出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 これならこの街を直ぐに出なくても、大浴場のアイドルとなったティファに危害を加えようと企む女性は少ないだろう。

 それ程長居は出来ないが、2~3日程滞在して、保存食の補充や作り置きも作り揃えれる。カルラが守護者達を残念な馬鹿兄扱いしてれば、ティファへの同情は増える筈だから。

 あいつ等が他の女性にどう思われようと知った事ではない。寧ろ、カルラが残念過ぎる酷い兄の印象をアピールしまくり強めれば、守護者達に好かれようとする女も減るし、ティファを遠目で見守り愛でる女達が、カルラの後ろで頑張るティファの姿に、悶える姿が想像出来る。

 (よし、その方向性で行こう)

 カルラはティファを連れて建物を出ると、そこには多少苛ついてるエンヤとヒューリーがいた。


「お前は着替えにどれだけ時間を掛ける気だ?!」

「女の子の身支度に時間が掛かるのは当然でしょ?それぐらい待ちなさいよ。言っとくけど、化粧とかするようになったらもっと時間が掛かるわよ」

「ティファはそんな物するか!」

「する、しないは本人の自由よ。そもそも、エンヤさんが妹可愛さにティファに着替え方を教えないのが悪いんでしょ?ティファが一生懸命、時間を掛けても自分で服を着たってのに、怒らなくてもいいじゃない。エンヤさんの短気!」


 カルラに、時間を無駄にしたのはお前だろうがと、反論しようとしていたエンヤだったが、ティファが一生懸命自分で服を着ていたとの言葉を大にしたカルラに反論が出来なくなってしまう。


「酷いよね~、ティファを褒めてあげなきゃなんないのに怒鳴るなんて。しかも可愛がるだけで教えもしないなんて。ティファは人形じゃないんだから、着替えぐらい一人でやらせてあげたって良いじゃない。大きくなって困るのはティファなのに、理不尽よ」


 そして、エンヤは周りからの非難の眼差しが注がれる。

 口が回るとは言え、カルラの見た目はどう見ても子供にしか見えない。そんなカルラを相手に人前で怒鳴っているのだから、非難の目を向けられても当然と言えようものだ。


「そう言えば、ザアイさんは?」


 カルラとエンヤの応酬を黙って見ていたヒューリーに、カルラは声を掛ける。

 カルラが提案した出入り口を見張ればとの言葉を実行したのだろうと予想しながらも、残念な兄の印象を強める為にわざと聞いてみたのだ。


「ああ、ザアイは裏口の方だよ。万一ティファが拐われたりしたら困るからね」

「その過剰な兄妹愛を受けるティファの身にもなりなさいよね。ティファの喜ぶ基準が物凄く低くて、他人のあたしにすがり付くのも納得の、異常束縛状態よ」


 カルラは胡乱うろんな眼差しで彼等を見る。

 勿論カルラは彼等が守護者と言う立場だと言う事を認識しているが、彼等はそれを隠す方向性で旅をしている筈だ。それなのに、一般人では有り得ない程の過保護っぷりを見せているので隠す気はあるのかと疑いたくなるのは仕方ない事だろう。
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