元女神様と現世でreSweetライフ!! スキマノハナシ

美味しい肉まん

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平和な日々のお話

2 ピザ? ピッツァ?

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「今度のお休み私に付き合って!」
 そう言われてヤエと健が初めてのデートに行った時の話だ。

 何とかシフトを調整した健は、ヤエの働くお店の定休日に合わせる事が出来た様子。
 私と茉希がアルバイトから帰ると、当日の朝はヤエがご機嫌で鼻歌を歌いながら朝食を作ってくれていた。
「ねぇ今日はお休みでしょ?」
「そう?」
「アタシらはバイト上がりだから、お腹空いてるけど」
「起こしてあげなきゃね!」
「いやいや! 休ませてあげよう⁉︎」
 ヤエが浮かれている……イラっとしたので、寝ている健の腹を蹴る。
「おごっ!」
「なにすんだ!」
「ヤエがアンタを起こせって」
「えっ⁉︎ もうそんな時間か?」
「師匠、まだ六時半だよ」
「ヒエ様、本当にヤエが起こせって言ったのか?」
「健! 朝食よ!」
「ほら」
「いや……いくら何でも早すぎない?」
「だってデートなんでしょう? 早く行かなきゃ!」
「いやいや、そんな登山みたいなことしないから!」
 フンッ! なによイチャイチャしてヤエのバカッ!
「でも朝食はもう出来てるし……」
「そっかぁ、もう起きるか」
「ちなみに師匠はヤエをどこに連れてくつもり?」
「そうだなぁ……デートなんてなぁ」
「行った事なさそうだもんねアンタ?」
 デートってお出かけのことよね? 他に何もないわよね? まっ……健の過去は知ってるけどね。
「馬鹿にすんなよ、う~ん」
「わっ私は健とならどこでも……」
「ヤエ私におかわりちょうだい」
「うん!」
 くっ! このまま行かせて良いものか……ヤエの気持ちもわかるけど。
「じゃあイオンにしようか、まだ行ったことなかったよな?」
「ド定番だよ師匠……」
「しょうがないじゃん車もないし、それに映画館もあるんだぞ!」
「知ってるよ!」
 なにそれ? 多分私達は知らない、映画館? いおん?
「電車で行くの⁉︎」
「そうだね、新潟駅まで行ってそこからバスかな」
「師匠じゃそれが限界かもね」
「私はどこでもいい! おでかけでしょ? それがデートなのよね!」
「ヤエ、お茶飲みたくない? 私が美味しいの淹れてあげるから」
「俺にもお茶頂戴」
「いやよ」
「アタシには?」
「良いわよ」
「ひどくないか俺だけって!」
「まっごゆっくりしてくれば?」
 そう言うと食器を下げて台所に持って行き、ヤエと茉希と私の分のお茶を持って戻る。
「あらあらごめんなさい、アンタの分までお茶っ葉足りなくってねぇ! 出涸らしでよければあるけど……」
「いいよ……俺はコーヒー飲むから」
 そう言うと、台所にもの悲しげな背中でコーヒーを入れに行くのを見て。
「ちょっとヒエ酷いことしないで!」
 どっちがよ……そう思う自分も嫌になる。
「ヤエ、そんなに浮かれていると痛い目に遭うわよ?」
「健が守ってくれる、きっと!」
 くっ……どんどん自分が嫌になる。私だって……
「インスタントコーヒーの買い置きまで無くなってるよ……ったく……」
「まだ八時にもなってないんだな……」
「師匠、イオン行くなら早い方がいいよ」
「なんで?」
「だって映画見たりするんだったら上映時間とかあるじゃん」
「そっかぁ……取り敢えず、顔洗って髭剃ってくる」
「じゃあ私も支度するね!」
 茉希にコソッと近づいて。
「やけに今日は物分かりがいいわね茉希」
 そう言うと茉希の顔がニヤリとした。
「ふっふっふふ、それはねぇヒエ、気兼ねなく遊べるってことにもなるんだよ?」
「いつも遊んでるじゃない」
「違うんだよ、もうちょっとでアタシの計画がうまく行く」
「なによ計画って」
「そのためには、師匠とヤエに早く行ってもらいたいんだよ今日だけは」
「今日?」
「だってさ二人はデートで、お楽しみでアタシらだけ何もないって不公平じゃん」
「何を言って……」
 健がさっぱりとした顔で戻ってくると。
「やっぱ髭って、まとめて剃ると超気持ちいいよね」
「だからって一週間はないよ師匠、そんなことより早く行かないとだよ!」
「そんなに慌てても映画は逃げないでしょ茉希ちゃん」
「そうよ早く行って! ヤエを楽しませてきて!」
 よくわからないけれど、茉希が急かさせているのだから、私も乗っておこう。
「ねぇどの服がいいかな?」
「オッケー! ヤエ、アタシが選んでやんよ!」
「えっでも……」
「どうせ師匠はいつものでしょ! ささっと着替えて!」
「はいはい」
 カーテンを閉めると、茉希がさっとヤエの服を選び、着替えさせて。
「出来上がり!」
「これでいいのかな……」
「今のヤエならどんな男もイチコロさ!」
「私には健だけよ!」
 茉希が目線でと言わんばかりに見てくるので……
「ヤエ、とっても綺麗だね天界にいた時よりも、さぁ健に見せてあげて」
 こっこれでいいのよね? 上手く表情作れたかな……
「でもこれいつもの……」
「師匠だっていつものなんだから、それで良いよ、だって師匠はどんなヤエだって受け入れてくれるよ?」
 カーテンの向こうから
「あっ二人のおひ……」
「あーっ! 師匠その服はないわー!」
「ちょっカーテン!」
「アタシが選んでやんよ!」
「いや良いよ、いつもので動きやすいし」
「ハイハイハイ! わかってないなぁ! 女に恥かかせる気? ヤエってこんなにも美人なんだよ?」
「それは……」
「だよねー! じゃあ、そのいつものカーゴパンツ脱いで……」
「わかったから、じゃこのジーンズで……」
 なにか怒涛の勢いで捲し立ててるけど、これも乗っておいた方がいいのよね?
「そうよ! アンタ私のヤエと、でかけられるのよ! 恥かかせないで!」
「別に私は……」
「カーッ! もう九時前じゃん早く行かないと電車が来ちゃうなぁ!」
「そうよ! 急がば回れよ!」
 ? なにか間違えてるわね私……とっとにかく!
「回る意味が違うような……」
「あーっ! もう早く行きなよ!」
「なんでそんなに急かすんだよ二人とも」
「好きな女と、二人っきりの時間を作ってあげようとしているんじゃぁないかっ!」
「さっさと行って! そして楽しんできて! 今日だけだけどね!」
「おいおい……」
「ちょっと……」
 バタンとドアから二人を追い出すと茉希が肩で息をしていた。
「ねぇ茉希、一応理由を聞かせて……」
「しっ! ………………行ったかな……」
 窓から外をカーテン越しに見ると丁度二人が道路に出ていく所だった。
「よしっ! 次の電車が行ったらヒエ! 買い物だ!」
「買い物? 何を?」
「あのさ~二人だけ楽しむってズルくない? アタシらも楽しもうよ!」
「?」
 それから十五分が過ぎると、新潟行きの電車がアパートの前の踏切を通り過ぎていく。
「オッケー……これで邪魔者は消えたね……」
「だからどうするの?」
「お菓子にジュースを買いに行こう! 普段はヤエのご飯のおかげで健康だけど!」
「ヒエ! お菓子もアイスも好きなだけ食べて、ジュースもいっぱい飲んで二人でパーティ!」
「じゃ、おさ……」
「お酒は無しで、バレずにこっそり盛り上がろうよ!」
 確かに魅力的な提案だ……お菓子にアイス食べ放題……ジュースを好きなだけ……
「いい……良いわね! 茉希! 急いで買いに行きましょう!」
「ノって来たね!」
 玄関を飛び出して、そのままスーパーへと向かい、大量のスナック菓子とアイスにジュースを買い込んできた。
「私一度で良いからビッグポテチを独り占めしてみたかったの!」
「アタシはコンソメだぁ!」
 そして、私はノンアルコールビールを茉希はコーラを……
「「うんまぁ~!」」
 あぁ……私はこうして堕ちていくのね……本当は健の胸の中に堕ちたかったけど……
「今はコレよ!」
 次のお菓子の袋を開けると、茉希がゲーム機を持ってきた。
「やろうか!」
「今日はテトリスで落としまくろう!」
「モンハンもね!」
「お菓子食べながらゲーム! ノンアルつき!」
「これがやりたかったんだよ! 健康生活もいいけど!」
 そう言いながら茉希がテレビをつけると、ユーチューブでゲームの攻略動画を流しながら。
「どうよ⁉︎」
「普段だったら絶対出来ないわね!」
「「きゃっはー!」」

 思いっきり堕落のかぎりを尽くした私、だけれども、それはまだ終わってなどいなかった……

 そしてお昼が過ぎた頃。
「ねぇ……私たちのお昼はどうする?」
「げふっ~これ食べよ! アタシの奢りで!」
 一枚のチラシを見せてくると。
「何これぴざ?」
「ピッツァとも言うわね」
「ぴざとピッツァ何か違うの?」
「発音」
「それだけ?」
「あ~コーラうまいわぁ~」
「買いに行くの?」
「これだから、お山育ちは……これ一つで解決さ!」
 そう言って茉希がスマホを取り出してささっと操作して。
「これで注文すると、配達してくれるんだよ!」
「買いに行かなくていいの⁉︎」
「うん、何食べたい? チラシのメニューどれでも奢ってあげるよ!」
「よくわからないから茉希お願い!」
「じゃこのミックスピッツァと生ハムピッツァ行ってみようか」

 一時間後、車がやって来て玄関をノックされる。
「キタ! アタシが出るよ!」
「はい、ウチです、はいこれ代金です、ソースは二つで」
「ありがとうございましたー!」
「はーい」
 そうして赤い箱を持って茉希が戻ってくる……満面の笑顔で。
「まっこの為でもあったんだよね、ヤエを早く出かけさせたのも」
「まっそれはともかく開けるよ!」
 箱の中は……
「おいしぃい……」
「うまーっ! くぅぅうひっさびさにきた!」
 確かに美味しい! 生ハム? と言うらしい肉の塩加減も絶妙で、本当に人間てずるい! 供えなさいよね全くこんなに美味しいもの!
 そして二箱を食べ終わると……
「茉希まだ食べれるわよね?」
「いけるけど?」
「次は私の奢りでどう?」
「どうせ二人は夕飯なんか食べてくるでしょ!」
 
 こうして何処までも堕落してゆく私と茉希。

「もう私達……もどれない……のね……」
「ヒエだけ一人でイかせないよ……イクときは一緒……」

 二箱追加でドンと食べた。エビが沢山のったピザにホタテやイカのピザ、どれもこれもがとても美味しかった。

「ディアブロスって強くね?」
「なれれば楽勝よ、茉希ガンランサーだから楽でしょ」
「ヒエ太刀使うの上手くね?」
「まぁね~」
「なんか眠くね?」
「ちょっと寝たら片付けようか……」
「…………………」

 カチャッ
 ……どんな神よりも恐ろしい元女神が帰って来た音に私達は気づかなかった……
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