出会いと別れと復讐と

カザハナ

文字の大きさ
11 / 116

10

しおりを挟む
 三十分、それとも一時間は歩いただろうか。道なき道の前に、ちゃんとした道が現れる。

 カルラの隣を歩く少女は、無言でカルラの手を引き片方の道を指差す。


「この道を行けばいいの?」


 カルラの問いに頷く少女。

 カルラは少女の声を、まだ一度も聞いていない。だが、カルラはそれを全く気にしない。声がなくても少女の身振り手振りで解るし、表情を伺えば大体は理解出来るのだ。

 こっちの質問には首を振って答えてくれるし問題はない。寧ろ、一緒に捕まってた他の少女達より気が楽だ。

 カルラと少女の間にある沈黙は決して気まずいものじゃない。

 深夜、周りから聞こえるのは虫の声や木々の音。幸い、大きな月が周りを照らしている為、視界も良好。

 道の上で出会でくわすなら、少女を引き渡した後は、さっさと退散出来るだろう。そんな事をカルラが考えていると、前方から馬の駆ける音と共に、三人の操る馬達が近付いてくる。

 カルラが少女の顔を横目で見ると、少女の顔には笑みが浮かぶ。

 どうやら彼女の守護者であるようだ。

 相手の顔が確認出来る程の距離に近付くと同時に、相手もこちらの顔を確認したのだろう。

 先頭を走る馬に乗った男の顔が、険しいものから驚きに変わる。


「ティファ?!」


 どうやらそれが、少女の名前のようだ。

 (よし、逃げよう)

 彼等の顔を見た瞬間、カルラは逃走したくなった。

 さすがにそれはしなかったが、ティファと呼ばれた少女に声を掛ける。


「見付かって良かったわね。あたしはもう行かなきゃ。ここでお別れだけど、元気でね」


 少女に微笑み、手を離してきびすを返す。

 ここで注意すべき事は一つ、走ってはいけない。逃げ出すという事は、自分にやましい事がある、と捉えられるからだ。

 カルラは少女を拐った側の人間ではない。

 逃げるなら堂々と。たとえ相手が、カルラにとっては鬼門と呼べそうな男達であってもだ。

 (出来れば、二度と関わり合いになりたくないから、早々に立ち去り、距離を置いたら直ぐにでも色や姿を変えて、確実にバックレよう)

 カルラが五歩程歩いた後だった。急に腰辺りが重くなり、思わず足を止めるカルラ。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

処理中です...