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Dランド編

4 憧れのD

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 さて俺とヒエは支度を終えて、ロビーで二人を待っていた。
「ねぇねぇ! スッゴイ楽しみなの!」
 昨晩とは別人だ、どっちも好きだけどね。
「あんまりはしゃいだら駄目だぞヒエ様?」
「それは無理よアナタ、ヒエって色々な意味で今日を待ち望んでいたんだから」
「ガイドブック真剣に見てたもんね!」
 ヤエと茉希に合流する、さあ行きますか!
「こっから舞浜まで電車ですぐなんだっけ?」
「うん、調べたけど五駅ぐらいだって」
「そんなに駅があるの⁉︎」
「都会は駅の間隔が短いんだよ、おっと! 階段気を付けてね」

 八丁堀駅に着くと、京葉線の乗り場に向かう。流石は東京だ、もう次の電車がやって来る。
「これ快速だからすぐ着くよ!」
「つまり早いのねアナタ?」
「新幹線とかと比較しないでね」
 ってもう新木場か、と言う事は。
「ヤエ、ヒエそろそろ見えて来るぞ」
「どれ⁉︎ 何処よ!」
「あれだよ!」
「「えっ⁉︎」」
「何よアレ⁉︎」
「次で降りるから、ゆっくり見るといいよ」
 ランドのオフィシャルホテルってやっぱ凄いな、ヒエの目がキラキラしている。
「タケシ! 到着だよ、降りよう」
 駅は平日なのに人混みに溢れていた、ランドに向かう人の流れとシーに向かう人の流れ。
「ちょっと多いかな~平日にしては」
「コレでちょっとなの?」
「だね、俺ちょっと帰りの切符買って来る」
「もう帰りの切符を買うのアナタ?」
「まぁね、あそこに愉快な建物が見えるよな? そこで待ち合わせな、案内は茉希?」
「了解だよ! ヒエ、ヤエいっくよ!」
「手を離さないでね茉希!」
「しっかり掴まって二人とも!」
 歩いて行くのを見送ると、大急ぎで切符を買うとダッシュしていた。
 ヤエはまだ予算があるように言ってはいたけど、せっかくだし、ノエから貰った家族サービスの使い所だろう。
 ATMからお金をいくらか引き出すと、帰りの切符を買って愉快なお土産屋まで向かうが、三人の姿が見えない。
 スマホを取り出すと茉希へ電話をかける。
「もしもーし、タケシ?」
「着信画面でわかるだろ、今どこだ?」
「二人が大興奮でさ、今バス乗り場の辺りにいるよ! っていうか早く来て!」
「わかった」
 ランドへ続く歩道橋の上から、下のバス停がある場所を上から見渡すと。
 三人がランドのホテルをバックに写真を撮っている姿が見えた。
 そこへ目指して走り出す。
「おーい」
「あっきた!」
「ねぇアナタこれ! この建物ね神殿じゃなくてホテルなんですって!」
「私ここに泊まりたいの! 中も見てみたいの!」
「アタシはあるけどね!」
「まぁ茉希は、そうだろうね」
「凄い!」
「そんなことよりランドの中に入ろうか、そっちの方が楽しいよ」
「どうしようドキドキしてきた!」
「なにかしらこの高揚感!」
 確かに、俺もちょっと浮かれ始めていた。三人と手荷物検査場へと向かう。なんか厳重になってるな、空港みたいだ。
 ちょっと緊張気味なヤエとヒエが面白い、ただのゲートなのに。全員無事に通過すると。
 いよいよ、入場と行きますか!
「ゆっくりでいいからな、時間はあるんだから」
「ごめんタケシ、アタシなんか興奮してきた!」
「おいおい、茉希が先走ったら駄目だよヤエとあわせて!」
 そしてゲートを越えると。現実を忘れさせてくれる夢の国が待っていた。
「うわぁ、なにコレ!」
「あ~もう圧倒されたか」
 入ってすぐのお土産屋さんが並ぶアメリカンな街並みを思わせる場所へと入っていく。
「とりあえずさ茉希、あの城見せてあげようか?」
「いいねそれ! ヒエ、ヤエ、この通りを抜けるよ!」
「うん!」
 三人から少し離れて後ろからついていく、万が一のために。
 それにしてもこの人混み……本当に平日か? そしてアーケードを抜けると。
「どうよあの城!」
「へぇ~天界でも見たことないわねヤエ!」
「すごいわね……みてアナタ!」
「あれはなんというお城なのですか!」
「あれは有名なお伽話のお城だよ、ほらガラスの……えっ?」
「そうなのですか! あの恋の物語の⁉︎」
「「「えっ?」」」
「はい?」
 なぜかノエがいつの間にか混ざっていた。
「なんで!?」
「ちょっと!」
「なにしてるの!」
「私に黙ってこんな楽しそうなところに行くなんて酷すぎます!」
「いやノエは神様だろ⁉︎」
「それはそれこれはこれです! ちゃんとお小遣いも持ってますよ?」
「いや、そこじゃないよ問題は!? 天界はどうした??」
「大丈夫ですよ? 今の私は暇なんです!」
「ちょっとまって、この時代のノエじゃないんだよな?」
「はい! 今頃の私は、途方に暮れていた時期でしょうか……」
「それ多分、お前がこの時代にいるせいじゃないのか?」
「まぁまぁ皆さん! 私にも教えてくださいませ! 夢の国を!」
「アナタ……わかっているでしょうけど、天界がどんな場所か知ってるわよね?」
「アンタと茉希が大暴れしたのは、天界の一部よ特に中心部ってことになるんだけど」
「それでもこの様な素敵な場所はありません!」
「さぁ参りましょう皆様! 何方から行きますか?」
「要するに娯楽施設なんてものは無いんだな?」
「そうなるわね……私も早く見てまわりたい!」
「ヤエ⁉︎」
「そういえばこんなのって無いもんね! さぁ茉希、案内して!」
「まかせて! タケシどっちから案内したほうがいいかな?」
「アーケードから反時計回りで行こうか」
「愉快な妖怪退治からいっとく?」
「あんまり激しく無いやつだよな?」
「うん、ただ……二人乗りだから」
「俺は一人で乗るから、ノエはもう来ちゃってるし、せっかくだから楽しんでもらおう」
「じゃ行こうか! みんなついてきて!」
「はーい!」
 元気に返事をするノエを加えた五人でランドを回ることになった。そして見るものが全て新鮮なのだろう、元を含めた三女神が大興奮だった。道中スマホで写真を取り合っている…………ちょっと待て!
「なんですか健さん?」
「なんでスマホ持ってんだ!」
「それはありますよ? 必需品です! あっ番号交換しますか?」
 おいおいどうなってんの? この神様?
「あの……健さん、こっ交換しますか?」
「良いよ、ラインやってる?」
「あっやってます!」
「オッケー……」
 もう突っ込むのやめよう……ノエってもしかして物凄いストレス……
「溜まってますよ?」
「よし! 俺がなんでも付き合ってやる! 一緒に楽しもうぜ!」
「はい!」 
 そして愉快な妖怪退治を終わると、ヤエと茉希の体調を聞いておこうとしたが。
「私の勝ちねヒエ!」
「くぅうっ!」
「ノエ上手かったよ!」
「茉希さんのおかげです!」
「…………」
 俺いなくてもよくね?
「次は宇宙戦争と宇宙人退治どっちが良い?」
 茉希がそう言うと全員が俺を見る、これなら体調は良いといえるかな?
「宇宙人退治の方で行こう」
「それってまた点数とか出るの⁉︎」
「どうだっけ?」
「でるよ!」
「じゃあ勝負よヤエ!」
「負けないわ!」
 何か琴線に触れたのだろうか? 楽しんでくれているのなら良いんだけど。
「楽しいですよ!」
「そっか、それ乗ったら休憩な」
 アトラクションの列に並んでいると、何やらヤエとヒエがエキサイトしているが放って置こう。
 結果……
「どうしてっ‼︎」
「あらあら! ごめんなさいヒエ、私の方が上手いようね!」
「また負けたのかヒエ」
「タケシ、見てアレ」
 茉希が指差す方を見ると。
「んっ? げっ⁉︎」
 なんとハイスコアをヤエが叩き出していた、そりゃヒエ勝てんわ……
  
 悔しがるヒエをなだめると小休憩となった。

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