129 / 135
呪われの旅仕度編
5
しおりを挟む
そうだ。
そうだった。
彼にお願いしてあったんだ。武器。
色々と寄り道をしていたせいで完全に失念してしまっていた。
じゃあ、二人が武器をチョイスしていない今の状況は、むしろお誂え向きという事か。
「パティ。ちょっと……」
「ん? 何? どうしたの?」
俺はパティから装備品を一種類受け取ると、商品に付いている値札を探す。
こういう新しい系のお店って結構高い物が多いからな、事前に値札を確認しておかないと支払いの際、大恥をかく事になったりする。
現に何回か前の転生の際に、新しいデザインの格好いい鎧一式を見つけたので買おうとしたら合計で2000000Gと破格のお値段だったので、店員さんに『なーんちゃって』と一声掛けて静かにお店から出たのは記憶にまだ新しい。
これか……。札を確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
水龍騎士の胸当て
サイズ M
打防御 200
魔防御 200
素早さ 100
値段 25000G
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「へっ……へぇー……最近の装備品って値段の他に、能力値まで書いてあるんだねー」
親切と言うか、なんと言うか、すごいんだね。
新しい物事に多少驚き感動してしまった。
だがまあ、値段の方もそこそこ高めではあるけれど、その分能力値が高いのでこの商品は買いだろう。
その後も一応全ての商品の値札……と言うのか能力札? を見てみたが、だいたい同じくらいの値段だったので二人が選んだ商品全てを購入することにした。
「おっほっほっほー!」
変な鳴き声が聞こえてきて、ちらり視線を送るとガラスケースの上にはじろうがいて、薄いピンク色の何か高級そうなツヤのある布を咥えていた。
「ん? これは?」
じろうの咥えていた布を受け取ると値札がたらりとぶら下がっている事に気付き、視線を落とす。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ペット用高級スカーフ
打防御 999
魔防御 999
手触り 999
値段 12000G
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「…………」
きっと、ジョーク商品なのである。
そうに違いないのである。
「これが……欲しいのかい? じろうとしては?」
「っほっほっほっほ! しゅー!」
と、どうやら欲しいそうなので、購入する事にした。ここでじろうだけ買わなかったら、また泣いちゃうだろうし。
それはあまりにも可哀想なのである。
じろうは普通に笑顔のままパティの頭の上、いつものポジション、特等席に着くと鼻息を小さく小刻みに漏らした。
皆、満足したようなので支払いのためレジに向かう。とそこでパティが、
「あれ? アニキの装備品は?」
「本当。タケルさんは買わなくていいんですか?」
「ああ、俺は大丈夫だよ」
「もしかして村長さんの装備品買ったらお金無くなっちゃうから、とか?」
「タケルさん! 私のお金使ってください! お金はまた貯めればいいだけの事なので」
「違う違う! 君達、いったい何を言っておるのかね。お金はホラッ! まだまだたくさんある。俺が装備品を買わない理由はこの後、ものすごく強くて格好いい装備品が宝箱から無料で手に入るからだよ」
「えー! じゃあ、僕もそっちがいい!」
「残念。あれは勇者専用の装備品なのだ。パティ君には装備ができない」
「じゃあ、僕、今日から勇者になる!」
「それはやめなさい……」
なんやかんや成り立たなくなる。
「とまあ、そういう訳だから俺の事は気にしなくていいんだよ」
「本当……ですか?」
上目遣いで、やや怪訝な表情を浮かべるアリシアの頭をガシガシと撫でる。父ドイルさんがやったように。
「本当だよ」
言いながら踵を返し、レジに進む。
「すみませーん! 支払いお願いしまーす!」
「はいはーい! お待たせしました、ありがとうございます!」
他のお客さんの相手をしていた、俺より少し年上の綺麗なお姉さんが床をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。
確か、モニカさんと言ったか?
そうだった。
彼にお願いしてあったんだ。武器。
色々と寄り道をしていたせいで完全に失念してしまっていた。
じゃあ、二人が武器をチョイスしていない今の状況は、むしろお誂え向きという事か。
「パティ。ちょっと……」
「ん? 何? どうしたの?」
俺はパティから装備品を一種類受け取ると、商品に付いている値札を探す。
こういう新しい系のお店って結構高い物が多いからな、事前に値札を確認しておかないと支払いの際、大恥をかく事になったりする。
現に何回か前の転生の際に、新しいデザインの格好いい鎧一式を見つけたので買おうとしたら合計で2000000Gと破格のお値段だったので、店員さんに『なーんちゃって』と一声掛けて静かにお店から出たのは記憶にまだ新しい。
これか……。札を確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
水龍騎士の胸当て
サイズ M
打防御 200
魔防御 200
素早さ 100
値段 25000G
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「へっ……へぇー……最近の装備品って値段の他に、能力値まで書いてあるんだねー」
親切と言うか、なんと言うか、すごいんだね。
新しい物事に多少驚き感動してしまった。
だがまあ、値段の方もそこそこ高めではあるけれど、その分能力値が高いのでこの商品は買いだろう。
その後も一応全ての商品の値札……と言うのか能力札? を見てみたが、だいたい同じくらいの値段だったので二人が選んだ商品全てを購入することにした。
「おっほっほっほー!」
変な鳴き声が聞こえてきて、ちらり視線を送るとガラスケースの上にはじろうがいて、薄いピンク色の何か高級そうなツヤのある布を咥えていた。
「ん? これは?」
じろうの咥えていた布を受け取ると値札がたらりとぶら下がっている事に気付き、視線を落とす。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ペット用高級スカーフ
打防御 999
魔防御 999
手触り 999
値段 12000G
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「…………」
きっと、ジョーク商品なのである。
そうに違いないのである。
「これが……欲しいのかい? じろうとしては?」
「っほっほっほっほ! しゅー!」
と、どうやら欲しいそうなので、購入する事にした。ここでじろうだけ買わなかったら、また泣いちゃうだろうし。
それはあまりにも可哀想なのである。
じろうは普通に笑顔のままパティの頭の上、いつものポジション、特等席に着くと鼻息を小さく小刻みに漏らした。
皆、満足したようなので支払いのためレジに向かう。とそこでパティが、
「あれ? アニキの装備品は?」
「本当。タケルさんは買わなくていいんですか?」
「ああ、俺は大丈夫だよ」
「もしかして村長さんの装備品買ったらお金無くなっちゃうから、とか?」
「タケルさん! 私のお金使ってください! お金はまた貯めればいいだけの事なので」
「違う違う! 君達、いったい何を言っておるのかね。お金はホラッ! まだまだたくさんある。俺が装備品を買わない理由はこの後、ものすごく強くて格好いい装備品が宝箱から無料で手に入るからだよ」
「えー! じゃあ、僕もそっちがいい!」
「残念。あれは勇者専用の装備品なのだ。パティ君には装備ができない」
「じゃあ、僕、今日から勇者になる!」
「それはやめなさい……」
なんやかんや成り立たなくなる。
「とまあ、そういう訳だから俺の事は気にしなくていいんだよ」
「本当……ですか?」
上目遣いで、やや怪訝な表情を浮かべるアリシアの頭をガシガシと撫でる。父ドイルさんがやったように。
「本当だよ」
言いながら踵を返し、レジに進む。
「すみませーん! 支払いお願いしまーす!」
「はいはーい! お待たせしました、ありがとうございます!」
他のお客さんの相手をしていた、俺より少し年上の綺麗なお姉さんが床をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。
確か、モニカさんと言ったか?
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる