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8章 人質姫と忘れんぼ王子の邂逅
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森の宿泊所へ出発当日。
ギルバート様はこっそりと自室を抜け出し、見送りに来てくださった。
「護衛がつけられないのが心残りだ。気をつけて行くのだぞ。ジュディ、この無鉄砲なシャーロットを頼んだ」
「お任せください。ギルバート様。必ず、ご無事なお姿でシャーロット様を帰城させます」
無鉄砲って失礼な…。
何やら訳の分からない結束があり、ふたりは見つめ合って意気投合していた。
私もギルバート様に声をかける。
「では、ギルバート様。行ってまいります。このご恩は帰城してからなんとしてでもお返し致します」
「よい。気にしないで無事に戻ることだけを考えてくれ」
こうして、早朝に馬車はお城を出た。
ギルバート様が用意してくださった馬車は、お城のものではなく民間の貸し馬車だった。
裕福な民間の家庭で旅行に行く時などに御者共々数日貸し切りにできるもので、多分民間の貸し馬車の中でも最上クラスのものだろう。
「ジュディ、今日の夜にはマリーとアーサーに会えるのよね」
ゴトゴトと揺れる馬車の中で、私が呟くように言う。
ボナールから来た時と違い、急いでいるため揺れも激しい。
「そうですね。兄の怪我もそんなに重くはないようですし。きっと、無事にランバラルド城へ帰れますよ」
ジュディは私の顔を見てくすくす笑う。
「なあに?何がおかしいの?」
「いえ、姫様はすっかりランバラルドが帰る所になったのだなと。来た時の悲しみが嘘のようですね。ボナールにいた頃の方が、お辛そうなお顔をなさっていました。ランバラルドの人たちがいい人ばかりでよかったですね。できれば、早くボナールとの諍いが平和に解決し、人質としての姫様が開放されればいいのに」
「そうね。でも、人質開放されてもボナールに戻るのはどうかしら…。いっそ、ランバラルドで平民として生活するのもいいかもしれないわね。私、メイドをやってみて思ったの。お掃除もお洗濯も好きだし、普通に働けるのではないかしらって」
「そうですね。姫様がボナールの第一王女なのにボナールの王位につけないのは業腹ですが、姫様がお幸せならそれがいいかもしれませんね」
マリーとアーサーが無事にたどり着ける保証はない。
不安を打ち消すように、私たちは話し続けた。
ガタンガタンと音がして馬車が停まる。
窓の外はもう薄暗くなっていた。
私とジュディは宿泊所で荷物を持って降りた。
御者は近くに宿を取っているとのことで、私たちを下ろすとすぐに馬車を出発させて行った。迎えは明後日の朝になる。
通常でいけば今夜マリーたちは到着する予定だが、念のために1日余裕を持たせたのだ。
宿泊所のドアを叩き、中へ入れてもらう。
前回はジュディが中の人と話をしたが、今回は私が受付をおこなう。
ジュディの顔を覚えている人がいたらいけないからだ。
宿泊所の使用人に、部屋の鍵をもらう。
あとは顔をなるべく合わせずに過ごせるはずだ。
与えられた部屋は3つ。
一つは、ギルバート様の大事な令嬢を泊める一番豪華な部屋。
架空の大事な令嬢だけどね。
もう一つはメイドの部屋。
ロッテとジュディが泊まる。
最後は護衛の男性が泊まる部屋。
ここは、アーサーを護衛に見立てる予定。
ひとまず、私たちの荷物はメイドの部屋へと運び込んだ。
すぐに目立たないようにメイド服から私服に着替えをする。
私も離宮で来ている簡易ワンピースに着替えた。
使用人に外出をしてくる旨を伝えて、ジュディとふたり、森の方へと足を進める。
すっかり陽は落ちあたりは暗くなっていたが、月明かりが道を照らし、歩くに不自由はなかった。
やっと森の出口、関所前に到着したけれど、そこには役人の他に人はいなかった。
ギルバート様はこっそりと自室を抜け出し、見送りに来てくださった。
「護衛がつけられないのが心残りだ。気をつけて行くのだぞ。ジュディ、この無鉄砲なシャーロットを頼んだ」
「お任せください。ギルバート様。必ず、ご無事なお姿でシャーロット様を帰城させます」
無鉄砲って失礼な…。
何やら訳の分からない結束があり、ふたりは見つめ合って意気投合していた。
私もギルバート様に声をかける。
「では、ギルバート様。行ってまいります。このご恩は帰城してからなんとしてでもお返し致します」
「よい。気にしないで無事に戻ることだけを考えてくれ」
こうして、早朝に馬車はお城を出た。
ギルバート様が用意してくださった馬車は、お城のものではなく民間の貸し馬車だった。
裕福な民間の家庭で旅行に行く時などに御者共々数日貸し切りにできるもので、多分民間の貸し馬車の中でも最上クラスのものだろう。
「ジュディ、今日の夜にはマリーとアーサーに会えるのよね」
ゴトゴトと揺れる馬車の中で、私が呟くように言う。
ボナールから来た時と違い、急いでいるため揺れも激しい。
「そうですね。兄の怪我もそんなに重くはないようですし。きっと、無事にランバラルド城へ帰れますよ」
ジュディは私の顔を見てくすくす笑う。
「なあに?何がおかしいの?」
「いえ、姫様はすっかりランバラルドが帰る所になったのだなと。来た時の悲しみが嘘のようですね。ボナールにいた頃の方が、お辛そうなお顔をなさっていました。ランバラルドの人たちがいい人ばかりでよかったですね。できれば、早くボナールとの諍いが平和に解決し、人質としての姫様が開放されればいいのに」
「そうね。でも、人質開放されてもボナールに戻るのはどうかしら…。いっそ、ランバラルドで平民として生活するのもいいかもしれないわね。私、メイドをやってみて思ったの。お掃除もお洗濯も好きだし、普通に働けるのではないかしらって」
「そうですね。姫様がボナールの第一王女なのにボナールの王位につけないのは業腹ですが、姫様がお幸せならそれがいいかもしれませんね」
マリーとアーサーが無事にたどり着ける保証はない。
不安を打ち消すように、私たちは話し続けた。
ガタンガタンと音がして馬車が停まる。
窓の外はもう薄暗くなっていた。
私とジュディは宿泊所で荷物を持って降りた。
御者は近くに宿を取っているとのことで、私たちを下ろすとすぐに馬車を出発させて行った。迎えは明後日の朝になる。
通常でいけば今夜マリーたちは到着する予定だが、念のために1日余裕を持たせたのだ。
宿泊所のドアを叩き、中へ入れてもらう。
前回はジュディが中の人と話をしたが、今回は私が受付をおこなう。
ジュディの顔を覚えている人がいたらいけないからだ。
宿泊所の使用人に、部屋の鍵をもらう。
あとは顔をなるべく合わせずに過ごせるはずだ。
与えられた部屋は3つ。
一つは、ギルバート様の大事な令嬢を泊める一番豪華な部屋。
架空の大事な令嬢だけどね。
もう一つはメイドの部屋。
ロッテとジュディが泊まる。
最後は護衛の男性が泊まる部屋。
ここは、アーサーを護衛に見立てる予定。
ひとまず、私たちの荷物はメイドの部屋へと運び込んだ。
すぐに目立たないようにメイド服から私服に着替えをする。
私も離宮で来ている簡易ワンピースに着替えた。
使用人に外出をしてくる旨を伝えて、ジュディとふたり、森の方へと足を進める。
すっかり陽は落ちあたりは暗くなっていたが、月明かりが道を照らし、歩くに不自由はなかった。
やっと森の出口、関所前に到着したけれど、そこには役人の他に人はいなかった。
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