出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 ザアイを拾いに裏口へと回り、そのまま街中を散策する。

 夕食前に大浴場へと向かったので、今から食事処を探すのだ。

 多くの旅人が出入りする街なので、飲食店はあちこちにある。当たり外れもあるし、色々な要素で迷う事もあるだろうが、選択肢が多い分、好みや気分で選べれるのが良い。小さな村だと一つだけや宿屋にしか食事処がないと言う場合もあるのだから。

 こう言った観光地には能力者も多く出入りしているが、能力者だからと咎め立てられる事も密告される事も少ない。勿論、能力を犯罪に悪用してたりする者は別だが。

 カルラの目には魔力が見える。その効力も。

 魔力を料理に込めて味の旨味を増す能力と言うのもあり、それがカルラの目に入る。


「ねぇ、ここに入ってみない?美味しそうな匂いがするわ」


 カルラの提案に真っ先に頷くのはティファだ。


「そう言えば、ティファって何が好物なの?」


 カルラの言葉に守護者達は首を傾げる。

 (こいつ等、まさかそんな事も知らないの?)


「じゃあ、嫌いな物は?」

「ティファに好き嫌いはないと思うよ?今まで出された物で食べなかった物は無いし、これが好きだとか言った事無いから」


 (……こいつ等、ティファの何を見てるのかしら?ティファは無表情に近いけど、よくよく見れば大体は分かるわよね?……そう言えばこいつ等、この前のブルームバムの時も、ティファが食べさせられてたって事に気付いてなかったわね。もしかして、ティファが言わなければ気付かないパターン?うわぁ、どれだけ節穴……。喋らないからってこれは無い。何の為の守護者なんだか……)

 甲斐甲斐しく世話をする癖に、本人の内面に関しては全く知らないなんて、どれだけ神の愛し子にベクトルを置いてるのかと、カルラはただただ呆れるのみだ。

 神の愛し子だからと、特別視するなとは言わないが、ティファとて一人の人間だと言う根本的な事を忘れるなとカルラは言いたい。

 (こいつ等の意識改革も、私がしなきゃなんないの?勘弁してよ、子供じゃあるまいし……)

 復讐者であるカルラは、この先いつ何が起こるか分からない。どれ程能力が高くても、死ぬ時は死ぬし、ティファと復讐、どちらを取るかの二択を決めなくてはいけない場合、カルラは迷わず復讐を取るだろう。

 だからこそ、早めに別れた方が良いと言うのに、この鬼門共はと、カルラは憤りを募らせる事しか出来なかった。
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