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第Ⅳ章 ワイバーンの故郷
宝剣
しおりを挟む「本当に一人でいくつもりなの?」
「大丈夫だよ。
ゼン王子の同行者として、アルトハインで人を出してもらうから」
「それにしたって……」
「まあ、友好関係にあるアルトハインに任せたほうがいいのだろうが……」
「それと、ルマたちは連れて行かないほうがいいだろうというので、アルトハインからこっちへ飛ばしますね」
「おっ、ヨロイウオか!」
「それは、ナキュの町ですって。
方角が違いますよ」
「くっ、わしのヨロイウオ……」
こうして、私はアルトハインに着きました。
「出発は4日後になった。
それまで適当に過ごしていてくれ」
「じゃあ、ナキュに行ってきます。
王様がどうしてもヨロイウオを食べたいって駄々こねてるので」
「どうも、俺の中にあるシュトーリア国王のイメージと、お前から聞く国王とに違いが出るんだが……」
「もう、わがままな国王で手をやきますよ」
「そうか……」
今回も3匹のヨロイウオをゲットできました。
氷詰めした箱を三匹のワイバーンに背負わせて屋敷に向かわせます。
「寄り道しないでまっすぐおうちに帰るんだよ」
ギー
「少しの間帰れないけど、みんなのいうことをちゃんと聞くんだよ」
ギー
「じゃ、いってらっしゃい」
ギー ギー ギー
三匹は上空で一周回り、家に向かって飛んでいきます。
「今回は、大物が獲れたので、片手剣ができました。
欲しい?」
「おまっ、ヨロイウオの片手剣だと……
どれほどの値が付くと思ってんだ!」
握りの部分から刃先まで一体化してるので、鍔とかありません。
ぺティーナイフの刃が長い感じです。
「知らない」
「それこそ、金貨500枚から……コレクターなら3000枚だな。
俺よりも、次期国王の兄さんの方がいいだろう」
「俺がどうしたって。
おお、アートランド卿、ようこそおいでくださいました」
「あのぅ……そのアートランド卿というのは慣れてないので、シーリアと呼んでいただけませんか」
「ふむ、ではシーリア殿」
「シーリアです!」
「シ……シーリア……」
「はい。カイン王子ごきげんよう」
「兄さん、これ」
「どうした、女性の前で抜き身の剣など」
「ヨロイウオから切り出した片手剣なんだとさ」
「ヨロイウオの!
そのサイズとなると、何十年に一度の大物ってことか」
「俺よりも、兄さんの方がいいだろうと思ってさ」
「おれを……俺に?」
「鞘とこしらえをつければ立派な宝剣だろ」
「立派ところか、世界で一本だけの……
しかも軽くて切れ味も申し分なく、錆びない……」
「喜んでいただけそうですね。
どうぞ、お納めください」
「本当にいいのか。
こんなものが存在すると知ったら、ナキュのやつら泣き出すぞ」
「大袈裟ですよ」
「いや、今の王が戴冠したときに、この半分の小刀が贈られたくらいだ。
それでも、王は大切に今でも肌身離さず持ち歩いている。
それを、このサイズだ。
ナキュのやつら絶対悔しがるぞ」
「しかも、それが隣国の子爵から贈られる。
いやあ、泣くよね」
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