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3話【さようなら】

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行為が終わり水泳部の先輩は倉庫から出て行く。


残って居るのはクソ野郎の精液まみれでグッタリした俺と小崎先輩だけ··········


(       最悪·····最悪だ··········なんで····、、)


小崎先輩に見られた事がショックだが、取り敢えず早く此処から居なくなろうと服を着ようとする。
早く·····早く身体を洗いたい
家に帰りたい
それから·····それから⎯⎯⎯⎯⎯⎯···············



ガチャ·····


「ぇ?」

な   、   な に  ?  ?

見ると·····倉庫の扉の鍵を小崎先輩が掛けていた。

「せ··········先輩·····?」

先輩は無言で俯いていて何を考えているのか分からない。
「早く出ましょう?この事は後で···ちゃんと説明するので、」
αとΩがこんな密閉された空間にいるのは危ない。
幾らヒートを起こしていないとはいえ···············


「先ぱ⎯⎯⎯⎯·····
「Ωだったんだな」
「ッ、」
当然バレる事だった。
寧ろ今までαである小崎先輩にバレていなかったのは運が良かっただけ、、、

何も悪い事はしていないのに·····なんでこんなに後ろめたい気持ちばかり溢れていくのだろう。

「何で俺には言ってくれなかったの?俺がαだから??無理矢理犯されて番にさせられると思った?ねぇ·····何で?」
「····················そ           れ   は、」
小崎先輩がαだからとか·····そういう事じゃなくて、社会的に偏見があって生活が難しいし、、だから············その···
違うと言いたいのに声が出ない。





黙りだんまか」
呆れた様に冷たく先輩は言う。

「    すみません····················」
今の俺の精一杯出せた言葉はこれだけだ。
しかも掠れてしまって小さい、、、小崎先輩に聞こえているのかさえ怪しい位に·····


すると突然·····先輩が俺の項を掴むと自身の顔の方へ強引に引き寄せて来た。
「なっ?!」
俺は驚いて反射的に先輩を突き放そうとするのにビクともしない。

「 ·····アイツは良いのに俺がαだから駄目なのか」
「?!」
何か凄い勘違いをしている。
あんなクソ野郎好きでもなんでもないし、行為自体·····凄く痛いし俺は全然好きじゃない。
βに近いΩなんだから············当然だろ、、
何も良くは無いッ!!

「  ちっ、    、違います!」
先輩の目を見て否定するが、目は据わっていて聞いていると思えなかった。
先輩は無言のまま俺の唇に自身の唇を合わせるとネクタイを解き俺の手首を縛り始める。
俺は抵抗したが先輩の握力に負け、縛られた両手を片手で固定されてしまう··········その間にも口の中へ先輩の舌が強引に入り、生温くてヌルッとした舌は俺の舌を絡め·····上顎や歯茎をなぞっていく、、、

「     ふぅ   ぅ”、、   ·····や··········めて    やぁ    ····や······せんぱ········」
口の中を犯させながら辞めて欲しいと懇願する。
キスは今までしたことが無い···············
得体の知れないゾクゾクとした何とも言えない快楽が俺を襲い、息をするのさえ苦しくて·····涙が勝手に溢れてくる。

(怖い ··········これ    、、こわい      ····やだッ)

感じた事が無い快楽が怖い··········
先輩は何でこんな事をしてくるんだろうか、、、
俺は·····ただの後輩でしょう?

それに、、、

先輩からは甘い匂いがする··········
なんだこれ·····


唇が離れると先輩はマットの上に俺を投げた。
「~~~ッぅ、、先輩!!  やめて下さいッ」
先輩を睨み付けて言う。
でも、先輩は冷たい表情のまま俺の両脚を掴むと全開にして秘部を露わにさせた。

「~~~~~~~ッ?!」

後孔からはまだ白い液が溢れ出し、下腹部もジンジンする。
「  み、見ないでッ!!」
脚を閉じようと力を入れるがやはり負けてしまう。

先輩は俺が脚を閉じれないように間に身体を入れ、指が何の断りもなく俺の後孔の中へ推し入って来る。
「       アア”ッ   やッ!    いやッ!!抜いてえぇええッ!!やめっ    怖いッ    ん”     ぅ うう、  」
足をバタバタとさせるが辞めて貰えない。

「全部·····全部出してやる」

グチャグチャぐちゅ·····と音を立てて俺の中にある白い液はどんどん外へ出されていく、、、
それと比例して痛い筈のこの行為が全然痛くない事に気付いた。

(なんで     なんで········痛くないの?  どうして··········)

不快の筈なのに、、、
どうして·····どんどん、気持ち良いって思えるんだ??

どうしよう、、、、




ヤバい⎯⎯⎯⎯⎯⎯·····


そして先輩の指が中で動いている時、

「   ン”っ♡?!?         ····················ぁ、、」

(今の声·····なに??え·····おれの?気持ち悪い·······気持ち悪いッ···)
自分の口から出た自分のものでない声に嫌悪感を抱き、手で口を塞ごうとしたがネクタイで縛られてて隠せない。

「··················································」

先輩は何も言わずにこの行為を続け、俺は必死に上唇を噛んでいたが、気持ち良すぎて·····噛む事すら出来なくなっていき俺の知らない嬌声が口からでる。
しかも·····どんどん抑えられない、、、、思考もオカシくなって···痺れた感じがする·····

嫌いな行為だったのに··········
大嫌いなのに⎯⎯⎯⎯⎯⎯····

先輩に 嫌われたく·····ないのに、、、
嫌なのに···············
おれは  こんなの、、、望んでないのにッッ





お腹が··········凄く、、すごく疼く、、



ほしい···············




欲しい·····先輩のが·····

早く  ··········欲しい、、、、



先輩の   で·····

奥まで犯して欲しい


欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい犯して孕ませて早く早く早く早く犯してめちゃくちゃにしてドロドロにしてグチャグチャにしてめちゃくちゃにして壊して早く早く早く早く早くもっとして全然足りないもっと·····もっともっともっと


このαのが欲しい⎯⎯⎯⎯⎯⎯ッ






◇---------------------------◇



俺の記憶は途中で途切れている。

目を覚ますと知らない天井が目に映った。
「   ここ  は·····?」
自分でも驚く位ガラガラなダミー声だ。
カラオケを歌い過ぎてもこんな声はなかなかならないだろう·····。

「お目覚めですか。此処は小崎家の屋敷で御座います。体調は如何でしょう?」

黒いスーツを着た老人が尋ねてきた。
俺は『屋敷』と言う言葉に目を見開き、小崎先輩が凄い家柄の息子さんだったと今知る·····。
何とか平常心を取り戻して「大丈夫です·····」と答えた。

「良かったです。健様は只今、ご当主様とお話しており私が代わりに柊様のお世話を仰せつかりました」と、その老人は俺に会釈し俺も釣られて会釈する。

執事さんが言うには小崎先輩がヒート状態の俺を慌てて連れ込んだらしい。
当然、屋敷内は突然のヒート状態のΩが入り大混乱。
そして、緊急の抑制剤を俺は打たれて今に至ると⎯⎯⎯⎯⎯⎯·····

「····························································。」

(·························え     軽くヤバくないか??)


この屋敷で働いている方々と小崎先輩·····それに小崎先輩の両親にはかなりの迷惑を掛けてしまっている。
土下座して謝りたい気持ちだ。

「も·····、、申し訳ありません!ご迷惑をお掛けしてしまい·····本当にすみませんッ!!俺、す···直ぐッ、直ぐに出て行くので!!」
慌てて立ち上がり何度も頭を下げ、自分の制服の事を聞く。
そんな俺に対して執事さんは「大丈夫ですので安静にして下さい、此方は本当に大丈夫ですので」とベッドへ戻された。

結局、、、その執事さんが部屋を出て行くまで俺はこの小崎家について説明を受ける事になったのだ。



「·······················································。」


執事さんは俺の制服を準備するという事で部屋から居なくなったが、部屋から出て行く際も「私共は全然気にしておりませんので、どうか安静に·····あ、ん、せ、い、に!お過ごしください」と二度も強く言われた。


俺は一人になった部屋で頭を整理し始める。
小崎家は江戸時代からある名家で···············代々αの家系だ。
小崎先輩はその次期当主で屋敷には約百人が仕えているらしい·····。
そして現当主はホテル業で大成功しており、外国にもホテルを増設中、、、、

「             俺、場違い過ぎるだろ·····」


ヒート·········予定ではまだ先の筈だったのにどうして今回起きたんだろ?
「あ“~~~全てあのクソ野郎のせいだッ」
頭を搔きながら唸る。

その時、、、
右手がズキッ·····と痛み、慌てて手を見た。
「ッ、、··········痛····· ぃ“?!」
見ると歯型が手の甲にくっきりと残っており、
かなり強く噛まれたのが伺える···············
「なんで??歯型?」
何故か、は分からないが誰のものかは明白だ。


「小崎先輩⎯⎯⎯⎯⎯⎯···」


聞きたい事と言いたい事が沢山あり過ぎて··········
気持ちはぐちゃぐちゃだ、、、

なんであの場所に来たんですか?
なんで、、
俺にあんな事したんですか??

俺がΩだって知ってどう思いましたか?
·····嘘吐きだと思いましたか?

Ω如きがαである貴方と関わって·····今はどう思っていますか?
こんな事になって迷惑でしかないですよね···



「ッ、」

俺の事嫌いになりましたか?
軽蔑しましたか??

掛け布団を握っていた手に力が入る。
何故か胸が苦しくて痛い··········
貴方には·····嫌われたくなかったのに、、、
初めてあった時から、今までの貴方との事を思い出すと自然と涙が溢れて止まらない。


「·············································」

これじゃあまるで⎯⎯⎯⎯⎯⎯·····


「俺が···小崎先輩を好きみたいな··········ッ、」
言っていて顔が熱い。

マジか····················
Ωの俺がαの先輩に、、、



···············嫌····

駄目だろ。
さっきの話を聞いている限り、俺は先輩には釣り合わない。釣り合う訳が無い。
凄い家柄の息子でも無い·····。
何も優れている事も無く、、、
なんならΩで地位は最下層のクラス
それに、、、、

好きでも無い奴とヤリまくってた···············


「好きになる事自体が烏滸がましい··········」

自分で言ってて悲しくてツラい。
これは、知らなければ良かった感情で·····忘れなければ駄目な感情だと····そう、、思った···············






「これでいいかな、」
俺は先輩へノートの切れ端に『ごめんなさい。さようなら』とだけ書いて机に置く。


執事さんには悪いが直ぐにこの屋敷を出て行こうと起き上がり準備し始めた。
学生服は··········残念だけど通わない不要な物だと諦める事に、、、

「  !、        良かった」

ベッドの近くに学校鞄があったのでそれを持つと高そうなパジャマを着たまま窓を開ける。

俺が居るのはどうやら二階··········

近くに調度良い木が生えていたので窓から飛び移り下っていく、、、
「はぁ·····子供の頃木登りしてて良かった」
無事地面に着地し俺は胸を撫で下ろすが、そこからは屋敷の関係者に会わないように行動し、この広大な敷地の門の外へと出る。

外はすっかり夕暮れの綺麗なオレンジ色の空に染まっていた。


「長い一日だった、、」


俺は携帯でナビを付けて歩きながら親に連絡する。
詳しい事は話さず、取り敢えず·····駅に来て欲しいとだけお願いすると、直ぐに来てくれるとの事で助かった。

「·······················································。」

道を歩いている時、他人が裸足のパジャマ姿で歩く俺をチラチラと見ていたが全然気にならない。

それよりも、、ずっと·····小崎先輩から電話や連絡が来ていた。当然だよな、突然居なくなるし、、、
俺はまた新たに掛かってきた小崎先輩からの電話に出る。

「·············································」
「    怜?!今何処⎯⎯⎯⎯⎯⎯·····
「先輩·····ごめんなさい、さようなら」
「え··········ちょっ、れッ

ブツッ

会話の途中で切ると俺は先輩のアドレスや電話番号などの連絡手段全てを拒否にした。

これで良いんだ。
Ωの俺がそもそも関わってはいけない人だ。

なのに、、、
自分から逃げる癖に涙が止まらないのは·····
どうしてだろう?






さようなら
初恋の人···············





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