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問題は狭き

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 前回、伝説の武器、適正者しか抜けない刀を、盗むための下見の段階で引っこ抜いて、用意されていた鞘にしまったオークたん。それを横で見ていた共犯者のクロエは、多くの観光客に囲まれた状態で、頭の中がバグりそうになっていた。



「しまった(物理)!しまっちゃったです(物理)!!」



 適正者とバレないように、後でコッソリ盗み出すはずですのに~~



「しまった~、なんか気づいたら、俺、なんか流れでしまってた~」



 どうしよ~、なんの罪もない観光客を皆殺しにするわけにもいかないし~、どうしよ~う。



「適正者だ!適正者がみつかったぞ!!」



 周囲の人々が、目の前で起きた奇跡に、騒ぎ出した。ここは国最大の人気観光地、瞬間を目撃した観光客だけでも千人はくだらない。



 ともかく、この場を離れないと、最悪、関係者数人を消す程度に済まさないと!!



「すっすみませ~ん、なんか抜けたんですけど~どうしたら良いんですか~」



 近くにいた係の兵士に話しかけると、その人もテンパっていた。



「はっはっハイィい、事務所の方へどうぞ!」



 そう、一介の兵士が、油断しまくりの所に、いきなり伝説の英傑に出会ったのである。冷静ではなくなっていた。



「事務所には二人でいくんで、この場は任せていいでしょうか?」



「は!はい!お任せください!!」



「事務所は、あっちの方でいいのかな?」



 オークたんは、クロエの手を引いて、事務所に行くと見せかけ、トイレの個室に入った。



「さてどうしたものかな…」



 個室が少し広めなのは助かるが…



「マズイです。」



「そうだな、とりあえず何時もの格好に戻ろう。持っててくれ。」



 オークたんが差し出す残人刀の鞘を、クロエが握った瞬間、刀が鞘から飛び出して天井にブチ当たった。



「アウチですぅぅう!!?!」



「おっと!」



 先端まで抜けなかったので、オークたんが、そのまま落ちないように、上手くバランスをとると、ストンと鞘におさまった。



「とりあえずエロいことして落ち着こう。」



 オークたんは狭いながらも全部脱いだ、クロエは下だけ丸出しにした。



「ちょっと待つです。オモチャも併用した方が早く済むです。」



 いそいそと自前の魔動力ローター商品名マドロを取り出した。



 お尻を向けて片手を壁にもう片手で、クリトリスを刺激する。



「こっちもすぐに済ますからそっちもとっとと行くです。」



 オークたんは、クロエを浮かせ、遠慮なくズッと侵入する。



 声を押し殺しながら集中している。



「いつも通り扱い雑いな、しかし、シチュエーションのおかげですぐイケそうだ…アッ」



 オークたんは目を閉じわずかに天を仰ぐ…



「ああ~…」



 クロエはギュ―っとしている。



 そして二人は少しスッキリした。







「落ち着いたところで作戦だが、先ほど作ったコイツを、火にくべるのはどうだろうか?」



 小瓶中の黒い液体、先ほどの汁から作って崩壊の媚薬だった。



「お~、確からそれなら混乱を作れるです…が!」



「が!?」



「こんなところで火は せまきです!!」



「狭きとな!!」



 確かにトイレの個室は狭い。



「オイお主たち、ワシの話を聞け。」



「なんですこの声?」



 突然狭い個室内にもう一つの声が響いた。



「多分、残人刀だろ?」



「その通りじゃ、話が早いのう。」



 クロエは、表情がこわばっていたが、オークたんは、アレか・・・っと思っていた。



「喋るのは常時なのか?」



「残念じゃが、抜いてから一時間限定じゃ」



「え~、クロエがスッキリするのに付き合ったから時間が~……ッイッテ!」



 ガツっと、オークたんのすねを蹴った。



「ともかく使用上の注意じゃ」



 残人刀は、防具を透かして人を切るのではなく、装備者が斬ろうと思っているものが斬れるということ、つまり、服だけを斬る・防具だけ切る・髪の毛だけ切るなど、本人しだいで自由自在だということ、あとは、初期設定限定で、持ち運ぶ為の、方法が変えられると言うことであった。



「例えばじゃが、本物はココに展示して、必要な時にキーアイテムを使うと、どんな離れたところでも入れ替わるとか、サイズを小さくして持ち歩くとか、他にもまあ色々じゃな。」



「これは大事です。ここで一つの運用方法が決まるです。ココに置いとくには、少なくとも、もとの位置に戻らないといけないです。サイズを小さくするのは、隠したり持ち運びには良いですが、紛失しちゃうかもです。」



「女で頼む。」



 クロエの頭に『!』が浮かんだ。



「クーオ様?何故女です?」



「ん?消去方、まず、元の位置に戻すことは、今からではリスクがデカい、次に小さくして持ち運びするのは、ロコックなどの仕様を知るものに、見た目でバレるリスクがある。ならば、形状を変えるのが良いが、デカイのは無理だし、今までにアクセサリーを付けて居なかったものが付ければ、変な勘ぐりを受ける。また、この聖堂付近は、安全上ペットの持ち込みが出来ない。ならば人間にするしかない、そして人間にするなら、女にすれば、新しい女優と言えば説明がつくし、さらにここは観光地、東方の女になれば、スカウトの経緯もでっち上げやすく、素性も探りにくいと言うわけだ」



「え~、今までで一番の長台詞で、新たな穴を確保しにきやがりましたです~~~」



 妙案と思いながらも、ちゃんと軽蔑した眼差しでオークたんを見た。



「主に従うが道具の常じゃ」



 残人刀は、黒髪美しい着物女性に变化した。



「どうじゃ?」



「うん、とりあえずは、狭き…かな…」



 個室の中に、人が三人、全身を見ることは出来て居なかった。
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