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【42】本心 ① ー男を忘れるには次の男ー
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サニーらしき人を見かけてから、ダニエルは無意識のうちに彼を探し回った。
男性を見る時、共通点を見出そうとする。
彼みたいなメッシュが入った小麦色の髪だな。
彼みたいに紫がかった青い瞳の人はいないな。
彼と後ろ姿がそっくり、彼だわ!
他人のふりするんじゃなかったのかと、自分自身につっこみたくなる。
しかし彼と背格好が似ている人を見かけては、無意識に駆け出してしまう。
そして彼でないという事実を確認して、悲しみを覚えた。
その度に、どうして悲しむんだと自分を叱る。
そもそも彼を探している時点でおかしい。
彼とはバカンス先での一夜の遊び。
引きずなんて、間違っている。
探すべきじゃない、会うべきじゃない。
頭で理解していても、身体が勝手に動いてしまう。
矛盾する自分自身に限界を迎え、サニーとのことをセレーナとアリに打ち明けた。
途中、混乱して自分でも何が言いたいか、わからなくなってしまう。
きっと話を聞かされたほうは、もっと意味不明だっただろう。
それでも二人は真剣に聞いてくれた。
「そのサニーって人、宮殿で消えたんだよね?」
セレーナは閃いた!というように訊ねてくる。
「うん」
「ってことは、幽霊の正体は彼だったんじゃない?生き霊だったのよ」
しかし、続けてセレーナは顔を曇らせた。
「ねぇ、アリャーリャ村で寝た時に、既に死んでたとかないよね?」
「それはないでしょ!だって毎日バーで顔を合わせていたんだよ」
「そ、そうよね。それならやっぱり生き霊の仕業……」
霊と決めつけるセレーナとは対照的に、アリは「ダニーの見間違えじゃないの?」と冷静だ。
「ダニーがそのサニーって男性を意識してるから、幻を見たんじゃない?」
「……そうなのかなぁ」
悔しいことに、意識してないとは言い切れない。
「現実的に考えてさ。霊より幻のほうが、楽に説明がつくでしょ。それなら廊下で消えた謎も、最初からそんな人いなかったってことになるし」
「で、でもさ。その消える現象が何回も起きたんでしょ?」
「うん。宮殿内でサニーを見かけて、追いかけたら消えてることは何度もあったのよ。それに誰もいない部屋で誰かに見られてる気もするし」
「それならやぱり生き霊じゃ……」
「ダニーが過剰になりすぎているだけじゃないの?」
「「どういうこと?」」
ダニエルとセレーナは首を傾げる。
「つまりダニーはサニーが好きなんでしょ」
「す、好きじゃない!!」
弾かれたように立ち上がり、部屋中に響く大声でダニエルは否定した。
「ほら、めちゃくちゃ反応する」
アリの指摘に、セレーナはうんうんと頷く。
それからアリは、「ちょっとあたしの話を聞いてよ」とダニエルに落ち着くよう促した。
「そうやって否定するのが、よくないんじゃない?」
「……え?」
「ダニーは本心では彼を求めているのよ。でもそれを頑なに認めないから、行き場をなくした欲求が無意識に彼の幻をみせているんじゃないのかしら」
ダニエルは渋い顔になる。
アリの言葉は核心を突いていた。
自分でも、そうなんじゃないかと思っていたのだ。
彼を求めているから、幻をみるのでは……と。
だが、認めたくない自分自身もいる。
男性を見る時、共通点を見出そうとする。
彼みたいなメッシュが入った小麦色の髪だな。
彼みたいに紫がかった青い瞳の人はいないな。
彼と後ろ姿がそっくり、彼だわ!
他人のふりするんじゃなかったのかと、自分自身につっこみたくなる。
しかし彼と背格好が似ている人を見かけては、無意識に駆け出してしまう。
そして彼でないという事実を確認して、悲しみを覚えた。
その度に、どうして悲しむんだと自分を叱る。
そもそも彼を探している時点でおかしい。
彼とはバカンス先での一夜の遊び。
引きずなんて、間違っている。
探すべきじゃない、会うべきじゃない。
頭で理解していても、身体が勝手に動いてしまう。
矛盾する自分自身に限界を迎え、サニーとのことをセレーナとアリに打ち明けた。
途中、混乱して自分でも何が言いたいか、わからなくなってしまう。
きっと話を聞かされたほうは、もっと意味不明だっただろう。
それでも二人は真剣に聞いてくれた。
「そのサニーって人、宮殿で消えたんだよね?」
セレーナは閃いた!というように訊ねてくる。
「うん」
「ってことは、幽霊の正体は彼だったんじゃない?生き霊だったのよ」
しかし、続けてセレーナは顔を曇らせた。
「ねぇ、アリャーリャ村で寝た時に、既に死んでたとかないよね?」
「それはないでしょ!だって毎日バーで顔を合わせていたんだよ」
「そ、そうよね。それならやっぱり生き霊の仕業……」
霊と決めつけるセレーナとは対照的に、アリは「ダニーの見間違えじゃないの?」と冷静だ。
「ダニーがそのサニーって男性を意識してるから、幻を見たんじゃない?」
「……そうなのかなぁ」
悔しいことに、意識してないとは言い切れない。
「現実的に考えてさ。霊より幻のほうが、楽に説明がつくでしょ。それなら廊下で消えた謎も、最初からそんな人いなかったってことになるし」
「で、でもさ。その消える現象が何回も起きたんでしょ?」
「うん。宮殿内でサニーを見かけて、追いかけたら消えてることは何度もあったのよ。それに誰もいない部屋で誰かに見られてる気もするし」
「それならやぱり生き霊じゃ……」
「ダニーが過剰になりすぎているだけじゃないの?」
「「どういうこと?」」
ダニエルとセレーナは首を傾げる。
「つまりダニーはサニーが好きなんでしょ」
「す、好きじゃない!!」
弾かれたように立ち上がり、部屋中に響く大声でダニエルは否定した。
「ほら、めちゃくちゃ反応する」
アリの指摘に、セレーナはうんうんと頷く。
それからアリは、「ちょっとあたしの話を聞いてよ」とダニエルに落ち着くよう促した。
「そうやって否定するのが、よくないんじゃない?」
「……え?」
「ダニーは本心では彼を求めているのよ。でもそれを頑なに認めないから、行き場をなくした欲求が無意識に彼の幻をみせているんじゃないのかしら」
ダニエルは渋い顔になる。
アリの言葉は核心を突いていた。
自分でも、そうなんじゃないかと思っていたのだ。
彼を求めているから、幻をみるのでは……と。
だが、認めたくない自分自身もいる。
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