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復讐
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しおりを挟む媚薬の含まれた香が緋色の明かりが満ちた神殿に漂う。
微笑みを浮かべた女神像が狂気に満ちた男の欲望と悲痛な花嫁の抵抗を無機質に見守っていた。
すぐ近くで愛を誓った男が気絶している。
神聖な夫婦の営みをするはずであった神殿で、メリッサは国を裏切った憎い男に襲われていた。
「ッ……!?」
赤く腫れて痛々しい頬を掴まれ、顔を固定されたメリッサはディエゴに乱暴に口づけられた。
そして切れて血が出たメリッサの口腔内を痛めつけるようにディエゴは舌で滅茶苦茶に犯していく。
どこともなく流れる水の音と、ディエゴの興奮した息遣い、そしてメリッサの耳を犯す唾液を啜る音が静謐であった神殿に満ちた。
大柄で屈強なディエゴに押し倒され、いつの間にか両手を頭上で一纏めにされたメリッサはなんとか抵抗しようと脚を動かすが、ディエゴの前では赤子よりも無力な抵抗にしかならなかった。
こんなに深い口づけは初めてで、メリッサは息をすることができず、無意識に呼吸をしようと口を開けてしまう。
そしてその様子をディエゴは目を細めて更にメリッサの口の奥を犯す。
メリッサの口腔内の血の味がよりディエゴを興奮させ、細めた目で羞恥と怒り、屈辱に耐えながら睨みつけるメリッサの表情を観察する。
ディエゴの下半身はもう隠しようもなく硬くなっていた。
それをメリッサの太ももに擦りつけ、焦らす。
これからメリッサがディエゴに何をされるのか、しっかり分からせるために。
メリッサはディエゴの欲望を感じて、彼が何をしようとしているのか理解した途端強烈な悪寒と嫌悪感を感じた。
そして、荒い息遣いで口を放し、そのままメリッサの汗ばんだ細い首筋に貪りつくディエゴに震えながら詰る。
「離して! この、汚らわしい、獣がっ」
ディエゴが与える未知の感覚と知らずに吸い込んでしまった媚薬の香でメリッサの瞳は潤み、嫌悪感とは裏腹に身体がどんどん熱くなるのが分かった。
美しい花嫁衣裳越しにその熱を感じていたディエゴはメリッサの強情さと気の強さを嗤い、その汗の匂いと昔から変わらないミルクのような仄かな体臭を吸い込み、更なる欲情を感じていた。
首筋にちくっとした痛みを感じながら、メリッサはディエゴの唇と舌の愛撫によって得体の知れない感覚を覚え、意思とは裏腹に甘く鼻を鳴らすような吐息が零れてしまう。
その様子をディエゴが見ている。
悔しくて憎らしく堪らないメリッサは頬の腫れとは別に、羞恥で耳まで顔を真っ赤にした。
涙が零れそうになるのを耐え、苦し気に眉を顰めるメリッサ。
その泣くのを我慢する表情を楽しむ様にディエゴは低い笑い声を漏らしながら、余裕のない手つきで乱暴にメリッサの薄汚れた白い衣装の裾を大胆に捲り、露になった瑞々しい脚と太ももを跡が付きそうなほど強く掴む。
優しさの欠片もない手つきで、メリッサが痛みで呻くのも構わずディエゴはその白い脚を持ち上げて、犬のような息遣いで花嫁衣裳と同じ純白の薄い絹で隠されたメリッサの秘められ陰部を凝視した。
熱っぽいその視線と脚にかかる湿った吐息に、メリッサは耐えられずに叫んだ。
「見ないでっ」
ついに我慢できずに肩を震わせて泣くメリッサにディエゴは見せつけるように膝裏に歯を立てる。
ディエゴの顔面を蹴ろうとしても、ディエゴはあっさりメリッサの行動を見抜き軽くあしらう。
どこまでも気の強いメリッサの行動が可笑しく、泣きながら睨みつける表情の幼さがディエゴを更に喜ばせる。
「相変わらず、足癖が悪いな」
穏やかなディエゴの声色がより怖ろしい。
ディエゴの硬く盛り上がった下半身が嫌でも目につき、逸らしたいのにディエゴはあえてメリッサの下半身に欲望の塊を擦りつけて来る。
その吐き気を催す行動に、メリッサは今日何度目かの絶望と、もう昔のディエゴは完全に死んだことを悟る。
耐えるように切れた唇を噛みしめ、血がじわりと広がった。
「これから、何をされるか分かるか?」
また、気持ちの悪い湿った吐息がメリッサの顔にかかるほどディエゴは近づいて来る。
そして赤く色づいたメリッサの耳たぶを食みながらディエゴは囁く。
興奮し、色っぽく擦れた声だ。
ぞくっとするような感覚に、メリッサはそれを嫌悪だと思い込もうとした。
もう子供ではないのだ。
最初から、ディエゴに口づけられた時からメリッサはディエゴの言う復讐の意味を悟っていた。
「……この日を、俺がどれだけ待ち望んでいたと思う?」
ぞっとするほど色っぽいのに、酷く冷ややかな声だ。
間近でディエゴはメリッサの顔を見下す。
その片目は欲と憎悪と、例えようのない激しい感情に燃えていた。
ディエゴは、今日この日を待ち望んでいた。
幾度も夢見ていた光景が今目の前にあることにディエゴは興奮し、狂喜していた。
幸福の絶頂にいただろうメリッサの目の前で彼女が大事にして来たもの全てを壊して奪う。
そして穢れのない、若く美しい肢体を花嫁衣裳で包んだメリッサを神聖なる誓いの神殿で犯すこと。
愛の象徴ともされる女神の前で穢し、屈辱と絶望のどん底に落とすことを、ずっとディエゴは夢見ていたのだ。
何度、夢の中で幼いメリッサを凌辱し、犯したことか。
あの日何年かぶりに再会したメリッサの成長した姿を見た後からディエゴは何人もの女を激しく抱いた。
想像以上に美しく成長したメリッサを脳内に刻みつけながら、一体どれだけの女をメリッサの代わりにして、壊しただろうか。
娼婦をお前の代わりにして抱いたとメリッサに告げたら、メリッサはどんな反応を返すのだろうかとディエゴは笑う。
だが、そんな虚しい行為も今日で終わりだ。
ディエゴは漸く待ち望んでいたものを手に入れたのだから。
「女神の前だ。たっぷり、お前を犯してやろう」
*
ディエゴは出来るだけメリッサを花嫁姿のまま犯したかった。
大広間でメリッサの花嫁姿を見たときからずっと、頭の中でメリッサを滅茶苦茶にすることを考えていた。
幸せそうに、そして愛し気に他の男に微笑みかけるのを見た時から。
閨のためにあえて官能的な薄い絹ごし一枚の陰部を見た時からディエゴは途方もない興奮で頭が破裂しそうだった。
メリッサの下着は紐を解くだけで簡単にその花園を露にした。
薄い陰毛が茂ったメリッサの秘部。
最後にそこを見たのはメリッサがおねしょをして、ディエゴが泣いているメリッサの尻を拭いてやったとき以来であり、あの頃はまさかこんな風にメリッサの裸の下半身を見て勃起し、危うくそのまま射精をしそうなほど興奮するようになるなど思いもしなかった。
皮肉な笑みを浮かべようとしても、余裕のないディエゴはただ歪に顔を歪め、そのまま唾を呑み込んで半狂乱になって泣き叫び罵倒するメリッサを無視して、その下半身に顔を埋めた。
メリッサの脚を大きく開かせ、ディエゴは躊躇いもなくその繁みに口を突っ込む。
縫い止められていた両手が解放されたメリッサは信じられないとばかりに目を見開いてディエゴの行動を凝視する。
そしてその直後にメリッサを襲う強烈な感覚に、腰から背中にかけて寒気がするような知らない何かが駆け抜ける。
ディエゴは鼻息を荒くしながらメリッサの薄い陰毛を舌で梳くように舐め、そして両手でメリッサの恥ずかしい部分を暴く。
メリッサ本人ですら弄ったことのない、見たこともないそこをディエゴが暴いている。
何度も想像していたメリッサの繁みの奥の細部まで記憶するようにディエゴは凝視し、そして我慢できないとばかりに喉を上下させ、まるで極上の果実に被りつくようにして口全体で味わった。
唇で吸いつき、舌で愛撫する。
本能のままに、メリッサの一番清い部分を無我夢中で貪った。
それに堪らないのはメリッサだ。
刺激の強すぎる初めての感覚に、メリッサは恐怖のあまり両手で自分の股に顔を埋めるディエゴの頭をどかそうとした。
ディエゴはメリッサが自分の髪の毛を掴んでいることを知っていたが、そのあまりにも非力な抵抗に鼻で笑った。
メリッサの指先は震え、ディエゴの髪を引っ張ろうとするその仕草はまるで戯れに甘えているような錯覚をディエゴに抱かせ、余計に興奮させただけだ。
メリッサは必死に片手の指を噛んで、自分の口から信じられない甘い声が漏れるのを恥じた。
ディエゴは自分の唾液だけではない粘液でメリッサの秘部が潤んでいることに気づいた。
舌を奥にねじ込みながら、メリッサのそこが濡れていることにディエゴは狂喜した。
しばらく夢中でディエゴはメリッサの一番敏感なところを口で弄っていた。
そして一度口を放して、必死に抵抗しようとするメリッサの真っ赤になった表情を見下す。
汗で美しい黒髪がメリッサの額や頬、首筋にはりついていた。
暴れたせいで纏まっていた髪は半ば解け、眉を寄せて涙を耐えながら指先を必死に噛むメリッサ。
ふるふると震える肢体と、襟元が肌蹴た白い衣装が眩しい。
自分の顔を凝視しているディエゴに気づいたメリッサは茫洋とした視線を一瞬ディエゴに向けた。
蕩けた黒い瞳に、赤い唇から漏れる甘い吐息。
メリッサは感じているのだ。
他でもない、ディエゴの愛撫に。
その官能的な表情と吐息に、ディエゴはもう辛抱できないとばかりに乱暴な動作で下穿きを濡らしながら苦しんでいた陰茎を取り出す。
それを眼にしたメリッサは我に返り、ディエゴを気丈なまでに睨みつけた。
「……ここで、お兄様に犯されるぐらいなら舌を噛んで死ぬわ」
メリッサの濡れたそこに挿入しようとして、ディエゴはその言葉に動きをとめた。
脅しでもなんでもなく、メリッサはディエゴに犯されて純潔を散らすぐらいならここで死んだ方がマシだと思った。
そして、近くで気絶したカイルの姿を見る。
メリッサの視線が自分から逸れ、憎らしい男の方に向けられていることに気づいたディエゴは苛立ち、舌打ちする。
こんなときまで他の男を思うメリッサが心底憎い。
「こんなに濡らしといて、よく言えるな」
今すぐにでもメリッサの中に挿れてしまいたいという衝動を耐えながら、ディエゴはメリッサを辱める言葉を吐く。
そして、言葉の通りにディエゴの唾液とメリッサ自身の淫液で濡れた陰毛を擽るように自身の陰茎の先を擦りつける。
先走りで濡れたディエゴの陰茎は巨大であり、ぴくぴくと血管が動く様は凶悪で、その興奮の度合いを示していた。
屈辱的なディエゴの言動に怒りながらも、メリッサは冷静に返した。
「……なんと言われようとも、私の純潔はカイルのものよ。もうこの身は全てカイルの―――ッ!?」
メリッサの台詞を最後まで聞かず、ディエゴは顔を真っ赤にしてその身を貫いた。
皮膚が裂ける音を聞きながら、ディエゴは今にも血管が切れそうなほど興奮し、そしてメリッサの言葉に頭が真っ赤になるほどの怒りを覚えた。
そのあまりにも激しい怒りに身体中の震えが止まらなかった。
憎くて憎くて仕方がないメリッサを本気で殺してしまおうと思った。
メリッサの息を止めるため、またディエゴを最高に苛立たせるその生意気な口から憎ったらしい言葉がこれ以上出ないように塞いだ。
ディエゴの巨大な男根に貫かれて裂けてしまったそこを更に壊すように激しく腰を振りながら、ディエゴは上も下もメリッサを犯した。
息ができないほどの激しい衝撃のまま口を塞がれたメリッサはそこで一度意識を失った。
カイルに捧げた純潔が無惨にもディエゴに奪われたことに、メリッサは意識を失う直前まで心の中でカイルに謝った。
そして、目覚めた時に死を選ぶ自分を許してほしいとカイルと共にメリッサを生かそうとした全ての人々に謝罪した。
その考えがいかに甘かったのか、この時のメリッサはまだ知らなかった。
ディエゴの執着がどれほど激しく常軌を逸しているのか、まだメリッサは理解できていなかったのだ。
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