のお手柄だし」

「カルラさんが働いたお金です。カルラさんが受け取って下さい」

「そう。なら、貰っておくわ。疲れたから、これを飲んで早く宿に帰りましょう」


 魔力は使ってないものの、寝不足状態で動いてるのと同じ物だ。半分程しか回復してない為、宿に帰ってさっさと寝た方が良いだろう。


「ティファ、荷物有難う。眠くない?」


 カルラの言葉に大丈夫だと言うかのように口角を上げ微笑むティファ。

 (こんなに可愛い子に八つ当たりや嫌がらせをする女共の気が知れないわ。こいつ等のどこが良いんだか。顔の良さって言うかも知れないけど、外見なんて年取りゃ変わるし、人によっては能力で変えられるっての。その点ティファは中身が物凄く可愛いってのに、本当、鬼門に群がる女共の、見る目の無さには呆れるわ)

 カルラの好きなヴィートも美形ではあるが、カルラにとってヴィートは鬼門ではない。そもそも、見掛けで好きになった訳ではないし、物心付いた時には家族同様だったのだ。

 そして一度だけ、ヴィートに関する女が絡んで来た事はあったが、その日中に親と共に、念書を持って謝罪に来た。真っ青な顔をして。

 ヴィート兄さん何をしたんだろうと思ってたら、当の本人が来て、カルラを抱き締め『怖かったよね、ごめんねカルラ!二度とこんな事が起きないようにするから!』と謝られてしまい、聞いてはいけない気がしたのだ。しかも本当にそれ以降、ヴィートの名を出す女は来なかったのだから、何等かの対策を取ってくれてたのだろう。

 ヴィートと同じ事をしろとまでは言わないが、せめてティファに害意が向かないように努力ぐらいはしろと思うカルラだった。
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