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聖女

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御剣は、転生する以前のことを思い出していた。



 いらだちは、自分はスゴイのに、自分はすごくないから…



 小学生のころ、いや、幼れけば幼いほど、色々な事を知らず、色々な事を考えず、色々な事を受け取っていない。



 親は、褒め言葉しか与えない。



 でも、まわりを見ると否応なしに気づく。



 あいつは足速い、あいつは頭いい、アイツはカッコいい、アイツはゲーム上手い、アイツはサッカーできる、アイツは背が高い、アイツは、アイツは、、……アイツはアイツはアイツはアイツはアイツはアイツはアイツはアイツはアイツはアイツは!!アイツはッッッ!!!



 オレは何もない、何もないのがオレ…いや違うな、そんなにぬるくない……これはあれだ、イケるかもと思っても、必ずオレの上位互換がいる。イケたようでも、必ずダメになってしまう。



 なにかあっても、何者にもなれないオレ…



 この部屋に入った時も、ついにオレも、と、心で思っていた。







「剣也は初めてでしょうけど、私は違うからね?」



 かわいい、カワイ過ぎる。人生で初めての推しキャラに出会うより衝撃的なビジュアルにアニメ声!!



「あっ、まあこんな国だもんね…」



「違うよ、私はリープしてるから、アナタとするの…初めてじゃない、よ…」



 マリアがそっと胸元に触れてくる。



 あッあぁぁぁぁあ~~~!!!俺の防御オワタ~~~!!何もないように貫通されました。





 そして…





「ねぇ剣也…本当に覚えてないの、あんなことしといて……」



 御剣は両手を縛られ、ズボンとシャツ姿でベッドの柵にくくらて、身動きが取れなくなっていた。



「マリア、僕は本当にキミに何かしたのか?」



 いいえ何もしていない…でも、私にはしなくてはならないことがある。



「本当よ剣也、あなたの本当の名前も前回のリープで聞いたのよ…」



 全てが嘘では、疑念がすぐに大きくなってしまう。



「でっでも…」



 戸惑いの狭間が、精神の狭間にふり幅を産む。



「そんなこと言っておいて…どういうこと?」



 下半身に触れる、肉体の反応は頭の奥で精神に繋がり…



「あの、それは仕方ないというか…」



 精神は心を形作る。



「仕方ない?下品におったてて…整理現象だからって暴走していいの?…クシャミとは違うでしょ?」



 目隠ししていてもわかる。



「だんまりなんて、認めたのと同じよ」



 頬の筋肉、口元の動き…



「クッ…」



 刺激に対する反応…



「アラアラお下品ねぇ」



 いま心の流れがどちらに傾いているのか…



「やっやめてくれ」



 手に取るように感じる。



「あんなことをしたアナタに、そんな権利あるのかしら?」



 でも心の揺れ幅を大きくするには、流れを大きく早く揺らさなくてはならない。



「ぁアッ…!」



 望むものと望まないもの…



「グッっ!!」



 両方を与えながら、精神的な状況を積み重ねる。



「いまイキそうになったでしょ?ダ・メ・ヨ♪ご褒美じゃないんだから…」



 そうすれば期待と不安の中で…



「はっ…はい」



 思考は停止していく…



「本当に卑しい男ね~…醜い…心が醜いわ…」



 そして揺らす…強く叩き…まずは一発…



「どうせロコック様にも、いやらしい妄想していたんでしょ?」



 痛みに顔をゆがめながらも否定しない。



「私といるときに、他の女のことを考えない…」



 やはり、彼の心の奥には、何らかの形でロコック様がいる。



「しっ、仕方ないなだろ」



 嫉妬を込めて強く叩く、赤い花の様に痕が付く…



「仕方ないと言えば、許されると思ってるの?」



 感情は物理的な強さで伝わる。



「こんな状況で罵られても、おったててるなんて、相当のキモ野郎ね!」



 そして人の原始的な刺激や感情は、奥底で一つに繋がっている。



 下着の上からでも伝わっているでしょ?私のアソコの熱さと湿り気…



 身体的原始的な刺激は肯定の刺激…そして言葉での刺激は…精神的現実的な否定の言葉…



 さあ揺れなさい…肯定と否定の狭間、全ての感情をさらけ出し捨て去りなさい!!



「拷問にかけられて別人格が生まれた?違うでしょうが!そっちの方が本当のアナタでしょう?だって、拷問されながら、今みたいにおったててたんでしょがッッ!!変ンンッ態!!」



 そして、その果てに残ったものが、アナタの本当に晒しだしたかったもの…



「だから…だから何なんだよ!お前が勇者だ世界を救えだの…ヒロインだからと我慢してりゃあ好き勝手しやがって!」



 一番隠してきた自分…



「なっ、何をする気よ!」



 奥底の受け入れられずにいる自分…



「はあ?ナニだよナニ!ナニに決まってんだろうが!!」



 すごくもなんともない…



「いや!やめて!」



 みっともなくて醜い自分…



「やめてと言えば、許されると思ってるのかぁ!!?」



 今は只、欲望のままに…



「さあ、始めようか!欲望と憎悪の宴を!!」



 私に溺れなさい…



「キャ!」



 私は、アナタが生まれ変わるための…母なる海なのだから…
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