【完結】女王陛下、クビだけはご勘弁を 〜「できちゃった。責任とって」って、ソイツはヤリチン王子。できるはずがありません!!〜

アムロナオ

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【64】女王陛下 ② ークビだけはご勘弁をっー

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 彼が幼い頃は国政が安定おらず、全く息子を顧みなかった。
 政敵を倒すことに心血を注ぎ、その後は国を豊かにすることに没頭した。

 ようやく息子達に目がいくようになった時には既に彼らは物心がついており、母を求める時期は過ぎ去ってしまっていた。
 だから母としてではなく、王として接するよりなかった。

 その反動で、彼は女性達の愛情を請うのだろう。
 そしてその後遺症で、彼は女性を信じられないのだろう。

 きっと彼は誰も愛さず、生涯を終える。
 母として胸を痛めつつ、女王として歓迎していた。

 そんな息子の初めての執着、親としては叶えてやりたい。
 これまでの功績を鑑みても、報酬として与えるのは妥当である。



「お願いします、母上」
「仕方ありませんねぇ」

 うそぉぉぉぉぉ!!
 承諾する流れに、ダニエルは慌てた。

 あぁあっぁぁ、女王陛下!
 アレクサンドラ・ケイト・デヴォンシャー様!!
 どうか!どうか!王子を止めてください。

 もう頼みの綱は陛下しかいなんです!
 哀れな下級軍人をお救いください。

 ダニエルは最悪な方向へと流れていく会話に、小さく震えた。


 ーーどうする?どうすればいい?


「後ろ盾になってくれる御方を見つけたら、迷わず喰らいつけ。喰い殺してやるくらいの気概がなければ、この場所では生き延びれないぞ」

 ふいに、直前に受けたハルボーン中佐からのアドバイスが脳裏を掠める。

「覚えておけ。出世するには狡猾さが必要だということを」

 ダニエルは隣に立つハルボーン中佐を盗み見た。
 後ろ盾って誰のこと?サニー!?それとも……。



「でも残念だわぁ。せっかくいい人材が入ってくれたのに。マッキニー准尉は優秀なんでしょう?」

「そこまででも……いたって普通です」とユージンが大きな独り言をこぼす。
 サニーは聞かなかったことにして、饒舌じょうぜつに畳み掛けた。

「えぇ、ダニエルは優秀ですよ。しかし母上!これは神の御意志です。天も私達二人の愛の結晶ベイビーを祝福しているのです」


 子作りを匂わす言葉、サニーなりに誠意を示したつもりだ。
 わざわざ女王や帝国軍大将ダウニーに認めてもらうのは、”公式な愛妾”とするためだ。

 公式な愛妾とは、いわば内縁の妻である。
 婚姻の意思を持って事実上の夫婦関係を築く決意の現れ。

 とはいえ王族のはしくれなので、希望通りに結婚できるかはわからない。
 隣国から嫁入りを望まれれば、国のために断れないだろう。

 けれどダニエルをただの愛人として日陰の身にするつもりもない。
 軍を辞めさせ、側に置くのだ。
 生涯めんどうを見ますと一世一代の宣言プロポーズをした。

 きっとこれならダニエルも納得するだろう。
 男として、筋は通しましたヨ。

 横目でダニエルを伺うと、俯き肩を大きく震わせている。
 嬉し涙ダナ……って、あれ?


 ーーーナンデ般若みたいな顔してるんデスか、俺のお姫様。



「では女王陛下」

 ダウニーが女王にアイコンタクトをとる。
 その時、突然ダニエルが土下座し、死に物狂いで叫んだ。

「女王陛下!何卒、何卒、クビだけはご勘弁をっ」
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