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Dランド編

5 Dの食事「昼の部」

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 フードコートに着くと、全員の飲み物を受け取り席へと戻る。
「はい、おまたせ!」
「ありがとうございます!」
「いや~喉からっからでさアタシ」
「ありがとうアナタ!」
「さっさとよこして! そしてヤエ! 次も勝負よ!」
「健、茉希まだあるのよね!」
「なにが?」
「勝負よ勝負! 他にもあるんでしょう!」
「今日は勝負するために来たんじゃないんだぞ」
「そーだよ! 楽しむために来たんだから、あっでも……もう一箇所あったかな」
「それはどこ!」
「えっと、ここから城が見えるでしょ? そのさらに向こうにあるんだけど」
「まっ勝負は一旦お預けなヒエ様」
「これからどうするのですか?」
「そうだね……気にいるかどうかわからないけど、愉快なハチミツ取りのところでも行こうか」
「アタシさ大好きなんだよね!」
「あれ多分五人で乗れるんだっけ?」
「大丈夫だったと思うけど」
「よし決まりだな、そこからぐるっと……」
「あの、健さんアレに乗りたいです……」
 急にノエが指差す先は、宇宙戦争のアトラクションだった。幸いにして空いている様だけど。
「あれにノエ興味あるのか?」
「はい!」
「でもさ、ノエ自分でいけるよな宇宙ぐらい?」
「それはそれです、駄目ですか……?」
「う~んヤエと茉希が多分ダメかも」
「行ってみようよ、それが駄目なら愉快なハチミツも危ないかもだし」
「宇宙! 何それ乗ってみたい私も!」
 少し思案したが。
「わかった、空いてるみたいだから行くか、ヒエも不貞腐れてないで行こう」
「わかったわよ……今の所は私の負けね」
「なんで勝負になってるんだよ」
「まっそれはそれで、行こうかノエ!」 
 ひとまずの休憩を終えると、ノエの手を引いて宇宙戦争へと向かう。
「あの、手を繋がれると私……」
「うん? 親子みたいで良いじゃん」
「いえ、そうではなくて……背後から強烈な殺気を感じます!」
「気にすんなって、おとーさんに任せなさい!」
「それもちょっと……」
 そう言うとノエは俯いてしまった。
 まっ実際に殺気は感じるな、力があろうとなかろうと。振り返ると、ヤエとヒエが茉希の両腕を組みながらめっちゃ睨んでる。
「そんなに怒るなって、子供と来た時の為の練習だから!」
「私子供ですか?」
 ノエが繋いだ手を握る力が強くなる。
「良いじゃんせっかくのランドなんだし、パパって呼んでもいいよ?」
「最低っ!」
「何よ!」
「いやいや! 二人とも、アタシの腕握りつぶさないでよ?」
「私、よくわかりません!」
「ハハッ!」
「タケシ、次それやったらぶっ飛ばすからね」
 どうやら俺の渾身のモノマネは、茉希の逆鱗に触れかねないほどお気に召さなかったか。
 アトラクションの乗り場まで来ると、メガネを受け取る。
「これなんです?」
「メガネだよ3Dの為のって……わかんないか乗ればわかるよ楽しみにしてなよ」
「なんでしょう! 胸がドキドキしています!」
「ご期待に応えられるかどうかな?」
「?」
「ねぇ茉希、本当に宇宙を体験できるの?」
「う~ん難しいこと聞かないでよ、元女神様、自由に空飛べてたじゃん」
「そもそも宇宙って発想がなかったわね、私とヤエには地元しか見てなかったし」
「だったら楽しめるかなぁ」
 そしてゲートが開くと、ヤエの目が輝き俺に抱きついてきた。
「なぜかしら、とっても楽しそうな予感がする!」
「ヤエ、一応妊婦さんなんだからな、ちょっと落ち着いて座ろうか」
 座席に着くとシートベルトをする事に、三女神は戸惑っていたが。
「ねぇ健、何でシートベルト? このメガネはもうかけてもいいの?」
「メガネはもうかけていいよ、シートベルトは始まればわかるから」
 乗客の安全確認のために、キャストさんがシートベルトの確認をしている間も、待ちきれないような表情を浮かべているヤエとノエ。
 最終チェックが終わると…………

「最高だったわ! アナタ!」
「気持ちよかったです! スカッとしました!」
「自分で飛んでない分、私は怖かったけど……」
「つまんなかったかヒエ?」
「ううん全然たのしかったわよ?」
「タケシがスパイ扱いされたのには笑ったねアタシ!」
 ちょっと恥ずかしかったけどな……取り敢えず喜んでくれたなら良いや。
「はい!」
「じゃあハチミツ行くか! そしたらお昼にしよう!」
 向かい始めると、お昼という言葉にヤエの目が光るが。
「悪いが、ヤエの期待に応えられるようなレストランとか無いから」
「アタシもそう思う」
「えっ⁉︎ どうして?」
「味と値段に文句言わないならなぁ? 茉希?」
「そうなんだよね、夢の国って言っても……」
「それ以上は駄目だ茉希、それを言ってしまうと……」
「野暮な事は無しで行きましょう! 私が奢りますね! 皆さんに!」
「ノエの気持ちもありがたいけど、あっ!」
 そうだ金は引き出して余裕があるんだった。
「オッケー! 俺の奢りだ夕飯はバイユーな!」
「タケシ正気⁉︎」
「まぁまぁ茉希、ここは一つヤエ達の社会勉強といこう、予約頼んだ」
「アタシ知らないよ? 予約するけど……」
「そのかわりにノエ、お昼は軽めのお店で奢ってもらうよ?」
「良いですけど……軽めで良いんですか?」
「うん、あっここだよ愉快なハチミツの場所」
 さて、ここは愉快なハチミツ取りのアトラクションだが。流石に混んでるなぁ……
「ヤエ、茉希、大丈夫か?」
「うん、でもちょっと喉が渇いたかな」
「茉希は?」
「お願いできるかな?」
「わかった俺、買ってくるから並んでて!」
 列から離れると、ドリンク売り場を探すが、やっぱたっけぇなぁオイ……夢の国ェ……
 戻ってくる頃には、丁度絵本のようなオブジェクトの前だった。そしてスマホで興奮しながら写真を撮りまくる女達……絵になるなぁ、今迄ちょっと冷静だった茉希が興奮している。今日は、この俺の大切な人達が楽しめる様に俺はサポートに徹しよう! そう心に決めると近づく。
「お待たせ二人とも、お茶買ってきたよ」
「ありがとうアナタ!」
「うん、茉希?」
「まってもう五枚!」
「人の流れを止めちゃ駄目だよ」
 そう言いながらお茶を渡すと。
「サンキュ! でもさアタシこれが大好きなんだよね!」
「これはどのような乗り物ですか?」
「「秘密だよ!」」
 どのアトラクションもそうだが、ネタバレはしたくない、その気持ちは茉希も同じ様だ。
 しばらく並ぶとやっと乗り場に着く。
「さぁお楽しみだよ!」
 まぁそこからは女性陣がもうはしゃいでいた、ハチミツの香り? みたいなのがぷんぷん漂って、弾んで、回って、大砲に打たれた。

 出口にて、すぐ横がお土産屋になっており、早速女性陣がキーホルダーやらポップコーンバケットやらを買い始めていた。
「アタシこれ昔持っていたんだよ!」
 そう言いながら笑顔で俺にポップコーンバケットを見せてくる茉希の顔を見て少し切なくなり顔を背ける。
「どうしたの? タケシ?」
「なんでも……」
「健さん、あれはもう過去です未来を見ましょう!」
 愉快な耳にポップコーンバケット、さらに誰にやるのかわからないほどのお土産を持った。
「ノエ……そうだな、よかったな茉希」
「また来るんだよ! 今度はこれを持って子ども達と一緒に! みんな一緒に!」
「そうだな……それはそうとヤエとヒエは?」
「あっち」
 茉希が指差す方を見ると、あちゃ~
「ハマったな?」
「うん、あんな目が綺麗なヒエ初めて見たよアタシ」
「そっかぁ……でも一旦お昼だな」
 二人を呼びに行くと、それはもう大興奮だった。が冷静に。
「お昼食べに行こうか!」

 
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