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恐るべき学校へ入学します
琥珀side
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僕を買った女は、とても変わっていた。
僕達の首輪を外し、将来役に立つからとマナーを教え知識を与えた。
そこまでされてもあの女に気を許せなかったのは、何処か壁があったのもあったが
あの女が何かを隠してると思ったからだ。
あの家であの女はサンドバッグの様だった。
チラッと見えたあの女の背中には古傷と思われる傷が幾つも見えた。
それは僕の背中にもある…鞭の痕にそっくりだった。
「琥珀、ネクタイ曲がってるよ」
いつから、この女に触られる事が嫌だと思わなくなったんだろ。
あの鞭の痕を見た後か?それともあの糞女を見たからか?
「さんきゅ」
「うん。
シリウスも入学式の間だけでもネクタイはしててね。」
「むぅ、わかった」
堅苦しい格好が嫌いなシリウスさんは少し嫌そうにネクタイを何度も触っていた。
小春の後ろを歩きながら学校へ向かう。
奴隷が学校に通わせてもらえるなんて誰が思う?
小春以外僕達が奴隷だったなんて分からないだろうなぁ。
学校へ近けば近づく程生徒の数も増えていきチラチラこちらを見る視線が増える。
「っ、危ない」
誰かとぶつかりそうになった小春をギリギリで引き寄せるシリウスさん。
「!ありがとう、シリウス」
相手は気づかず中に入っていった。
学校に来る日が近づけば近づく程小春は遠くを見つめぼーっとする事が増えた。
そして、夜悪夢に魘されたり泣くことが増えた。
あの屋敷では小春が寝付くまで僕とシリウスさんが床に座って傍にいた。
普通に考えれば異性と密室で二人なんて許されないだろうけど、仕方ない。
小春は一人ではまともに眠れないのだから。
その理由は案外すぐにわかった。
たまたま小春が寝ついた後、床に寝そべりながらシリウスさんとトランプをやっていた時だった。
突然窓が割れ誰かが侵入してきた
寝そべっている僕達に気づかないままソイツは寝ている小春にナイフを突き刺そうとした。
まぁ、シリウスさんが簡単にやっつけて死体は森の動物の餌にしたけど。
それからも度々来訪者が来るようになり僕達は小春が寝ついた後もその部屋に残るようになり
気づけば床に布団を敷く様になっていた。
大方仕向けてんのはあの糞女の母親だろう。
小春の存在が気に食わないのか結構な頻度で離れである小春の家に来ていた。
その度小春に気づかれる前に追い返してたけど。
お前なんてクビだとか言われたし罵られる事ばかりだった。
まぁ、僕とシリウスさんはあいつ等に雇われてる訳じゃないからクビになんて出来ないんだけどね。
それもわからず通ってくる糞女の母親は頭がお花畑なんだろう。
面倒なのはあの糞女…
僕に会う度胸を押し付け上目使いで
いかに小春が自分をイジメてるかとか小春がどれだけ傲慢でワガママかを語り
私は貴方が心配なのよと言い始める。
こいつは僕が嫌いな人間だ、と思った。
それと同時に会話が成立しない奴だと思った。
どれだけハッキリと言っても次の日には元通り。
あいつの頭の中は何も詰まってないんじゃないかと不安になってくるレベルだ
「琥珀?教室行くよ?
ほら、シリウスも起きて」
いつの間にか入学式が終わっていたらしく目の前に心配そうに顔を覗き込む小春がいた
「おっけー」
未だこっくりこっくりしてるシリウスさんの手を引く小春。
これじゃどっちが歳上なのやら
そんなことを思いながら見つめていると
僕が着いて来てない事に気づき小春が振り向いた。
「琥珀ー?」
「今行く」
僕は人間が嫌いだけど、少しなら彼女の為に何かしてあげてもいいと思ってる。
これは同情か、憐れみか
今の僕にはわからないけど…それでもこの女の子の傷を増やしてはいけないと思った
僕達の首輪を外し、将来役に立つからとマナーを教え知識を与えた。
そこまでされてもあの女に気を許せなかったのは、何処か壁があったのもあったが
あの女が何かを隠してると思ったからだ。
あの家であの女はサンドバッグの様だった。
チラッと見えたあの女の背中には古傷と思われる傷が幾つも見えた。
それは僕の背中にもある…鞭の痕にそっくりだった。
「琥珀、ネクタイ曲がってるよ」
いつから、この女に触られる事が嫌だと思わなくなったんだろ。
あの鞭の痕を見た後か?それともあの糞女を見たからか?
「さんきゅ」
「うん。
シリウスも入学式の間だけでもネクタイはしててね。」
「むぅ、わかった」
堅苦しい格好が嫌いなシリウスさんは少し嫌そうにネクタイを何度も触っていた。
小春の後ろを歩きながら学校へ向かう。
奴隷が学校に通わせてもらえるなんて誰が思う?
小春以外僕達が奴隷だったなんて分からないだろうなぁ。
学校へ近けば近づく程生徒の数も増えていきチラチラこちらを見る視線が増える。
「っ、危ない」
誰かとぶつかりそうになった小春をギリギリで引き寄せるシリウスさん。
「!ありがとう、シリウス」
相手は気づかず中に入っていった。
学校に来る日が近づけば近づく程小春は遠くを見つめぼーっとする事が増えた。
そして、夜悪夢に魘されたり泣くことが増えた。
あの屋敷では小春が寝付くまで僕とシリウスさんが床に座って傍にいた。
普通に考えれば異性と密室で二人なんて許されないだろうけど、仕方ない。
小春は一人ではまともに眠れないのだから。
その理由は案外すぐにわかった。
たまたま小春が寝ついた後、床に寝そべりながらシリウスさんとトランプをやっていた時だった。
突然窓が割れ誰かが侵入してきた
寝そべっている僕達に気づかないままソイツは寝ている小春にナイフを突き刺そうとした。
まぁ、シリウスさんが簡単にやっつけて死体は森の動物の餌にしたけど。
それからも度々来訪者が来るようになり僕達は小春が寝ついた後もその部屋に残るようになり
気づけば床に布団を敷く様になっていた。
大方仕向けてんのはあの糞女の母親だろう。
小春の存在が気に食わないのか結構な頻度で離れである小春の家に来ていた。
その度小春に気づかれる前に追い返してたけど。
お前なんてクビだとか言われたし罵られる事ばかりだった。
まぁ、僕とシリウスさんはあいつ等に雇われてる訳じゃないからクビになんて出来ないんだけどね。
それもわからず通ってくる糞女の母親は頭がお花畑なんだろう。
面倒なのはあの糞女…
僕に会う度胸を押し付け上目使いで
いかに小春が自分をイジメてるかとか小春がどれだけ傲慢でワガママかを語り
私は貴方が心配なのよと言い始める。
こいつは僕が嫌いな人間だ、と思った。
それと同時に会話が成立しない奴だと思った。
どれだけハッキリと言っても次の日には元通り。
あいつの頭の中は何も詰まってないんじゃないかと不安になってくるレベルだ
「琥珀?教室行くよ?
ほら、シリウスも起きて」
いつの間にか入学式が終わっていたらしく目の前に心配そうに顔を覗き込む小春がいた
「おっけー」
未だこっくりこっくりしてるシリウスさんの手を引く小春。
これじゃどっちが歳上なのやら
そんなことを思いながら見つめていると
僕が着いて来てない事に気づき小春が振り向いた。
「琥珀ー?」
「今行く」
僕は人間が嫌いだけど、少しなら彼女の為に何かしてあげてもいいと思ってる。
これは同情か、憐れみか
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