女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【113】夜這い①〜俺だよ、お嬢様〜

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その夜、ダニエルは盛大なため息をついた。

父を自室へ運んだまでは良かったが、着替えさせたり身体を拭いたりで忙しく、その後は電報を打ち、屋敷内の状況確認に追われた。


やっと一息できると思いきや、目を覚ました父が部屋が明るいとか、娘に向かって“人殺し”とか罵詈雑言を放つものだから、子の心親知らずでゲンナリしちゃう。

力業でもう一度失神させようとしたが周囲から止められ、仕方なくベラ・ウェインを看護につけるという事で落ち着いた。

そんなこんなでサニーやワトソン少尉達と打ち合わせる暇もなく夜になってしまった。


「にしても、この家はどうなってんのよ……」

ダニエルが送った多額の仕送りは何処へ消えたのか……呆れるしかない。


内装を補修する余裕がないのは仕方ないとして、装飾品が驚くほどなくなっている。

おそらく売り払ったのだろうが、応接室セット等の大物家具までなくなってて、ダニエルは愕然とした。


父の部屋、ダニエルの部屋、子ども部屋の応接室から軒並みソファーがなくなっており、ダニエルは頭を抱えた。

今夜は子ども部屋の応接室のソファーで寝るつもりだったからだ。

ポーラも子ども部屋からソファーがなくなっている事を知らなかったようで、ガランとした部屋を前に二人して肩を落とした。


兎にも角にもダニエルはポーラから勧められ、書庫のベンチで夜を明かす事になった。

普段、書庫はあまり使用していない、いわば物置的な場所だ。

そのため掃除も大雑把で埃っぽく、暖炉もない。

四方を本棚に囲まれ、簡易的なデスクとベンチがあるだけの寒々しい部屋だった。


その部屋に簡易マットレスと布団をありったけ持ち込み、寝袋で防寒すれば問題なく眠れるだろう。

心配したキャサリンが一緒に寝ようと誘ってくれたが、イビキが恥ずかしいから一人で寝たいと打ち明けると納得してくれた。

「くしゅん!あーーー、やっぱキキキャサリンの部屋に入れてもらえば良かったかなぁ」

ダニエルは持ち込んだ火鉢をベンチ横に引き寄せて暖をとった。

暖かさが眠気を連れてくる。

ダニエルはいつの間にか眠ってしまっていた。



ーーーっ!

気配を感じてダニエルは飛び起きた。


誰かいるっ!!

暗闇の中で恐らく男の影が直ぐそばで動いた。


なんで気がつかなかったんだろう。

ダニエルは咄嗟に剣へ手を伸ばすが、掴まれ制された。

男はダニエルの腰にのし掛かってきて、恐怖で背筋が凍る。

その時、聞き慣れた声が「俺だよ、お嬢様」と囁いた。


聞き覚えのある声に、口調。

”俺のお姫様“ってノリで言わないでよ、サニー!

「さ、サにぅゔん!!」


急に口を塞がれ、ダニエルは何をされたのかと再び目を丸くした。

「しーーーっ!ダメだよ、夜這いにきたんだから」

口を塞ぐサニーの力は強く、まるで嫌がる女性を押さえつけるかのような雰囲気にダニエルは戸惑う。
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