27 / 30
さーん。
聡side
しおりを挟む
電話が切れた後、俺は由藍に電話をしながら山爺を連れて藍の家へと行った。
幸いな事に結構近くに山爺と居た事で早く着くことが出来た。
部屋の中を見て俺は呆然としてしまった。
腹にナイフが突き刺さった藍、青白い顔で眠る姫様。
何だこれは。
「坊主!早よ動け!
時間との勝負じゃ!」
「あ、あぁ」
慌てて山爺の手伝いをしながら俺は由藍に電話したりと大忙しだった。
普通に救急車を呼ぶわけにはいかない。
この問題を表に出す訳にはいかない。
二人を送り出した後、俺は監視カメラの映像を見た。
ナイフを突き刺す瞬間、藍は泣きながら今まで見た事がない程綺麗な笑顔で笑っていた。
まるで、全てから解き放たれた様な顔で。
結局俺は藍の何者にもなれなかった。
藍の中はあの子でいっぱいで、あの子しか居なかった。
だからこそ、腹が立つ。
アイツは藍の中に居るのに、あんなに藍に想われてるのにひたすら逃げてるアイツが腹が立つ。
向き合う事もせず考える事すらせず逃げるアイツが腹が立つ。
藍は確かに愛し方を間違えた。
だけど、藍はアイツをちゃんと守ってた。
アイツの親からもアイツが本当なら払うべき借金からも。
藍が居なければアイツは今頃風俗で死ぬまで働いてるか臓器抜かれて死んでる
それを知らずに藍を傷つけるアイツが嫌い。
自分だけが悲劇のヒロインだと思ってるアイツが嫌いだ。
「聡ー、顔怖いぞー」
「しょうがないじゃん
俺は藍が大切でアイツの事なんて本当はどうでもいいんだから。
だけど、藍の頼みだから…嫌でもちゃんと最後まで面倒は見る。」
藍に頼まれたから。理由はそれだけ。
それ以外に理由なんてない。
「でもとりあえずは山は乗り越えたから後は藍の生命力次第かぁ…
……アイツ生きる気ないだろうなぁ」
その言葉に思わず足が止まる。
考えたくない。でも、わかってる。
藍は……死にたがってる。
自分の事を分かってるから、生きてる限り藍はアイツに縛られてるから
だから…藍は……生きるのをやめた。
「親父も珍しく泣いちゃってさぁ、愛人総出で慰めてんだよねぇ
唯一の血の繋がった息子だし、しょうがないかぁ」
ねぇ、藍。
俺は、お前にちゃんと何かをあげられていたかな。
藍がアイツが居ないと生きていたくないと思う様に
俺も……お前が居ないと生きていたくないよ
「俺達は、今やれる事をやろうかぁ
後始末もだけど、藍の頼み聞いてやんなきゃねぇ」
泣く俺の手を引いて由藍は歩いた。
藍の頼み、それを聞いたら……俺も藍の元にいってもいいのかなぁ
幸いな事に結構近くに山爺と居た事で早く着くことが出来た。
部屋の中を見て俺は呆然としてしまった。
腹にナイフが突き刺さった藍、青白い顔で眠る姫様。
何だこれは。
「坊主!早よ動け!
時間との勝負じゃ!」
「あ、あぁ」
慌てて山爺の手伝いをしながら俺は由藍に電話したりと大忙しだった。
普通に救急車を呼ぶわけにはいかない。
この問題を表に出す訳にはいかない。
二人を送り出した後、俺は監視カメラの映像を見た。
ナイフを突き刺す瞬間、藍は泣きながら今まで見た事がない程綺麗な笑顔で笑っていた。
まるで、全てから解き放たれた様な顔で。
結局俺は藍の何者にもなれなかった。
藍の中はあの子でいっぱいで、あの子しか居なかった。
だからこそ、腹が立つ。
アイツは藍の中に居るのに、あんなに藍に想われてるのにひたすら逃げてるアイツが腹が立つ。
向き合う事もせず考える事すらせず逃げるアイツが腹が立つ。
藍は確かに愛し方を間違えた。
だけど、藍はアイツをちゃんと守ってた。
アイツの親からもアイツが本当なら払うべき借金からも。
藍が居なければアイツは今頃風俗で死ぬまで働いてるか臓器抜かれて死んでる
それを知らずに藍を傷つけるアイツが嫌い。
自分だけが悲劇のヒロインだと思ってるアイツが嫌いだ。
「聡ー、顔怖いぞー」
「しょうがないじゃん
俺は藍が大切でアイツの事なんて本当はどうでもいいんだから。
だけど、藍の頼みだから…嫌でもちゃんと最後まで面倒は見る。」
藍に頼まれたから。理由はそれだけ。
それ以外に理由なんてない。
「でもとりあえずは山は乗り越えたから後は藍の生命力次第かぁ…
……アイツ生きる気ないだろうなぁ」
その言葉に思わず足が止まる。
考えたくない。でも、わかってる。
藍は……死にたがってる。
自分の事を分かってるから、生きてる限り藍はアイツに縛られてるから
だから…藍は……生きるのをやめた。
「親父も珍しく泣いちゃってさぁ、愛人総出で慰めてんだよねぇ
唯一の血の繋がった息子だし、しょうがないかぁ」
ねぇ、藍。
俺は、お前にちゃんと何かをあげられていたかな。
藍がアイツが居ないと生きていたくないと思う様に
俺も……お前が居ないと生きていたくないよ
「俺達は、今やれる事をやろうかぁ
後始末もだけど、藍の頼み聞いてやんなきゃねぇ」
泣く俺の手を引いて由藍は歩いた。
藍の頼み、それを聞いたら……俺も藍の元にいってもいいのかなぁ
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる