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【54】感情の欠片 ② ー身体と心に鍵をかけてー

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 二人の吐息がこもり、男の前髪がダニエルの頬をくすぐった。
 鼻先や睫毛がかすめるように肌の上を滑り、気がつくとダニエルはサニーの背中に腕を回し、彼の身体をひきよせていた。

 さらに強く唇をおしつけあい、互いの唇が自然とひらく。
 求め合うようにそれぞれの舌が絡み合った。
 息もできないほどのキスに、ダニエルの思考は消えていく。

「ディディ、俺のお姫様……どうしてほしい?キミのためなら、なんでもするよ」

 ダニエルは両手で彼の頬を包み込み、熱く潤んだ男の瞳をのぞき込んだ。
 自分のシルエットが浮かんだ彼の瞳。
 闇い牢獄じゃなくて、彼の心(ハート)に欲望の炎で縛りつけられたいの。

「……優しくエッチして。たくさん可愛がって」

 甘く囁いて、ダニエルは艶然えんぜんと微笑んだ。
 身体と心に鍵をかけてやるんだ。


 それができたかどうかは、わからない。
 だが情欲を煽るのには成功したようだ。

 サニーは自身の骨盤を上下させるように、筋肉を動かす。
 腹の奥に強い衝撃がほとばしり、ダニエルは全身を痙攣させた。

「あぁっ!、っあぁ!、っ!!、んふっ、んん!」

 喉からあがる悲鳴を、奥歯を噛み締め堪える。
 咄嗟に口を覆ったが、声が漏れてしまった。

 また膣奥を優しく撫でるように、肉棒が円を描く。
 お腹の奥が燃えるように熱く、かつジワっとぬめりを感じる。

 雄杭から溢れる快感の汁だろうか。
 膣奥に塗り広げられるような感覚に、ダニエルの隘路が悦び愛液を溢れさせる。


「ディディ……はぁ、きもちいいよ」

 愉悦に眉を歪めるサニーに、胸がキュンと締め付けられる。
 男はダニエルに頬ずりして、「ディディ、可愛いね。俺のお姫様」と囁く。

 可愛いのはサニーのほうだ、とは言わないでおく。
 代わりにダニエルはまなじりから涙をこぼした。

 もどかしい……熱くて、イキそうなのに、イケない。
 たぶんそれはサニーも同じかもしれない。
 思うように腰が振れなくて、四苦八苦してるように見えた。

「ディディ……はぁ!っ”!」

 互いの性器をこすり合わせる。
 のたうちまわる蛇みたいに、ダニエルとサニーは腰を捩り、息を殺し、身悶えながら絶頂を目指した。


 やがてダニエルの隘路全体がガクガクと振動を始める。
 徐々に頭が真っ白になり、絶頂へのラストスパートを駆け上っていった。

「搾りとら、れるっ……」

 サニーは低く呻き、荒い吐息を吐き出す。
 膣襞が蠕動ぜんどうし、肉棒を捏ね回した。

 それに呼応して、男の肉棒も根元からブルブルと震えだす。
 協奏曲コンチェルトのように、互いが互いのカイカンを引き出し合う瞬間が、たまらなく愛おしい。

 最後にグン!と最奥の壁を押し上げられ、ダニエルは目も眩む快楽の大波へと突き落とされる。
 同時にサニーの男根も戦慄わななき、彼は慌ててダニエルの身体を持ち上げた。

 ずっと埋まっていた肉棒がずるりと抜け、蜜壺からゴポッと蜂蜜と男女の体液が混ざった粘り気のある液体が垂れてくる。
 そこに精液が追加され、熱い子種が太腿を流れ落ちた。
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