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第3章~あなたの愛に完全幸福します~
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しおりを挟むセイラはリヒトから贈られてきた花を眺めて溜息を吐く。
兄様は厳しい。
無言で要求してくる。
おまけ家庭教師をしている少女がそれなりに有能だという褒め言葉まで手紙に書いてあったらしいとあれば焦らずにはいられない。
「珍しく落ち込んでおられますね」
「ニナ、」
「リヒト様も意地が悪い」
クスリと笑う彼女はきっとそんなこと全く思っていない。
どちらかと言えば沈んでいる自分の反応を見て楽しんでいそうだ。
そんな疑惑を込めてジトリと睨むと柔らかな苦笑がかえってくる。
「でもそれだけちい姫様を信じておられるんでしょうね」
「え?」
「信じてなかったら無言の要求なんてできませんよ」
無言でありとあらゆるものを要求されて、それに応えてきたジオの姿を見ていたから知っている。
そこに信頼が込められているから、それが誰よりも信頼しているという証だと知っているからこそ文句を言いながらもジオはそれに応えてきた。
リヒトはある意味一番近くでその関係を見ている。
だからこそ幼いリヒトは“ジオのようになりたい”と言いだしたのだろう。
大切な人に一番信頼されているのはジオだと知っていたから。
「それにそんなに落ち込むことはないと思いますよ」
「……どうして?」
「ガーベラ、グラジオラス、ネリネ。
確かに『辛抱強さ』とか『用心』とか『箱入り娘』とかの意味もありますけど『常に前進』とか『勝利』とか『また会う日を楽しみに』とかって意味もあるんですよ」
「、」
「リヒト様はちゃんとちい姫様の努力を認めていらっしゃいますよ」
「うんっ!!ありがとうニナ」
「どういたしまして」
優しく微笑むニナにセイラは弾けるような笑みを浮かべた。
無言の要求は信頼の証、そう思えばまた頑張ろうという気が沸いてくる。
まだまだ未熟な自分には落ち込んでいる暇なんてない。
失わない為にはボスの後継者としてふさわしいと認めてもらわなければならない。
ただでさえ女というハンデを背負っているのに立ち止まってなんていられない。
「絶対に、負けるもんか」
欲しいものを手に入れるにはこの手を伸ばし続けるしかないのだから。
セイラは気合いを入れるように自分の頬を叩いて仕事へと戻って行った。
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