元女神様と現世でreSweetライフ!! スキマノハナシ

美味しい肉まん

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平和な日々のお話

6 ヒエとの一日

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「健、あなたの赤ちゃん出来たよ……」
 残業を終え帰宅して一人で夕飯を食べている時だった。
「本当かヒエ?」
「うん、妊娠検査薬で出たから」
 疲れなど一気に吹き飛んでいった。多分まだまだ初期も初期なのだろう。
「それで健と一緒に産婦人科に行きたいの……ちゃんと確認したいから」
「そっか、今は体に異常は無いのか?」
「うん、平気」
 これで三人かぁ……産まれたらこのアパートじゃ手狭だなきっと。
「ヤエと茉希にはもう?」
「言ってあるよ、喜んでくれた」
 とっくに寝てしまっていた二人は大喜びだったそうで。
「じゃあ俺の次の休みでもいいか?」
「うん、まかせるね」
「そっか……俺もっと頑張らないとな」
「どうして?」
「当たり前だろ、三人が育休とったら稼ぎは俺のだけだぞ?」
 実際はノエから貰ったお金があるが、もう俺とヤエの中では使い道は決めていた。
「そっか、頑張ってね健」
「おう! 任せとけ!」
 そう言えば近くのコンビニ深夜のバイト募集してたな、やってみるか。
「健は嬉しい?」
「あたりまえだよ、ヒエとの赤ちゃんか……」
「私ってさ、いいお母さんになれると思う?」
「なれるさ、今の素直なヒエならね」
「素直って……そうね意地を張るのをやめたから……」
 夕飯を食べ終わると、ヒエが後片付けをしてくれている間に風呂へと向かう。
 ヒエがお母さんか……ちょっと想像できないかな? でも家のことは進んでやってくれているし、あれ? ヤエは働く場所がある、茉希は一応大学生だ。
 ある程度落ち着いたらヤエだって働くだろう、そうなると最終的に一番面倒を見るのは必然的にヒエって事になるのか?
 それはヒエの負担が大きすぎる気がする、俺もしっかり手伝わなきゃだな、仕事とか言って逃げ出さないように!
 俺が風呂から上がってもヒエは起きていた。
「寝てても良かったのに」
「んっ? 平気、このままバイト迄起きてるつもり」
「そっか……シフトだと明後日が休みなんだ、それでどうかな?」
「うん、でもどうやって産婦人科まで行く?」
 そうだった、今アルファードは茉希が通学で使ってるんだった。
 カブはヤエが使っているし……
「久しぶりに循環バスを使ってゆっくりしてみるか? ヒエの体調次第だけど」
「そっか、余裕があったら久しぶりにお社に行きたいな」
「実家みたいなもんだなヒエ様のさ」
「うん、そろそろ寝たら?」
「もう十二時過ぎてたか……無茶するなよヒエ?」
「大丈夫、おやすみ」
「おやすみ」


 そして当日、起きた時にはもうヤエも茉希も出て行った後だった。ヒエが俺が起きたのに気がつくと、台所から俺の分の朝食を持ってきてくれた。
「おはよう健」
「おはよう、寝過ぎたかな……」
「平気、早く食べちゃってね」
 ゆっくりと朝食を食べると、何が面白いのか俺の顔をじっと見つめるヒエ。
「どうかした?」
「私は今幸せを感じてる、だけど健は?」
「とっても! だから俺は頑張れる、踏ん張っていられる……もう折れたくはないからな」
 そんな俺の心の翳を感じたのか、後ろからヒエに抱きしめられた。
「無理してない? 辛くない?」
「どこがさ、だって大切な人ができた……そして子供も……」
「それでも……あなたの心の中はまだ暗闇のままなのよね」
「大丈夫だよ、ちゃんと照らしてくれる人がいるから……支えてくれるから、きっと子供の存在も俺を支えてくれる」
「優しいねヒエは……」
「私だけじゃないよ……」
「それもそうか、ご馳走様でした!」
 朝食を食べ終わると、ヒエが片付けてくれている間に、支度をしながらバスの時刻表を確認する。
「ヒエ、次のバス逃したら午後になるからもう行こうか」
「そうなの?」
「もうちょっと本数増やしてほしいよね……行こうか!」
 ヒエの手荷物を持つと、手を繋いで駅まで向かった。
 五分遅れでやってきた循環バスに乗り込むと村松まで向かう、ちょうどバス停が産婦人科の前だった。
「覚悟はいい? 健?」
「とっくに出来てるよヒエ」

 
 そして診察を終えると、確かにヒエは妊娠していた。そして先生は複雑そうな顔をしていた……そんな目で見ないでください……


「母子手帳か……京子にも報告しないとね!」
「今度は市役所で母子手帳か……またビンタされるのかな俺」
 などと話しながらバス停で市役所行きを探すと。
「二時間後か……お腹空かないかヒエ?」
「うん、平気それよりも時間があるなら……」
「日枝神社に行こうか、ヒエ様の里帰りってね」
「そうなるね、ふふっ」
 日枝神社まで二人で歩く、たわいのない会話をしながら、昔話を織り交ぜて……到着すると。お社が新しく新築に工事中とのことだった。
「よかったなヒエ、新築だってさ」
「でも私はここにいるわよ?」 
 二人で笑顔になると来た道を戻り、地元で有名なラーメン屋へと向かい昼食をとった。
 バス停で座りながら、待っている間にふと思いつく……三人とも妊娠した、これって凄く良いことだよな? 周りがどう言おうが、俺たちにとっては特別な事だ。
「なあヒエ、お祝いしようか?」
「お祝い?」
「皆んなが妊娠したってことで……」


「八神さん……本当にあなたって人は……」
 塚田さんが頭を抱えているが。
 もう謝るつもりもなくなっていた、むしろ誇ってさえいる俺がいた。一般人目線で見れば確かに最低だろうが……
「京子、私は幸せよ?」
「ですよね……」
 市役所でヒエが母子手帳をもらったので報告に来たところだった。
「はぁ~それでどうしたいんですか? なにか用事があってきたのですよね?」
「実は三人とも名字を八神にしたいんですけど……」
「できるとは思いますけれど、ヒエさんはもう八幡姓で登録してましたよね?」
「私とヤエは八幡ね」
「まぁ結婚してしまえば簡単ですが……そうでない場合は、家庭裁判所に申し立てが必要なはずです」
「つまり?」
「非常に難しい問題であると言えますね」
「どうにもならないの?」
「名乗るだけなら別に良いですよ、ただ子供の姓をどうするのかとか問題は山積みです」
 そうだよな……結婚はできないってことか、詰めが甘いよ大女神様………んっ⁉︎
「もともとは、ほぼ偽造ですもんねヤエとヒエは‼︎」
「どうしました八神さん?」
「なんとかなるかも!」
「なんとかって……」
「ヒエ帰ろう! 聞いてみたいことができた!」
「誰によ?」
「ノエだよ!」
 すぐに立ち上がり塚田さんに別れを告げると、アパートに向かう帰り道、ノエへと電話をかけた。
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