元女神様と現世でreSweetライフ!! スキマノハナシ

美味しい肉まん

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平和な日々のお話

4 一人旅

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「健、良いから行っておいでよ」
「えっでもさ……」
 よく晴れた休日、買ったばかりのハンターカブを綺麗に洗車した後だった。
「乗りたいんでしょう?」
 俺が洗車しているところを見ていたヒエが言ってきた。 
 確かに、何処かに慣らし運転を兼ねてツーリングなんてできたら最高の天気だった。
「でも二人にもしものことがあったら……」
「たった一日でどうこうなる訳じゃないでしょ?」
「ヤエと茉希は強いのよ、それに健だって仕事と付き添いばっかりで息抜きも必要よ?」
「じゃあ二人に聞いてみるよ」
 そう言ってアパートに入ると。
「行ってくれば?」
「そうねアナタも息抜きしなきゃよね」
「二人とも……」
「ほら、健」
 ヘルメットとグローブを渡してくるが、少しだけ思案して。
「わかった、行ってくる。何かあったらすぐ連絡してくれ」
「しないわよ、二人とも安定期にとっくに入っているんだから、気にせず行って来なさい」
「あっお土産宜しくねタケシ!」
「オッケー、じゃあ行ってきます」
 そう言うとヘルメットを被り、グローブを装着して。愛車の元へと向かう、キーを回してガソリンの確認を行い、エンジンをかけると小気味いい音を奏でる、絶好調だな! 
 さて……どこへ行こう、まだお昼前だから時間に余裕はある。お土産のことも考えると珍しいのがいいかな。
 頭の中では、村上方面と福島会津方面が浮かんでいた。
 俺が好きなのは……カブに跨ると、ギアを一速に入れ走り出した。
 馬下方面へと向かいそこから、49号線に合流すると。福島方面へと向かうことにした、なんとなくだったが面白いお土産も確かあったはず。
 暫く進むと道の駅が見えてきた、寄り道もいいかな、ウィンカーを出して道の駅へと入っていく。
 この辺りで結構有名な道の駅で下道の利用者は大体、行きも帰りもほぼ利用する。
 トイレと、簡単な昼食を済ませると。鯉がいる池の前で缶コーヒーを飲む、たっぷり三十分は休憩しただろうか。
 カブに跨がり、会津まで向かう道のりに合流すると、緑豊かな風景を堪能しながら走り続けた。
 ハンターカブは順調に走ってくれた、津川の道の駅が見えてきたが、今回は良いかな?
 それにしても小型バイクは気持ちがいい、排気量の大きいバイクも良いが、下道をトコトコと走り景色を堪能できる。
 昔は、どこに行こうにもとにかく目的地が優先で、こんなにのんびりとしたツーリングやドライブはしたことがなかった。
 今は只々走るだけ、ゆっくりでいい、焦る必要もない、このペースが良い、でも走っていれば目的地までは行ける。そんな気分だ、景色の移り変わりを楽しんでいると、柳津迄あと数キロの看板が見えてきた。
 もうここまできたのか……この程度で旅と行ったら怒られてしまうかもしれないが、自分は満足していた。一応、自分のなかでは目的地は設定してある。問題はお土産がお気に召すかなんだけど……買って帰ってみるか。
 途中のコンビニでトイレを借りてスポーツドリンクを飲む、流石に気温も高い季節だ適時水分補給は大事だろう。
 そして走り続けて、会津坂下まで辿り着いた。
 意外と早かったな、時計を見ると午後二時ちょっと過ぎ、どうしよう……鶴ヶ城まで行ってしまうか……でもそれは、皆んなで行ける時にしようか、そうしよう!
 ここ迄走ってきても、ガソリンのメーターは全然減っていない、さすがの燃費の良さだ。俺がスピードを出さないってのもあるけど……そう、もうそんな急いだ生き方をしなくてもいい。そんな事を思わせてくれる時間だったが、念の為に給油をしておく。
 さて、まだあのお店残ってるかな? 最後に訪れたのは………………あれ? いつだったっけ…………まぁ良いか。
 会津坂下の街を探索する、道が変わってないならこの道沿いのはずなんだけど……あった! 俺の思い出にあるお店のままの姿で営業中だ良かった、これでお土産を買える。
 店内に入ると、お目当てのものは流石に名産な事もあり余裕で買えた。もっとも今日は平日だからね、店員からドライアイスも売ってもらい、カブの荷台につけてあるトップボックスに入れる。
 さて、夕飯までには帰ろう。ヤエに電話をかけると、お土産のことを伝えておく。
 驚いていたが、多分食べられるかな? 今更になってこれを三人とも食べれるのかという疑問が浮かんだが、その時は俺が全部食べればいいか……よし! 今日はここ迄だ、帰ろう! 
 いつかロングツーリングとか行ってみたいな、やっぱ北海道とかね憧れはあるけれども。今は家族が最優先だ!
 アクセルを軽く回して来た道を引き返して帰路にとついた。


 そして夕方にはアパートについておみやげをもって部屋へと向かう。
「ただいま~!」
「あっおかえりなさい健、息抜き出来た?」
「うん、これお土産だよヒエ」
 そう言って袋を渡す。
「これが……」
「おかえり! タケシ!」
「アナタが言う通りに、お土産待ちにしていたのだけれど……これなの?」
「うん、馬刺しだよ、もしキツイようなら俺が食べるから」
 ヤエと茉希が匂いを嗅いでいるが……
「いけそうかしら……」
「アタシ初めてかな」
「これは生で食べるものだからね」
「なま⁉︎」
「うん、このタレと生姜で食べるんだよ」
「それじゃ夕食にしましょうか、ヒエお願い」
「うん、手伝うよ」
 夕食のテーブルにお土産の馬刺しを広げる。
「どう? いけそう?」
「なんでもやってみないとね!」
 ヒエは乗り気だけど、茉希が露骨に嫌そうな顔をしている。
「う~んごめんヤッパ無理かも」
 そっかじゃあ俺の出番だな。一応ヤエとヒエは一口食べると。
「「美味しい!」」
 お気に召したようだ、そこからいくつか取り分けると。
「茉希はちょっと待ってな」
 そう言って台所に向かう、フライパンに油を適量、馬刺しを生姜ダレにつけるとそのまま焼き始める。良い匂いがしてくる……これならどうだろうか?
 焼き上がって完成したものを茉希の元へと持っていく。
「ほら茉希、焼いてみたぞ! これなら抵抗感ないだろ?」
「目の前でムシャムシャ二人が生で食べてるところ見てんのに?」
「まぁまぁそう言わずに」
 茉希が箸を伸ばし、焼き上がった馬刺しを口に運ぶと。
「あっ……」
「どうだ?」
「うん! イケる! 美味しいよタケシ!」
「よかった、ヤエとヒエはどうだ?」
「このままでいいよ私は美味しいし!」
「アナタ、ちょっとだけ私にも焼いたのいただけると……」
「おっけ、待ってて!」
 そう言うと台所に向かう、良かった多めに買っておいて。お気に召さなかったらどうしようかと思っていたけど、買って来て良かった。


 夕食を食べ終えると、ライングループに今日の写真をアップしてすごしていると。
「へぇ~随分山道を走って行ったんだね」
「うん、高速道路は使えないバイクだし、緑が綺麗で気分は良かったよ」
「でもタケシは結局、この馬刺し屋さんしか行ってないんだ?」
「うん、お楽しみは皆んなと行きたくてさ」
「それでアナタの息抜きにはなったの?」
「とっても、早くだってゆっくりだって走っていれば楽しいもんだよ」
「でも俺にはカブのスピードぐらいがちょうど良い」

 そう……このくらいのスピードが丁度良い。そんなちょっとの一人旅だった。
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