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第3章~あなたの愛に完全幸福します~
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しおりを挟むリヒトが王都に行ってどのくらいたっただろうか。
送られてくる手紙は相変わらず家族の心配ばかりでリヒトらしいとしか言えない内容ばかりだ。
セイラたちには個別に花やら本やら雑貨やらが送られてくる。
喜ぶ子どもたちの姿を眺めながらマメなことだと思わないでもないが、セイラとアルバにはちゃんと隠れたメッセージも含ませているところは流石だ俺の息子だとも思う。
ノクトは子どもたちだけにプレゼントが送られてくると拗ねているルナの口にケーキを放り込みながら愛息子からの手紙に目を通す。
もぐもぐと口を動かしながら覗きこんでくるルナに読み終わった手紙を渡してやると嬉しそうにはにかんで手紙を受け取った。
気分がいい間に他のものにも目を通してしまおうと適当に取った手紙の封を切る。
内容を追ううちに自分でも眉間に皺が寄るのが分かった。
どうやらリヒトはまたトラブルを引き寄せたらしい。
封筒に押された紋章をチラっと確認してぐしゃりと握りつぶす。
「ノクト?」
「……」
「何かあったの?」
不安に揺れる瞳にノクトは躊躇った。
けれど以前、黙っていて怒らせたことがある。
それを思い出して渋々重たい口を開いた。
「……リヒトに見合い話が来た」
「お見合い…?断るでしょう?」
ルナの縋るような視線にノクトは即答してやれなかった。
封筒と文末に押されているのは王家の紋章。
そう簡単に断われる相手ではない。
「……王女殿下にはもう婚約者がいるはずだ」
「ノックはどうしたノックは」
ソファ越しに覗きこんできたアルバが珍しく眉を寄せて呟く。
どんどん神出鬼没になっていくアルバにもう驚くことはしない。
「それ本当!?だったら!」
ルナも驚きよりもアルバの言葉への関心が強かった。
その言葉は希望だった。
リヒトが寄宿舎に行くと言いだした時にノクトたちと守ると決めた。
優しすぎるリヒトは特に自分たちのためならきっとどんなことでも笑って受け入れてしまうから。
くだらない政略結婚なんて子どもたちには絶対にさせないと。
長い時間を共に歩む人は自分たちの意思で選んでほしいから。
「うん。レドモンドの次男なら兄さんに乗り換える必要なんてない」
「……向こうの状況が分からねぇ。リヒトを呼び戻す。アルバ」
「任せて。できるだけ掻き集めてくる」
リヒトのことになると途端に協力的になるアルバに呆れながらノクトはジオとニナ、それから最近随分と成長をみせているセイラを呼び寄せた。
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