出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 カルラは立ち上がり、エンヤを睨み付けながら怒鳴る。

「そもそも一般人は馬乗りなんてしないわよ!速さを求める事自体稀なんだから!こっちは初めてで、落ちないように必死でしがみついてる状態なのに、疲れない訳ないでしょう?!それに今、何時だと思ってるのよ!普段こんなに遅くまで起きてる訳ないでしょうが!!ちょっとは相手を労りなさいよ!この唐変木!!」

「なっ?!」

「あたしは彼女を保護者に送り届けたら、気儘きままな一人旅生活に戻るつもりでいたのよ!それなのに、彼女だけならともかく、威圧的なお荷物要員が増えて不本意だってのに、何でそのあなたに嫌味言われたり忌々しそうにされたりしなきゃなんないのよ!」

「「お荷物……」」


 ヒューリーとザアイが呟くが、カルラからすればこの守護者はお荷物でしかない。


「当然でしょ!腕は立つかも知れないけれど、あたし一人でだって逃げれたわよ!前にも似たような経験したんだし、隠れようと思えば森の中で木登りしたり、低木の木の中に隠れたり、ティファ一人ぐらいなら問題なく匿えるわよ、あたしは!」

「前にもって、お嬢……」

「仕方がないでしょ、クズが多いんだから。お金の為なら人身売買もまかり通る世の中なのよ。一々気にしてなんかいられないわ」

「少しは気にして下さいカルラさん……」

「逃げれるんだからいいじゃない。そんな事よりあたしは寝たい!行きたければお先にどうぞ!」


 別れてくれるなら、カルラにとっては万々歳だ。そもそも、仕方なしに押し切られたようなものなので、これぐらいの我が儘は通したいとカルラは思う。

 (こっちは人拐いのアジトから逃げるのにそこそこ魔力を使ったのよ!対価の睡眠を回復させたっていいじゃない。口に出して言う気はないけど、万全を心掛けないと何かあってからじゃ遅いのよ!)

 カルラにとって、魔力はまだ尽きてはいないしまだまだ使用可能だ。しかし、だからといって使用限度ギリギリまで使う気はないし、ぶっ続けで動く気はない。


「おい!いい加減にーー」

「エンヤは黙っていて下さい。彼女は我々と違うんです、疲れて当然でしょう。すみませんカルラさん、躾がなっていなくて。それと、気付けなくて。道からも外れてますし、ここで仮眠しましょう。休息は必要ですからね」


 ザアイがにっこりと微笑み、カルラは渋々頷く。

 (次の街か村に入る前に、この人達を何とか撒けないかしら)
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