【完結】女王陛下、クビだけはご勘弁を 〜「できちゃった。責任とって」って、ソイツはヤリチン王子。できるはずがありません!!〜

アムロナオ

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【28】親友 ー心強いー

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 新米近衛兵の仕事は、宮殿警護である。
 決められた場所に立ち、不審者がいないか目を光らせ、いざという時の為に待機する。

 一見いっけんずっと突っ立ているだけの楽な仕事にみえるが、常に表情を作っていないといけないし、何もする事がないのは辛いものだ。
 だが交代時間が決められているので、仕事は時間ぴったりに終わる。

 ダニエルはセレーナの仕事あがりに合わせて、夕飯を用意して待った。
 しばらくすると、ミシミシと階段を登ってくる複数の足音が聞こえてきた。
 同期でもう一人の親友、アリも一緒なのだろう。


 部屋のドアが開き、セレーナとアリが勢いよく入ってくる。
 ダニエルの姿に、二人は白い歯をみせた。

「きゃぁぁ!ダニー!あたしのソウルメイト、おかえりー」
「ただいま、セレーナ!」

「ダニー!おかえりー!」
「ただいま、アリ」

 三人は両手を広げて、ハグをし合った。


 同室のセレーナ・フェリックスとは同じ年で、帝国軍に入った時からの同期だ。
 艶やかな黒髪は顎先で内側にカールし、うなじが隠れるくらいのボブスタイル。

 つぶらな瞳に、ピンクベージュのアヒル唇。
 誰もが「ベビーフェイスだね」と言うから、本人的にはコンプレックスなんだって。

 ダニエルからすると、年齢不詳で羨ましい。
 二十代なのに、十代に間違われることもよくある。
 そしてダニエルとセレーナは雰囲気がよく似ているらしく、「お姉さん?」と聞かれることもしばしば。

 三人でいるといつも一歩後ろからついてくるようなタイプ。
 男を見る目のない彼女だが、最近のいい人ができたみたい。
 人としての芯はしっかりしていて、情に厚くて優しい娘だ。


 アリ・シュミットは三人の中でオカン的存在で、逞しい女を地で行くタイプ。

 華やかな金髪碧眼で、綺麗な面立ちをしている。
 スカイブルーの瞳に、彫り深い目元で、キツそうな印象を受ける。

 スタイル抜群、胸も尻もあるから男は入れ食い状態。
 だがどういう理由か、いつもヒモ男にひっかかる。

 本人もダメな男を製造している自覚を持っており、それに対して自慢気なのが清々しい。

 ダニエルなら自己嫌悪に陥りそうな事でも、一刀両断してくれる。
 つるぎのように揺るぎないアリを、ダニエルもセレーナも信用し頼りにしていた。


「もぅ!ダニーってば、急に休暇に行ったかと思えば、帰ってくるのも急なんだから」
「ごめん、休暇に入る話してなかったね」

「あたしも前日に知ったのよ。ルームメイトにくらい知らせろっつーの」
「ごめんごめん!急に休暇取得できることになったからさ。それより夕飯できてるよ。座って」


 ダニエルは二人を食卓へ案内した。
 勉強机を移動させただけの簡易的ダイニングテーブルには、ポトフの鍋と硬いパン、少しの果物。


「嬉しいー。お腹ペコペコ!」
「帰ってきたら夕飯あるって、最高だよね」
「奮発してベーコン使ったわよん」

「ダニー、愛してる!」
「あたしも、愛してるっ」

 セレーナとアリーは質素なメニューでも喜んでくれる。
「あたしも愛してるよ、セレーナ、アリ」
 ダニエルはいつも通り迎えてくれる二人の親友に感謝した。


「ねぇ、その髪型可愛いね。あたしも次、それにしようかな」
 アリはダニエルの編み込みを気に入ったらしい。
「コーンロウっていう髪型だよ。洗髪がめんどうだけど、オススメ」
「へぇ、いいなぁ」

「でもそれ仕事中はまずいんじゃない?」
「うん。リック分隊長に見つかる前に、明日、床屋に行ってくる」
「ダニーの箒頭が復活かぁ」
 プププと笑うアリに、ダニエルは「言わないでー」と耳をふさぐ。


「その後、ポーラと母に会ってくるわ」
 ため息交じりに宣言すると、セレーナもアリもなんとも言えない表情を浮かべた。

 十五歳の頃から苦楽を分かち合ってきたのだ。
 ダニエルがどれほど金銭援助してきたか、二人はよく知っている。


 セレーナは渡しにくそうに、金貸しからの督促状と母と弟からの手紙を差し出した。
 督促状は二枚あり、一枚は弟ポーラのサインが、もう一枚は母ミランダのサインがある。

 ポーラの借金は少額だが、ミランダのほうは何に使ったのか、かなり高額。
 給与を当てても返済が厳しいくらいで、頭が痛くなった。


「ダニー、大丈夫?」
「う、うん」

 気遣わしげな二人に、ダニエルは笑顔を作る。
 上手に笑えている自信はない。

「ねぇ、何かあれば私達が力になるわ」
 アリとセレーナは顔を見合わせダニエルに申し出た。

 ダニエルが感謝しながらも、目を反らせた。
「ありがたいけど、二人からお金を借りるつもりはないわ。友達であれば尚更、それはしちゃいけないと思うの」

「わかるわ」
「えぇ、そうね。ダニーの言う事は最もよ」
 セレーナもアリも大きく頷く。

「でもありがとう。二人がいてくれるだけで、心強いわ」
 ダニエルの言葉に、セレーナはエクボを浮かべて笑い、アリは女性をもドキッとさせるような女豹の笑みを作った。
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