女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【46】爵位返還 〜高貴さは義務を強制する〜

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「でっかい釣り針は置いておいて……シシェック・マッキニー男爵はどうします?」

「洗脳が立証できれば背任罪、できなければ横領罪だろうな。どちらにせよ爵位剥奪は免れないだろう」


サニーの宣告にダニエルの胸は重苦しさで満たされた。

しかしなにをどうしたって、父が領主として道を誤った事実は消せない。

職と地位を奪われるのは仕方ないことだ。



「准尉、ポーラ君はマッキニー家を継がず爵位返還を望んでますが、貴女はそれでいいんですか?」

ユージンは最終確認をとるようにダニエルに訊ねた。


「いいもなにも……私は十年前に家を飛び出した身ですから。マッキニー家の存続には口出しする権利はありません」

「そんなことないでしょう。何年もご実家の援助をしてきたのだから、口出しする権利はあると思いますよ」


「そうだとしても、弟は領地運営には興味がなく、爵位返還し自由に暮らすことを望んでいます。男爵家に産まれたからといって、弟の将来を縛り付けるわけには……」

”高貴さは義務を強制する”ノブレス・オブリージュがあると思いますがね」


ユージンの責めるような口調にダニエルは言い返せない。

男爵家の子として裕福に育ったわけではない。

けれど田舎の貧乏貴族であっても、爵位あるなしでは人々からの眼差しがかわるのも事実である。

そして大なり小なり、ダニエルがその恩恵を受けてきたことも。



「それに将来的に爵位があったほうが、妹御のためにもなるんじゃないですか?」

「それは……」


その通りだ……キャサリンが良き夫と巡り会うまでは、マッキニー男爵領の名前があったほうがハクがつく。

それ故、ミランダキキキャサリンは爵位返還に猛反対するだろう。


ダニエルにとってはキャサリンも可愛い妹である。

キキのために、爵位返還は先延ばしにできないだろうか。

でもそれをポーラに強制するにはどうにも後味が悪い。

ダニエルは此処にきて迷っていた。



「貴女にもいえることではないですか?いずれ結婚しますよね」

「結婚?」


ダニエルは目をまん丸にした。

青天の霹靂へきれきといった反応に、逆にユージンのほうが驚いた。


「貴女、ずっと軍にいるつもりですか?」

「はい。近衛隊は年齢制限がないし、身体が動くうちは警護業務をして、老いたら警備業務に戻りたいな~と」


「老婆が警備業務できますか!そんな軍人、宮殿にはいりません」

「まぁ、いいじゃないか。人にはそれぞれ考え方生き方があるんだから」

呆れるユージンに、サニーがダニエルをフォローし庇った。
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