28 / 116
27
しおりを挟む
「そういえば、お嬢は最初から僕達に好戦的だけど、どうしてなの?」
「昔から顔だけの男達が、好き勝手に散々あたしを利用してたもの。警戒するなと言う方が無理な話よ」
「お前……子供の癖に、どんな生活してたんだ……?」
エンヤがカルラを見下げるような嫌悪の瞳を向けてくる。
そんな眼差しを向けられて、ムカッときたカルラが言い返す。
「普通にしてても絡まれる時は絡まれるわよ。何度足を引っ掛けられ転けさせられたか……。その上親切に助け起こして優しさアピール。そんな事されて喜べるとでも?」
「偶々じゃないのか?お前の被害妄想だろ」
「同じ相手に毎日されても被害妄想って言えるのかしら?とにかく、あたしは美形と相性が悪いのよ」
カルラが心底嫌そうに言うと、ヒューリーが更に突っ込んできた。
「お嬢、他にどんな事があったの?お嬢の口振りじゃあそれだけじゃないよね?」
「思い出したくもないんだけど?そもそも、あなた達には関係ないと思うけど?」
「僕はお嬢と仲良くなりたいから、僕はお嬢の敵じゃないよって事を理解してもらいたいだけだよ。その為には、お嬢に僕を知ってもらわなきゃだし、僕もお嬢の事を知っていきたいからね」
(次の村か街で別れる相手と、仲良くなっても時間の無駄だと思うのは私だけ?)
どうせ別れた後は、いつも通り容姿や色合いを変えるのだ。そうすれば、他の場所ですれ違っても誰もカルラに気付かない。
それこそ神の愛し子であり真眼持ちであるティファなら気付くかも知れないが、これ程目立つ三人が側にいる上、ティファ自身が美少女なのだ。噂や人目が集まる方向に近寄らなければ再遭遇率は0%に近い事だろう。
彼等には、カルラが能力者である事自体言ってない。
(このまま一般人としてたったとバックレて、次の研究所を潰さなくちゃ)
「そんな事より早くここを離れましょうよ。あたしは目的のない旅をしてる訳じゃないから、時間を無駄にしたくはないわ」
「そういやお嬢は何で旅なんてしてるの?」
「ハッ。どうせ成り行きだろ」
「そういうあなた達はどうなのよ?」
カルラの旅の建前で使う理由は、家の客の得意先巡りだ。
実家の事業が潰れた為、得意先の親しい人達や親族に挨拶へと廻る旅。事業が潰れた理由は地域災害。その災害で片親と旅をしていたが、片親は病に掛かり死亡した為、親の残したリストを元に、カルラが各地を巡る旅を続けている、といった具合だ。
カルラには、嘘を混ぜ込んだ真実に近い建前がある。
だが、彼等は?
本来、真眼持ちは生まれた場所で崇め奉られ、旅に出る事はないと聞く。
真眼持ちと守護者だとは名乗らないだろう彼等は、一体どんな建前を言う気なのかと、カルラは冷めた瞳で聞き返した。
「昔から顔だけの男達が、好き勝手に散々あたしを利用してたもの。警戒するなと言う方が無理な話よ」
「お前……子供の癖に、どんな生活してたんだ……?」
エンヤがカルラを見下げるような嫌悪の瞳を向けてくる。
そんな眼差しを向けられて、ムカッときたカルラが言い返す。
「普通にしてても絡まれる時は絡まれるわよ。何度足を引っ掛けられ転けさせられたか……。その上親切に助け起こして優しさアピール。そんな事されて喜べるとでも?」
「偶々じゃないのか?お前の被害妄想だろ」
「同じ相手に毎日されても被害妄想って言えるのかしら?とにかく、あたしは美形と相性が悪いのよ」
カルラが心底嫌そうに言うと、ヒューリーが更に突っ込んできた。
「お嬢、他にどんな事があったの?お嬢の口振りじゃあそれだけじゃないよね?」
「思い出したくもないんだけど?そもそも、あなた達には関係ないと思うけど?」
「僕はお嬢と仲良くなりたいから、僕はお嬢の敵じゃないよって事を理解してもらいたいだけだよ。その為には、お嬢に僕を知ってもらわなきゃだし、僕もお嬢の事を知っていきたいからね」
(次の村か街で別れる相手と、仲良くなっても時間の無駄だと思うのは私だけ?)
どうせ別れた後は、いつも通り容姿や色合いを変えるのだ。そうすれば、他の場所ですれ違っても誰もカルラに気付かない。
それこそ神の愛し子であり真眼持ちであるティファなら気付くかも知れないが、これ程目立つ三人が側にいる上、ティファ自身が美少女なのだ。噂や人目が集まる方向に近寄らなければ再遭遇率は0%に近い事だろう。
彼等には、カルラが能力者である事自体言ってない。
(このまま一般人としてたったとバックレて、次の研究所を潰さなくちゃ)
「そんな事より早くここを離れましょうよ。あたしは目的のない旅をしてる訳じゃないから、時間を無駄にしたくはないわ」
「そういやお嬢は何で旅なんてしてるの?」
「ハッ。どうせ成り行きだろ」
「そういうあなた達はどうなのよ?」
カルラの旅の建前で使う理由は、家の客の得意先巡りだ。
実家の事業が潰れた為、得意先の親しい人達や親族に挨拶へと廻る旅。事業が潰れた理由は地域災害。その災害で片親と旅をしていたが、片親は病に掛かり死亡した為、親の残したリストを元に、カルラが各地を巡る旅を続けている、といった具合だ。
カルラには、嘘を混ぜ込んだ真実に近い建前がある。
だが、彼等は?
本来、真眼持ちは生まれた場所で崇め奉られ、旅に出る事はないと聞く。
真眼持ちと守護者だとは名乗らないだろう彼等は、一体どんな建前を言う気なのかと、カルラは冷めた瞳で聞き返した。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる