見た目に騙される事なかれ

葉叶

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御堂社長はタワーマンションに住んでると思われてるが、実は普通より少し広いくらいの一軒家に住んでいて、その一軒家で初期メンバーとシェアハウスをしていたりする。

ピンポーン

呼び鈴を鳴らすと中からバタバタと音が聞こえた。

ガチャッ

「お、夜江じゃん。久々にお前の顔見た気するわー」
「巧さんとは先週お会いしましたけどね」

龍宮寺りゅうぐうじたくみ、25歳。
地毛の金髪を遊ばせてチャラ男風味に仕上がっているが実は根は真面目で普通の女の子と目すら合わせられない。
私は女判定されてないらしく普通に会話してくる。
喜んでいいのか悲しむべきなのかよくわからない。

巧さんに案内され中に入ると既にリビングではどんちゃん騒ぎになっていた。

「あ、夜江ちゃん、いらっしゃーいっ」

佐竹さたけひじり、25歳。
栗色の髪の毛は寝癖の様に外にはねているがアレは計算された髪型なんだそうだ。
女の子顔負けの可愛い笑顔を振りまいてはいるがドがいくつもつきそうなSだ。腹黒くて笑顔でサラッと毒を吐く。
大抵笑顔に見惚れてる女の子は幻聴かな?と思う程にサラッと吐く。

「久しぶりです、聖さん」

鞄をソファーに置いて空いてた席に座ると聖さんがお酒を渡してくれた。

「そうだねぇ
同じ会社でも僕は基本営業に出てるから夜江ちゃんと中々会わないもんね。弥太君は結構会うでしょ?」

「んあ?俺?あー…まぁまぁ…かなぁ?」

瀬川せがわ弥太郎やたろう、25歳。
爽やかなスポーツ少年みたいな顔して中身は全然爽やかじゃない。鬱々としてネガティブ。
だけど、話題の引き出しは豊富で話は尽きなかったりする。
話す為にテリトリーに入れてもらうまでが大変だが。

私達の出会いは実は中学だったりする。私達の中学には帰宅部というものが無く、かといって部活に入りたくない御堂社長が作った愛好会に同じ事を考えてた私達が入ったのがきっかけだ。
そこからなんだかんだ高校大学と一緒で御堂社長が俺は誰かの下に何かつきたくないと言い始め、なら会社をやろうと誰かが言い
最初は冗談だった筈がいつの間にやら起業していた。
会社がここまで大きくなったのはそれぞれの得意分野が活かせているのも大きいが何より御堂社長の人柄と人脈が大きいのだろう。本当この人は私と同じ年なのかと何度疑ったことか。

「そういや、橘どうしたんだよ
今日いつもにも増して辛気臭い顔して」

グビグビとビールを飲みながら聞いてくる御堂社長の顔には絶対聞くと書いてあった。
此処ではぐらかしたとして無駄に気力を消耗する事くらいわかってる。

「はぁ……ただ彼氏と別れただけです。」

深く溜息をついて私もビールを飲む。
ビールは苦くて好きじゃないけど、今は何だかビールの気分だ

「別れたぁだー!?それってアイツだろ!?えーと…佐竹、誰だっけ?」

バンっと机を叩いて驚きながら首を傾げた。

「もうかなめん忘れたの?巧の部署に居る雑用君じゃーん。
余りにも就活上手くいかなくて夜江ちゃんに負担かかってたから雇ってあげた奴だよ」
「あぁっ!あの腑抜けた奴か!俺は昔からアイツは気に食わなかったからな!それで?遂に愛想が尽きたのか?」
「違いますよ。浮気されたんです。私の部屋で、私の同期と。」

淡々と告げながら次々とビールの缶を空けていく。

「あー…遂にバレたんだぁ」

ニコっと笑いながら私の隣に座る聖さん。

「薄々わかってましたよ、同期が分かりやすく残していってましたから。何でしょうね……情なんですかね。
信じたかったのかもしれません、私の十年が無駄じゃなかったと思いたかったのかもしれませんね。それは私にも分かりません。」

自分でも自分の気持ちがわからない。
何で彼と付き合ったのか、何で浮気されて私は悲しくないのか……わからない。只…今は何も考えたくない。
今後の両親達への対応や部屋探しや、やる事なんて沢山ある。

「これ……あげる」
「……飴?」

弥太郎さんがそっと握らせたのはいちごの飴

「甘い物食べると俺は幸せだから幸せのおすそ分け…」
「んじゃ、俺はこの要が買ってきた美味い肉をわけてやろう!」
「んー…それじゃあ僕は美味しいお酒分けてあげる。」

そう言って次から次へと渡されて私の前は物でいっぱいになった

「フフッ…こんなに食べられませんよ」

思わず笑う私を見て皆も笑った。
何が面白いのかわからないけど、ただ…私は笑った。


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